特定技能「介護」国内採用と海外採用を徹底比較|費用・期間・メリット総まとめ
介護施設の人材不足が深刻化する中、特定技能制度を活用した外国人介護人材の採用を検討する施設が増えています。しかし、特定技能人材を採用する際には、大きく分けて「国内にいる外国人を採用する」方法と「海外から新たに呼び寄せる」方法の2つのルートがあり、それぞれに特徴や費用、期間が大きく異なります。2024年12月時点で介護分野で働く特定技能外国人は約44,000人を超え、その数は右肩上がりに増加しています(出典:出入国在留管理庁)。
さらに、2025年4月からは特定技能外国人による訪問介護サービスへの従事が解禁されたことで、特定技能人材への需要はますます高まっています。本記事では、国内採用と海外採用(現地採用)のメリット・デメリット、費用、期間を徹底比較し、大阪をはじめとする介護施設の経営者・人事担当者が最適な採用ルートを選択できるよう、実践的な情報をお届けします。
この記事のポイントは?
【基礎知識】特定技能介護の国内採用と海外採用の違いとは
特定技能人材の採用には、人材がどこにいるかによって大きく2つのルートに分かれます。この選択は、採用にかかる期間や費用、手続きの複雑さに直結するため、まずは両者の基本的な違いを理解することが重要です。
国内採用とは何か
国内採用とは、すでに日本国内に在留している外国人を採用する方法です。具体的には、以下のような外国人が対象となります。
- 技能実習2号を修了した外国人:介護分野の技能実習を2年10ヶ月以上修了し、技能検定3級または技能実習評価試験に合格している場合、特定技能の試験が免除されます
- 介護福祉士養成施設の留学生:日本の介護福祉士養成施設を修了した留学生は、特定技能の技能試験・日本語試験が免除されます
- 他の在留資格から変更する外国人:留学生やその他の在留資格を持つ外国人で、特定技能の試験に合格した人材
- 他施設で働いている特定技能人材:すでに特定技能で介護施設等で働いており、転職を希望する人材
国内採用の最大の特徴は、すでに日本での生活基盤があり、日本語能力や日本の生活習慣への適応が一定程度できている点です。大阪など都市部では、日本語学校や介護福祉士養成施設が多く、国内人材のプールが比較的豊富にあります。
海外採用(現地採用)とは何か
海外採用とは、母国にいる外国人を新たに日本へ呼び寄せて採用する方法です。ベトナム、インドネシア、フィリピン、ネパール、ミャンマーなど、特定技能の試験を実施している国から人材を募集します。
海外採用では、現地で介護技能評価試験・介護日本語評価試験・日本語能力試験(N4以上)の3つの試験に合格した人材を、人材紹介会社や登録支援機関を通じて採用します。2025年1月時点では、国外で実施される試験の受験回数も増加しており、海外人材のプールも拡大しています(出典:厚生労働省)。
どちらのルートが主流なのか
現状では、技能実習からの移行を含めた国内採用が主流となっています。しかし、介護分野における特定技能の受け入れ見込み数は、2024年4月から5年間で最大13万5,000人とされており、国内人材だけでは到底足りない状況です。そのため、今後は海外からの直接採用も積極的に進めていく必要があります。
国内採用のメリット・デメリットと費用・期間を徹底解説
国内採用には、即戦力性の高さや手続きのスピード感といった明確なメリットがあります。一方で、人材の取り合いや費用面での課題も存在します。ここでは、国内採用の実態を詳しく見ていきましょう。
国内採用の5つのメリット
- 即戦力として期待できる
- すでに日本で生活しており、日本語でのコミュニケーションに慣れている
- 技能実習修了者や介護福祉士養成施設卒業生は、介護の実務経験や専門知識を持っている
- 日本の生活習慣やマナーを理解しており、利用者とのトラブルリスクが低い
