2026.02.05

ミャンマー人介護人材の採用ガイド|特定技能の流れ・費用・注意点をわかりやすく解説(2025年版)

近年、日本で働く外国人材の中でも、ミャンマー人の存在感が急速に高まっています。出入国在留管理庁の統計によると、2024年6月末時点で特定技能のミャンマー人在留者数は19,059人に達し、前年同期の8,016人から1万人以上も増加しました。この急増の背景には、2021年2月の軍事クーデター以降の国内情勢の不安定化と、ミャンマー人が持つ勤勉で誠実な国民性が日本企業に高く評価されていることが挙げられます。

特に注目すべきは、ミャンマー人の特定技能試験合格者数です。2024年3月から2025年2月の1年間で62,037人のミャンマー人が試験に合格しており、これは2位のインドネシアを約15,000人上回る数字です。ミャンマー人は試験ルートで特定技能を取得する割合が約74%と高く、技能実習からの移行が主流のベトナムとは異なる特徴を持っています。

本記事では、介護施設経営者・人事担当者向けに、特定技能制度を活用したミャンマー人介護人材の採用方法、ミャンマー人の特徴や国民性、受入れ時の注意点、そして2025年の最新動向(徴兵制度の影響を含む)まで、詳しく解説します。ミャンマー人材の採用を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

この記事のポイントは?

ミャンマー人材が日本で急増している背景

日本企業、特に介護業界においてミャンマー人材への注目が高まっている背景には、ミャンマー国内の情勢変化と日本側の人手不足という2つの要因が複合的に作用しています。ここでは、ミャンマー人が日本で働く理由と、日本企業がミャンマー人を採用するメリットについて解説します。

ミャンマーの国内情勢と日本就労志向の高まり

ミャンマーは東南アジアに位置し、インド、中国、タイ、バングラデシュ、ラオスと国境を接する人口約5,400万人の国です。2021年2月1日に発生した軍事クーデターは、ミャンマー国民の生活に大きな影響を与えました。

クーデター以降、国軍と民主化勢力との武力衝突が頻発し、経済制裁による通貨暴落、物価上昇、失業者の増加といった問題が深刻化しています。2025年3月にはミャンマーで大規模な地震も発生し、首都ネーピードーなどで被害が報告されました。このような不安定な国内情勢から逃れるため、多くのミャンマー人が国外での就労を希望するようになっています。

ミャンマーの平均月収は約1〜2万円程度とされる一方、日本で特定技能として働く場合の平均月収は約20〜30万円に達します。この賃金格差は約15〜20倍にもなるため、ミャンマーの若者にとって日本での就労は、自身と家族の生活を大きく向上させるチャンスとなっています。

ミャンマーと日本の二国間協定

ミャンマーは、日本と「特定技能に関する協力覚書(MOC)」を締結している国の一つです。この協力覚書は2019年3月28日にネーピードーで署名・交換され、2024年3月29日には5年間の継続更新が行われました。

この協力覚書により、悪質な仲介事業者の排除や、特定技能人材の円滑かつ適正な送り出し・受入れが促進されています。ただし、ミャンマーはインドネシアやフィリピン、ベトナムのようにEPA(経済連携協定)を日本と締結していないため、EPA介護福祉士候補者としての来日ルートはありません。

在留ミャンマー人と特定技能ミャンマー人の現状

在留ミャンマー人の数は、ここ数年で急速に増加しています。

年末時点 在留ミャンマー人数 前年比
2022年末 約56,000人
2023年末 約86,500人 約54%増
2024年6月末 約110,000人 約27%増

特に2024年6月末時点では、在留外国人の中で増加率が最も高かったのがミャンマーであり、全外国人の中でも最高の伸び率を記録しています。

特定技能に限定すると、ミャンマー人は2024年6月末時点で中国を抜いて国籍別で3位に浮上しました。さらに2025年6月末には、特定技能送り出し国として3位の地位を確立しています。

時期 特定技能ミャンマー人数 対前年比
2023年6月末 約8,000人
2024年6月末 約19,000人 約138%増
2024年12月末 約22,000人超