- 採用から就労開始までの期間が短い
- 在留資格変更申請は通常1〜3ヶ月で完了(海外からの呼び寄せの半分以下の期間)
- 入国手続きや渡航準備が不要で、採用決定後すぐに勤務開始できる場合もある
- 急な欠員補充や繁忙期の増員に対応しやすい
- 初期費用を抑えられる
- 渡航費用(片道10万円程度)が不要
- 住居の初期費用(敷金・礼金等で20〜30万円)を本人が既に負担している場合が多い
- 送り出し機関への手数料(給与1ヶ月分程度)が発生しない国もある
- 面接で人物を直接確認できる
- 対面またはオンラインで日本語でのコミュニケーション能力を直接確認できる
- 施設見学や職場体験を通じて、施設との相性を事前に確認できる
- オンライン面接だけでなく、実際に会って人柄を見極められる
- 試験免除の対象者が多い
- 技能実習2号修了者は技能試験・日本語試験が免除される
- 介護福祉士養成施設修了者も試験免除の対象
- 試験のスケジュール待ちが不要で、スムーズに雇用契約を締結できる
国内採用の4つのデメリット
- 人材の取り合いが激しい
- 技能実習修了者や介護福祉士養成施設卒業生は、複数の施設から引く手あまた
- 大阪など都市部では特に競争が激しく、好条件を提示しないと採用できない
- 大手法人や待遇の良い施設に人材が集中しやすい
- 紹介手数料が高額になる場合がある
- 人材紹介会社を利用する場合、年収の20〜30%程度(10〜30万円)が相場
- 優秀な人材ほど紹介料が高くなる傾向がある
- 転職を繰り返す人材の場合、定着率が低いリスクもある
- 転職リスクが高い
- 特定技能は転職が認められているため、より良い条件の施設へ移る可能性がある
- すでに日本の求人情報にアクセスできる環境にあり、他施設の情報を得やすい
- 定着率を上げるには、待遇改善や職場環境の整備が必須
- 母数が限られている
- 国内の特定技能候補者は有限で、希望条件に合う人材を見つけにくい
- 特に地方では国内人材のプールが少なく、採用難易度が高い
- 複数名を一度に採用したい場合、国内だけでは確保が難しい
国内採用の費用相場
国内採用にかかる主な費用は以下の通りです(2025年1月時点)。
| 費用項目 | 金額相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 人材紹介手数料 | 10〜30万円 | 年収の20〜30%程度。人材紹介会社を利用する場合のみ発生 |
| 在留資格変更申請 (行政書士委託費) |
10〜15万円 | 自社で申請すれば収入印紙代4,000円のみ。初回は専門家への委託を推奨 |
| 登録支援機関への 委託費(月額) |
2〜4万円/月 | 義務的支援を登録支援機関に委託する場合。自社支援なら不要 |
| 健康診断費用 | 1〜2万円 | 在留資格申請時に必要 |
初期費用の総額は、登録支援機関に委託する場合で約23〜47万円程度、自社で義務的支援を行う場合は約11〜17万円程度となります。ランニングコストとして、登録支援機関への月額委託費が継続的に発生する点に注意が必要です。
国内採用の期間目安
国内採用における各ステップの所要期間は以下の通りです。
- 求人募集から採用決定まで:1〜2ヶ月
人材紹介会社を利用すれば、早ければ2週間程度で候補者を紹介してもらえます - 在留資格変更許可申請:1〜3ヶ月
入国管理局の審査期間。書類に不備がなければ2ヶ月程度で許可が下りることが多い - 就労開始準備:1〜2週間
在留資格変更が許可されれば、すぐに雇用契約を締結し勤務開始できます
最短で約2〜3ヶ月、標準的には3〜5ヶ月程度で就労開始まで進めることができます。技能実習からの移行などで試験免除の対象者であれば、さらに短縮できる場合もあります。