ミャンマー人の国民性と介護職との親和性

ミャンマー人を介護人材として受け入れる際に、その国民性や文化的背景を理解しておくことは非常に重要です。ここでは、ミャンマー人の特徴と、なぜ介護職に向いているのかを解説します。

ミャンマー人の性格・気質の特徴

ミャンマー人の性格には、以下のような特徴があるとされています。もちろん個人差はありますが、一般的な傾向として理解しておくと、受入れ後のコミュニケーションに役立ちます。

敬虔な仏教徒としての価値観

ミャンマーは国民の約90%が仏教徒の国です。特に「上座部仏教」を信仰しており、「現世で徳を積むと来世で良い思いができる」という輪廻転生の考え方が根付いています。この仏教精神から、人のためになることや常に良い行いをする習慣があり、高齢者や身体が不自由な方を助ける介護の仕事は「徳を積む仕事」として捉えられています。

温厚で誠実な国民性

ミャンマー人は一般的に温厚で誠実な性格を持っています。東南アジアならではの温暖な気候からか、おっとりとした性格の人が多く、他人同士であってもすれ違う時は笑顔で接するなど、穏やかな人柄が特徴です。仕事が忙しい時でも笑って楽しみながら乗り越える人が多いとされています。

謙虚で控えめ、調和を重視する姿勢

ミャンマー人は謙譲の精神を持ち、身勝手な自己主張をしない傾向があります。人との調和を大切にし、相手を立てて円滑に物事を進めようとする姿勢は、日本人の価値観と非常に似ており、日本の職場に馴染みやすいとされています。

勤勉で真面目な労働姿勢

ミャンマーの学生たちは、高校卒業時に行われる「セーダン試験」と呼ばれる試験で高得点を目指し勉学に励む文化があります。このような背景から、ミャンマー人は比較的勤勉な特徴を持っています。また、家族を支えるために海外で働くという強い目的意識を持つため、仕事に対して真面目に取り組む傾向があります。

日本語習得が早い

ミャンマーの公用語であるビルマ語は、日本語と文法構造が似ています。主語・目的語・述語(SOV型)の語順が同じため、日本語の上達が早く、発音も上手だと評価されています。単語を覚えて母国語の文法に当てはめるだけで文章が作れるため、他の東南アジアの人材と比べて日本語の習得がスムーズな傾向にあります。

介護分野でミャンマー人が活躍している理由

出入国在留管理庁の統計によると、特定技能1号で在留するミャンマー人のうち、約42%が介護分野で働いています(2024年6月末時点で約8,083人)。これは全分野の中で最も多く、外食業や飲食料品製造業を上回っています。

ミャンマー人が介護職で活躍している背景には、以下の要因が考えられます。

  • 仏教の教えに基づき「徳を積む仕事」として介護職への関心が高い
  • 大家族で暮らす文化があり、高齢者を敬い世話をすることに抵抗がない
  • 温厚で穏やかな性格が、利用者との良好な関係構築に役立つ
  • 謙虚で控えめな姿勢が、日本の介護現場の雰囲気に馴染みやすい
  • ミャンマー国内で介護技能評価試験が定期的に実施されている

大阪の特別養護老人ホームで働くミャンマー人介護士のTさん(仮名)は、「ミャンマーでは、お年寄りを大切にすることは当たり前のことです。仏教の教えで、困っている人を助けることは徳を積むことだと学びました。日本の介護の仕事は、私にとって誇りを持てる仕事です」と話してくれました。

注意すべきミャンマー人の特徴

一方で、受入れにあたって理解しておくべき注意点もあります。

挨拶の習慣がない

ミャンマー語には「おはようございます」「お疲れ様です」といった決まった挨拶の言葉がありません。そのため、ミャンマー人は挨拶をする習慣自体がなく、来日当初は挨拶に躊躇することがあるかもしれません。日本の職場では挨拶が重要であることを丁寧に説明し、習慣づけるよう働きかけることが大切です。

叱責への耐性が低い

ミャンマー人は温和な性格から、怒ることが少なく、だからこそ怒られることにも慣れていません。基本的にミャンマーにおいて叱るのは両親や教員の立場にある人です。そのため、仕事中に大きなミスをしても、周りの人がいる前で大きな声で怒るとひどく傷つけてしまう可能性があります。指導する際は、個別に呼び出して穏やかに改善点を伝えるなどの配慮が必要です。

漢字の習得に時間がかかる

ビルマ語は独自の文字体系を使用しており、漢字文化圏ではありません。そのため、介護記録の作成や書類の読み書きには、中国人や台湾人と比べて時間がかかる傾向があります。ふりがな付きのマニュアルを用意したり、記録の書き方を丁寧に指導したりするなどの配慮が必要です。

ミャンマー人を特定技能「介護」で採用する方法

ミャンマー人を特定技能「介護」で採用するには、大きく分けて「海外(ミャンマー現地)からの採用」と「国内在留者からの採用」の2つのルートがあります。ただし、2025年現在は徴兵制度の影響で海外採用に制限があるため、国内採用がより現実的な選択肢となっています。

ミャンマー人採用の最大の特徴:認定送出機関の利用が必須

ミャンマー人を特定技能で採用する際の最大の特徴は、ミャンマー政府が認定した送出機関を通じて人材の募集・雇用契約を行う必要がある点です。これは2022年4月に施行された特定技能外国人法に基づくもので、送出機関を通さない人材雇用は違法となり、罰則の対象となります。

認定送出機関を利用する目的は以下の通りです。

  • 悪質なブローカーの排除
  • 人材の適正な募集・選考
  • ミャンマー政府への各種手続きの円滑化
  • 労働者の権利保護

出入国在留管理庁のホームページでは、ミャンマー政府が認定した送出機関のリストが公開されています。受入れを検討する際は、認定送出機関であることを必ず確認しましょう。

海外(ミャンマー現地)からの採用の流れ

ミャンマー現地から人材を採用する場合の基本的な流れは以下の通りです。

  1. 認定送出機関との契約
    • 日本の受入機関(企業)がミャンマー政府認定の送出機関と契約を締結
  2. 求人票(デマンドレター)の提出・承認
    • 受入機関が作成した求人票を送出機関を通じてミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP)へ提出
    • 在日ミャンマー大使館や関連委員会による内容確認を経て承認
  3. 候補者の募集・選考
    • 求人票承認後、送出機関が候補者の募集を開始
    • オンライン面接の実施
  4. 試験合格の確認・雇用契約の締結
    • 介護技能評価試験、介護日本語評価試験、日本語能力試験(N4以上)に合格していることを確認
    • 日本人と同等以上の報酬を支払う雇用契約を締結
  5. 在留資格認定証明書(COE)の申請
    • 地方出入国在留管理局に申請
    • 交付された証明書の原本をミャンマーにいる内定者に郵送
  6. ミャンマー側での出国手続き
    • 海外労働身分証明カード(OWIC:スマートカード)の取得
    • 在ミャンマー日本国大使館での査証(ビザ)申請
  7. 入国・就労開始
    • 査証発給後、日本に入国
    • 空港での出迎え、住居への案内など受入れ準備を実施

2025年の重要注意点:徴兵制度による出国制限

2025年の採用環境において最も注意すべきは、ミャンマー政府による徴兵制度の影響です。

ミャンマー現地の18歳〜35歳の男性については、就労目的での国外出国が禁止されています。元々は23歳〜31歳の男性が対象でしたが、2025年に入ってから年齢層が拡大されました。

実際に、日本および現地国における全ての出国手続きが完了していたにもかかわらず、空港の出国ゲートで止められてしまうという事態も発生しています。2024年5月にはミャンマー労働省が、海外就労に必要なデマンドレター(求人票)に関して、男性の新規受付を突然停止するなど、政府レベルでの制限も強化されています。

このような状況から、現在ミャンマー現地からの新規男性採用は非常に困難となっており、女性人材や国内在留者の活用がより現実的な選択肢となっています。

国内在留者からの採用

日本国内に在留しているミャンマー人を特定技能「介護」で採用する場合は、徴兵制度の影響を受けないため、より安定した採用が可能です。以下のようなケースが考えられます。