海外採用(現地採用)のメリット・デメリットと費用・期間を徹底解説
海外からの直接採用は、国内にはいない優秀な人材を確保できる可能性がある一方で、初期費用や手続きの複雑さといった課題もあります。ここでは、海外採用の実態を詳しく見ていきます。
海外採用の5つのメリット
- 豊富な人材プールから選定できる
- ベトナム、インドネシア、フィリピン、ネパールなど、複数の国から人材を選べる
- 国内にはいない若く意欲的な人材を確保できる
- 複数名を一度に採用したい場合、海外採用の方が人材を確保しやすい
- 施設への愛着・定着率が高い傾向
- 初めて日本に来る人材は、受け入れ施設への感謝の気持ちが強い
- 簡単に転職しにくい心理的障壁があり、長期就労が期待できる
- 母国の家族を支えるために真面目に働く意欲が高い
- 試験合格済みの人材を確保できる
- 介護技能評価試験・介護日本語評価試験に合格した人材を採用できる
- 一定の介護知識と日本語能力(N4以上)が保証されている
- 現地で事前研修を受けている人材も多く、基礎的な準備ができている
- 競合が少ない
- 国内採用ほど人材の取り合いが激しくない
- 給与水準や待遇面で、国内人材ほどシビアな比較をされにくい
- 送り出し機関や人材紹介会社が候補者を事前にスクリーニングしてくれる
- 今後の受け入れ拡大に対応しやすい
- 一度海外採用のルートを確立すれば、継続的に人材を確保できる
- 送り出し機関や登録支援機関との関係を構築できる
- 施設内に外国人受け入れのノウハウが蓄積される
海外採用の4つのデメリット
- 初期費用が高額
- 渡航費用(片道10万円程度)が必要
- 住居の初期費用(敷金・礼金・家具家電等で30〜50万円)を施設側で負担する場合が多い
- 送り出し機関への手数料(給与1ヶ月分程度)が発生する国もある
- 採用から就労開始までの期間が長い
- 在留資格認定証明書の申請から発行まで2〜4ヶ月かかる
- 査証(ビザ)申請や入国準備でさらに1〜2ヶ月必要
- トータルで5〜8ヶ月程度かかることが一般的
- 日本語能力や生活適応に不安がある
- N4レベルの日本語でも、実際の現場ではコミュニケーションに苦労する場合がある
- 日本の生活習慣やマナーに不慣れで、入社後の教育負担が大きい
- ホームシックや文化の違いから早期退職するリスクもある
- オンライン面接だけでは人物を見極めにくい
- 現地に赴いて面接する場合、渡航費や宿泊費がかかる
- オンライン面接では、実際のコミュニケーション能力や人柄を完全には把握しにくい
- ミスマッチが発生した場合、初期投資が無駄になるリスクがある
海外採用の費用相場
海外採用にかかる主な費用は以下の通りです(2025年1月時点)。
| 費用項目 | 金額相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 人材紹介手数料 | 10〜30万円 | 人材紹介会社を利用する場合。送り出し機関との提携がある場合は割安になることも |
| 送り出し機関への手数料 | 給与1ヶ月分程度 | フィリピン、カンボジア、ベトナム、ミャンマーでは必須。国により異なる |
| 在留資格認定証明書 交付申請 (行政書士委託費) |
15〜20万円 | 国外からの新規呼び寄せの場合。自社申請も可能だが、初回は委託を推奨 |
| 渡航費用 | 10万円程度 | 法律上は本人負担でも問題ないが、施設側で負担する場合が多い |
| 住居の初期費用 | 30〜50万円 | 敷金・礼金・仲介手数料・家具家電等。賃貸物件を施設で用意する場合 |
| 登録支援機関への 委託費(月額) |
2〜4万円/月 | 義務的支援を登録支援機関に委託する場合 |
| 健康診断費用 | 1〜2万円 | 在留資格申請時に必要 |