  • 介護分野の技能実習2号または3号を修了したミャンマー人を特定技能に移行
  • 留学生として日本で学んでいたミャンマー人が試験に合格して特定技能に移行
  • 他の在留資格から特定技能に在留資格を変更

国内採用の場合の流れは以下の通りです。

  1. 人材の募集・選考
    • 人材紹介会社や登録支援機関を通じた紹介
    • ハローワークや求人サイトでの募集
    • 日本語学校や介護福祉士養成校からの紹介
  2. 試験合格・要件の確認
    • 必要な試験に合格していること、または技能実習2号を良好に修了していることを確認
  3. 雇用契約の締結
    • 日本人と同等以上の報酬を支払う雇用契約を締結
  4. 在留資格変更許可申請
    • 地方出入国在留管理局に申請
    • 在留資格認定証明書(COE)は不要なため、海外採用より手続きが簡略化
  5. 就労開始
    • 在留資格変更が許可され次第、就労開始

国内採用のメリットは、既に日本での生活経験があり、日本語能力や日本の文化・習慣への理解が進んでいるケースが多い点です。また、ミャンマーからの入国に伴う不確実性(徴兵制度による出国制限など)を回避できます。

ミャンマー人を受け入れる際の宗教・文化への配慮

ミャンマー人を受け入れる際には、宗教や文化の違いを理解し、配慮することが重要です。これらの配慮ができるかどうかが、外国人材の定着率に大きく影響します。

上座部仏教への理解と配慮

ミャンマーの国民の約90%が上座部仏教を信仰しています。日本人が信仰する大乗仏教とは異なる点が多くあり、上座部仏教は瞑想や参拝を日常的に行うことが多く、仏教が生活の一部になっています。

食事に関する配慮

ミャンマー人の多くは仏教徒ですが、イスラム教やヒンドゥー教の影響を受けている地域もあります。信仰の度合いによっては、肉食を避ける人や、特定の食材を口にしない人もいます。採用時に本人に食事の禁忌について確認しておくことが重要です。

ただし、ミャンマー人の仏教徒の多くは、食事の禁忌についてはそこまで厳格ではありません。日本の食文化に比較的適応しやすい傾向にあります。

僧侶への敬意

ミャンマー人は僧侶に対する信仰心が非常に強く、宗教行事にも積極的に参加する傾向があります。寺院への参拝や托鉢への喜捨(きしゃ:僧侶への寄付)は日常的に行われています。

重要な行事・祭りへの配慮

ミャンマーには国民が大切にしている年中行事があります。

ティンジャン(水かけ祭り)

毎年4月中旬に行われるミャンマーの正月にあたる祭りです。ミャンマー暦の新年を祝う最大のイベントで、この期間中は帰国や休暇の申請が増える可能性があります。

タザウンダイン(光の祭り)

10月〜11月頃に行われる「光の祭り」です。仏教徒にとって重要な行事であり、この時期も休暇を希望するミャンマー人がいる可能性があります。

これらの行事は、ミャンマー人にとって宗教的にも文化的にも重要な意味を持ちます。できる限り配慮することで、外国人材のモチベーション維持と定着率向上につながります。

親日国としての背景

ミャンマーは親日国として知られています。日本からミャンマーへの支援は1兆円以上に達しており、多くのミャンマー人は日本に対して好意的な印象を持っています。また、日本のアニメや漫画がミャンマーでも人気があり、来日前から日本文化に親しみを持っている若者も多いです。

この親日的な国民性は、日本の職場において良好な関係を築く上で大きなアドバンテージとなります。

ミャンマー人を特定技能で採用するメリットとデメリット

ミャンマー人を特定技能「介護」で採用することには、様々なメリットがある一方、注意すべき点もあります。ここでは、メリットとデメリットを整理して解説します。

採用のメリット

1. 介護職への適性が非常に高い

仏教の教えに基づく「徳を積む」という価値観から、介護職を積極的に希望するミャンマー人が多いです。特定技能1号で在留するミャンマー人の約42%が介護分野で働いているという事実が、この親和性の高さを物語っています。

2. 日本語習得が早い

ビルマ語と日本語は文法構造が似ているため、日本語の習得が比較的スムーズです。発音も上手な人が多く、入社後も継続的に日本語能力を向上させることが期待できます。

3. 日本人と価値観が合う

謙虚で控えめ、人との調和を大切にするミャンマー人の国民性は、日本人の価値観と非常に似ています。日本の職場環境に馴染みやすく、同僚や利用者との良好な関係を築きやすい傾向にあります。

4. 若い人材が豊富

ミャンマーの平均年齢は約29歳と非常に若く(日本は約49歳)、若年層の労働力が豊富です。高齢化が進む日本の介護業界において、若い人材を確保できることは大きなメリットです。

5. 長期就労への意欲が高い

国内情勢の不安定さから、3〜5年働いてもミャンマーに帰りたくないという人がほとんどという状況です。在留資格「介護」への変更や永住を目指すなど、長期的に日本で働きたいという意欲を持つ人材が多く、定着率の向上が期待できます。

6. 試験合格者が多い

2024年3月から2025年2月の1年間で62,037人のミャンマー人が特定技能試験に合格しており、これは全世界で最多です。採用候補者の母数が大きく、優秀な人材を選抜しやすい環境にあります。

採用のデメリット・注意点

1. 徴兵制度による出国制限(男性)

2025年現在、18歳〜35歳の男性については就労目的での国外出国が制限されています。ミャンマー現地から男性人材を新規採用することは非常に困難な状況です。

2. 認定送出機関の利用が必須

他の国と異なり、ミャンマー政府認定の送出機関を通さなければ採用できません。送出機関への手数料や、手続きにかかる時間が増加する可能性があります。

3. 国内情勢の不安定さ

軍事クーデター以降、国内情勢が不安定であり、政策が突然変更されるリスクがあります。採用計画を立てる際は、十分な余裕期間と複数の採用ルートを並行して検討することが重要です。

4. 挨拶の習慣がない

ミャンマーには日本のような挨拶の習慣がないため、最初は挨拶に戸惑うことがあります。日本の職場文化として挨拶の重要性を丁寧に説明する必要があります。

5. 叱責への配慮が必要

温厚な国民性から、叱られることに慣れていない人が多いです。指導する際は、個別に穏やかに伝えるなどの配慮が必要です。

ミャンマー人特定技能外国人の受入れ費用

ミャンマー人を特定技能「介護」で採用する際にかかる費用について解説します。海外採用と国内採用では費用構造が異なるため、それぞれの目安を把握しておくことが重要です。

海外採用の場合の費用目安

費用項目 金額目安
送出機関への手数料 1,500米ドル程度(本人負担が一般的だが、企業が負担するケースも)
人材紹介手数料 20〜40万円程度
在留資格申請費用 10〜20万円程度
渡航費(航空券等) 5〜15万円程度
住居初期費用 10〜30万円程度
その他諸費用 5〜10万円程度

送出機関への手数料は一般的に労働者本人が支払うことになっていますが、ミャンマー人にとっては多額の出費となります。良い人材を確保したい場合は、受入れ企業側で費用を負担することも検討に値します。

国内採用の場合の費用目安

費用項目 金額目安
人材紹介手数料 20〜40万円程度
在留資格変更申請費用 5〜15万円程度
住居初期費用 10〜30万円程度
その他諸費用 5〜10万円程度

国内採用の場合は、送出機関への手数料や渡航費が不要となるため、海外採用と比較してコストを抑えられる傾向にあります。

継続費用の目安

特定技能外国人を雇用した後も、以下のような継続的な費用が発生します。

  • 登録支援機関への支援委託費:月額1〜3万円程度(外国人1人あたり)
  • 日本語学習支援費:月額数千円〜数万円程度(教材費、オンライン学習サービス等)
  • 定期面談・生活サポート費用:支援委託費に含まれる場合が多い

なお、一般社団法人 外国人介護留学生支援機構のように、採用決定まで完全無料でサポートを行っている登録支援機関もあります。初期費用を抑えたい場合は、このような機関を活用することも選択肢の一つです。