初期費用の総額は、登録支援機関に委託する場合で約66〜112万円程度と、国内採用の約2〜3倍のコストがかかります。ただし、人材紹介会社や登録支援機関によっては、パッケージ料金として割安に設定している場合もあります。
海外採用の期間目安
海外採用における各ステップの所要期間は以下の通りです。
- 求人募集から採用決定まで:1〜2ヶ月
人材紹介会社を利用すれば、候補者リストの提示からオンライン面接まで比較的スムーズに進みます - 雇用契約締結と在留資格認定証明書交付申請:1〜2週間
必要書類を準備し、入国管理局へ申請します - 在留資格認定証明書の交付:2〜4ヶ月
入国管理局の審査期間。書類に不備があると再提出が必要で、さらに時間がかかります - 査証(ビザ)申請と入国準備:1〜2ヶ月
在留資格認定証明書を現地の外国人に送付し、現地の日本大使館・領事館で査証申請を行います - 入国と就労開始:1〜2週間
入国後、住民登録や銀行口座開設などの手続きを経て勤務開始
最短で約5〜6ヶ月、標準的には6〜8ヶ月程度で就労開始まで進めることができます。書類の不備や審査の遅延があると、さらに時間がかかる場合もあります。
【比較表】国内採用vs海外採用を一目で理解する
ここまでの内容を、わかりやすく比較表にまとめました。施設の状況に応じて、どちらのルートが適しているかを判断する際の参考にしてください。
| 比較項目 | 国内採用 | 海外採用(現地採用) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 約23〜47万円 | 約66〜112万円 |
| 採用から就労開始 までの期間 |
2〜5ヶ月 | 5〜8ヶ月 |
| 人材の母数 | 限られている (技能実習修了者・留学生等) |
豊富 (アジア各国の試験合格者) |
| 日本語能力 | 比較的高い (実生活で使用経験あり) |
N4レベルが基本 (実務経験は少ない) |
| 即戦力性 | 高い (技能実習修了者等は実務経験あり) |
低〜中 (試験合格レベルだが実務未経験が多い) |
| 定着率 | 中〜低 (転職しやすい環境にある) |
高 (初めての日本で施設への愛着が強い) |
| 競合との人材争奪 | 激しい (特に都市部) |
比較的少ない |
| 採用後の教育負担 | 軽い (日本の生活に慣れている) |
重い (生活習慣・マナーから教える必要) |
| 向いている施設 | ・急な欠員補充が必要 ・初期費用を抑えたい ・都市部で人材が豊富 |
・複数名を計画的に採用 ・長期的な人材確保を重視 ・初期投資を許容できる |
国内採用と海外採用の具体的な採用フロー
実際の採用を進める際の手順を、国内採用と海外採用それぞれについて詳しく解説します。登録支援機関や人材紹介会社に委託する場合、多くの手続きを代行してもらえますが、施設側も全体の流れを把握しておくことが重要です。
国内採用の採用フロー(全6ステップ)
- 人材紹介会社または登録支援機関への相談
- 採用したい人材の条件(人数、時期、日本語レベル、経験等)を伝える
- 費用や期間の見積もりを確認する
- 複数の業者から相見積もりを取ることを推奨
- 候補者の紹介と面接
- 人材紹介会社から候補者のプロフィールや履歴書が提示される
- 施設見学や面接を実施し、人物像やコミュニケーション能力を確認
- 技能実習修了者の場合、実習先の評価調書も参考にする
- 雇用条件の提示と内定
- 給与、勤務時間、休日、福利厚生等の条件を提示
- 候補者が条件に合意すれば内定
- 雇用契約書を作成(日本語と母国語の両方で作成することが望ましい)
- 在留資格変更許可申請
- 必要書類を準備し、入国管理局へ申請
- 行政書士や登録支援機関に委託する場合が多い
- 審査期間は通常1〜3ヶ月
- 特定技能協議会への加入
- 初めて特定技能外国人を受け入れる場合、協議会への加入申請が必要
- 適合確認書の発行を受ける(雇用開始後4ヶ月以内)
- 就労開始と義務的支援の実施
- 在留資格変更が許可されれば、雇用契約を正式に締結し勤務開始
- 事前ガイダンス、住居確保支援、生活オリエンテーション等の義務的支援を実施
- 登録支援機関に委託している場合、これらの支援は機関が代行
海外採用(現地採用)の採用フロー(全8ステップ)
- 人材紹介会社または登録支援機関への相談
- 採用したい国、人数、時期、条件等を伝える
- 送り出し機関との連携が必要な国(フィリピン、カンボジア、ベトナム、ミャンマー)の場合、その手配も依頼
- 候補者の紹介と選考
- 試験に合格した候補者のリストが提示される
- 履歴書や動画メッセージ等で事前に人物像を確認
- オンライン面接または現地面接
- オンライン面接が一般的(費用を抑えられる)
- 複数名を採用する場合や慎重に選びたい場合は、現地に赴いて面接することもある
- 日本語でのコミュニケーション能力を重点的に確認
- 雇用契約の締結
- 採用決定後、雇用契約書を作成し締結
- 契約書は日本語と母国語の両方で作成し、内容を十分に説明
- 在留資格認定証明書交付申請
- 入国管理局へ必要書類を提出し、在留資格認定証明書の交付申請を行う
- 行政書士や登録支援機関に委託するケースが大半
- 審査期間は通常2〜4ヶ月
- 在留資格認定証明書の送付と査証申請
- 交付された在留資格認定証明書を現地の外国人に送付
- 外国人が現地の日本大使館・領事館で査証(ビザ)申請を行う
- 査証発給までさらに1〜2ヶ月程度
- 入国と住居・生活の準備
- 外国人が来日し、施設で受け入れ
- 住民登録、銀行口座開設、携帯電話契約等の生活基盤整備を支援
- 登録支援機関に委託している場合、これらの支援は機関が代行
- 就労開始と義務的支援の実施
- 事前ガイダンス、生活オリエンテーション、日本語学習支援等を実施
- 特定技能協議会への加入(雇用開始後4ヶ月以内)
- 定期的な面談や相談対応を継続
どちらを選ぶべきか?施設の状況別の判断基準
国内採用と海外採用、どちらを選ぶべきかは、施設の置かれた状況や優先すべき要素によって異なります。ここでは、具体的な判断基準を提示します。
国内採用が向いているケース
- 急な欠員補充が必要な場合
退職者が出て急遽人材が必要になった場合、国内採用なら2〜3ヶ月で就労開始できます - 初期費用を抑えたい場合
海外採用の半分以下の初期費用で済むため、予算に余裕がない場合は国内採用が現実的です - 即戦力が欲しい場合
技能実習修了者や介護福祉士養成施設卒業生なら、入職後すぐに実務に入れます - 大阪など都市部で国内人材が豊富な場合
日本語学校や介護福祉士養成施設が多い地域では、国内人材を見つけやすい傾向にあります - 外国人受け入れが初めての場合
国内採用なら日本語でのコミュニケーションがスムーズで、受け入れ側の負担が軽減されます
海外採用が向いているケース
- 複数名を計画的に採用したい場合
国内人材だけでは確保が難しい場合、海外から複数名を一度に採用できます - 長期的な定着を重視する場合
初めて日本に来る人材は施設への愛着が強く、長期就労が期待できます - 初期費用を許容できる場合
初期投資は高いですが、定着率が高ければトータルでコストパフォーマンスが良い場合もあります - 地方で国内人材が少ない場合
国内の特定技能候補者が少ない地域では、海外採用が現実的な選択肢になります - 継続的に人材を確保したい場合
送り出し機関や登録支援機関との関係を構築すれば、継続的に人材を紹介してもらえます
併用する選択肢も検討する
実際には、国内採用と海外採用を併用している施設も多くあります。例えば、急な欠員は国内採用で対応し、計画的な増員は海外採用で進めるといった使い分けです。2025年4月から訪問介護への従事も解禁されたことで、特定技能人材のニーズはさらに高まっており、両方のルートを確保しておくことが安定的な人材確保につながります。
登録支援機関の活用で採用をスムーズに進める方法
特定技能外国人を受け入れる際、多くの施設が登録支援機関を活用しています。登録支援機関は、特定技能外国人への義務的支援を代行するだけでなく、採用活動から在留資格申請、入社後のフォローまで一気通貫でサポートしてくれる頼もしい存在です。
登録支援機関とは
登録支援機関とは、出入国在留管理庁に登録された、特定技能外国人の受け入れ支援を行う機関です。施設が自社で義務的支援を行うことも可能ですが、以下の条件を満たす必要があります。
- 過去2年間に中長期在留者の受け入れ実績があること
- 支援責任者と支援担当者を配置すること
- 外国人が十分に理解できる言語で支援を行えること
これらの条件を満たすのは容易ではなく、また支援業務自体も煩雑であるため、約8割の施設が登録支援機関に委託しているとされています(2025年1月時点)。
登録支援機関が提供する主なサービス
- 人材紹介:国内外の特定技能候補者を紹介
- 在留資格申請のサポート:必要書類の準備から入国管理局への申請代行
- 事前ガイダンス:雇用契約締結後、入国前または直後に実施する情報提供
- 出入国の送迎:空港への出迎えや帰国時の見送り
- 住居確保の支援:賃貸物件の契約手続きや連帯保証人の手配
- 生活オリエンテーション:銀行口座開設、携帯電話契約、公共交通機関の利用方法等の案内
- 日本語学習の機会提供:日本語教室の紹介や学習教材の提供
- 定期的な面談:少なくとも3ヶ月に1回、生活状況や職場での悩みを聞き取り
- 苦情・相談対応:母国語での相談窓口を設置し、トラブルに対応
- 転職支援:やむを得ず転職が必要になった場合の次の受け入れ先の紹介
登録支援機関の選び方
登録支援機関は全国に数千機関存在しますが、質や専門性には大きな差があります。以下のポイントを確認して選びましょう。
- 介護分野の実績が豊富か:介護分野特有の課題(夜勤対応、利用者とのコミュニケーション等)を理解している機関を選ぶ
- 現地ネットワークがあるか:海外採用の場合、送り出し機関との連携があるとスムーズ
- 母国語対応が可能か:ベトナム語、インドネシア語、ネパール語等、採用したい国の言語に対応できるか
- 大阪など地域に拠点があるか:地域密着型の機関なら、緊急時の対応が迅速
- 費用が明確か:月額委託費だけでなく、初期費用や追加費用の内訳を明示してくれる機関が信頼できる
- アフターフォローが充実しているか:入社後の定着率向上のために、定期面談や日本語学習支援を継続的に行ってくれるか
複数の登録支援機関から相見積もりを取り、実績や対応の丁寧さを比較検討することをお勧めします。
一般社団法人 外国人介護留学生支援機構の強み
大阪を拠点とする一般社団法人 外国人介護留学生支援機構は、介護分野に特化した登録支援機関として、以下のような特徴があります。
- 採用決定まで完全無料:初期費用の負担を最小限に抑えられます
- 国家資格取得の全面サポート:介護福祉士取得を目指す外国人材を長期的に支援
- ビザ申請から入社後フォローまで一気通貫:煩雑な手続きをワンストップで代行
- 最速3日で紹介、最速1ヶ月で入社可能:スピーディな対応で急な人材ニーズにも対応
- 日本語検定2級保持者など実績豊富な人材:質の高い人材を厳選して紹介
国内採用・海外採用のどちらにも対応しており、施設の状況に応じた最適な採用ルートを提案してもらえます。
2025年の制度変更:訪問介護解禁で広がる活躍の場
2025年4月から、特定技能外国人による訪問介護サービスへの従事が解禁されました。これまで訪問系サービスは特定技能の対象外でしたが、訪問介護の深刻な人手不足を受けて、制度が改正されたのです。
訪問介護解禁の背景
厚生労働省の資料によると、令和5年度における訪問介護員の有効求人倍率は14.14倍と、介護職員全体の3.24倍を大きく上回る極端な人手不足状態にあります。訪問介護事業所の廃止理由で最も多いのが人手不足と職員の高齢化であり、この状況を改善するために特定技能の対象範囲が拡大されました。
訪問介護に従事するための要件
特定技能外国人が訪問介護サービスに従事するには、通常の特定技能要件に加えて、以下の条件を満たす必要があります。
- 介護事業所等での実務経験が原則1年以上あること
- 受け入れ施設が以下の対応を行うこと
- 訪問介護の基本事項、生活支援技術、日本の生活様式に関する研修を実施
- 一定期間、責任者等が同行してOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を実施
- キャリアアップ計画を作成
- ハラスメント防止のための対応マニュアルを作成・共有
- ICTの活用を含む環境整備(不測の事態に備えた通信手段の確保等)
訪問介護は施設介護と異なり、一人で利用者宅を訪問するため、より高い日本語能力とコミュニケーション力が求められます。そのため、まずは施設で1年以上の実務経験を積んでから、訪問介護へ移行するルートが一般的になると考えられます。
訪問介護解禁による影響
訪問介護への従事が可能になったことで、特定技能人材の活躍の場が大きく広がります。これまで施設介護のみだった外国人材が、訪問介護にも従事できるようになれば、キャリアの幅が広がり、長期的な定着にもつながるでしょう。一方で、訪問系事業者が新たに特定技能人材の獲得に参入することで、人材獲得競争がさらに激化する可能性もあります。
まとめ:自施設に合った採用ルートを見極めることが成功の鍵
特定技能介護人材の採用には、国内採用と海外採用という2つのルートがあり、それぞれに明確な特徴があります。ここまでの内容を簡潔にまとめます。
- 国内採用は、初期費用が約23〜47万円、期間は2〜5ヶ月と短く、即戦力性が高い反面、人材の取り合いが激しく転職リスクもある
- 海外採用は、初期費用が約66〜112万円、期間は5〜8ヶ月と長いが、豊富な人材プールから選定でき、定着率が高い傾向にある
- 2025年4月から訪問介護が解禁され、特定技能人材の活躍の場が広がった
- 登録支援機関の活用で、採用から入社後フォローまでワンストップで支援を受けられる
どちらのルートを選ぶべきかは、施設の状況や優先すべき要素によって異なります。急な欠員補充や初期費用を抑えたい場合は国内採用、複数名を計画的に採用し長期的な定着を重視する場合は海外採用が適しています。また、両方のルートを併用することで、安定的な人材確保が可能になります。
介護業界の人手不足は今後も深刻化が予想されており、2040年には約69万人の介護人材が追加で必要とされています(出典:厚生労働省)。外国人介護人材の受け入れは、もはや選択肢ではなく必須の戦略といえるでしょう。
大阪で特定技能介護人材の採用を検討されている施設経営者・人事担当者の方は、まずは専門の登録支援機関に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
監修青山 信明
2018年から一般社団法人外国人介護留学生支援機構にて、日本で介護職を目指す外国人留学生の生活支援および就職支援を担当。ベトナム・ネパール・インド国籍の学生支援に従事する。
特定技能制度施行後は、同機構が登録支援機関として認可を受ける過程にも関与し、現在は主にベトナム国籍人材を中心とした特定技能外国人の支援業務を行っている。
執筆者コネクトナビ編集部
外国人材採用に役立つ情報を随時発信しています。