ミャンマー人特定技能外国人の定着率を高めるポイント

特定技能は同一分野内での転職が認められているため、採用後の定着率を高める取り組みが重要です。ミャンマー人材に長く働いてもらうためのポイントを解説します。

文化・宗教への理解を示す

仏教行事への配慮、食事の禁忌への配慮など、できる限りの配慮を行うことで、「この職場は自分のことを大切にしてくれている」という信頼感が生まれます。ミャンマー人は宗教を大切にする国民性があるため、この点への配慮は特に重要です。

穏やかな指導・コミュニケーション

ミャンマー人は温厚な性格で、叱られることに慣れていません。指導する際は、周囲に人がいる場所で大きな声で叱るのではなく、個別に呼び出して穏やかに改善点を伝えるようにしましょう。日本人スタッフにもこの点を周知し、職場全体で配慮できる体制を整えることが大切です。

キャリアパスを明示する

ミャンマー人材は長期就労への意欲が高い傾向にあります。将来のキャリアパスを明確に示すことで、モチベーションをさらに高めることができます。

  • 介護福祉士資格取得に向けた支援(勉強会の開催、受験費用の補助など)
  • 資格取得後の処遇改善(給与アップ、在留資格「介護」への変更支援など)
  • 日本語能力向上に応じた昇給・昇格制度
  • 特定技能2号への移行支援

介護福祉士の資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更でき、在留期間の上限がなくなります。「長く働き続けられる」という将来の見通しを示すことが、定着率向上につながります。

生活面でのサポートを充実させる

初めて日本で生活するミャンマー人にとって、住居探し、銀行口座開設、携帯電話契約、病院の受診など、様々な場面でサポートが必要です。2025年12月にはヤンゴンに「日本ビザ申請センター」が開設されるなど、日本への就労を目指すミャンマー人へのサポート体制は徐々に整備されつつありますが、入国後の生活面でのサポートは受入れ企業側の重要な役割です。

同国出身者同士の交流機会を設ける

同じ施設や近隣の施設で働くミャンマー人同士が交流できる機会を設けることで、異国での孤独感を軽減できます。母国語で悩みを共有できる仲間がいることは、精神的な支えになります。

2025年のミャンマー特定技能の最新動向

ミャンマー人特定技能外国人を取り巻く環境は、国内情勢や制度改正により急速に変化しています。2025年時点での最新動向を解説します。

特定技能送り出し国として3位に躍進

2025年6月末時点の統計で、ミャンマーは特定技能送り出し国として3位に躍進しました。ベトナム、インドネシアに次ぐ位置を確立し、フィリピンや中国を上回っています。

飲食料品製造業の試験がミャンマーで開始

2025年10月より、ついにミャンマーで特定技能「飲食料品製造業」の技能試験がスタートしました。ミャンマーでは特定技能職種の中で「飲食料品製造」が最も人気がありますが、長年試験が実施されていませんでした。

試験開始により、今後数ヶ月のうちに数百人から千人を超える特定技能「飲食料品製造」有資格者が誕生すると見込まれています。介護分野以外での採用を検討する企業にとっても、選択肢が広がることになります。

ミャンマー国内での試験実施状況

ミャンマーでは、首都ネーピードーや最大都市ヤンゴンを中心に、特定技能試験が数多く実施されています。2025年時点でミャンマーで実施されている主な試験は以下の通りです。

  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
  • 介護技能評価試験・介護日本語評価試験
  • 外食業特定技能1号技能測定試験
  • 農業技能測定試験
  • 宿泊分野特定技能評価試験
  • 飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験(2025年10月〜)
  • 自動車運送業分野特定技能評価試験

なお、紛争が多いのは国境や辺境地域であり、ヤンゴンや首都ネーピードーは比較的安全とされています。試験の実施には大きな支障は出ていません。

徴兵制度の影響と今後の見通し

2025年現在、徴兵制度により18歳〜35歳の男性の出国が制限されています。この制限がいつまで続くかは不透明であり、ミャンマー政府の方針次第で突然変更される可能性があります。

現時点での対応策としては、以下が考えられます。

  • 女性人材の採用に注力する
  • 国内在留のミャンマー人の活用を優先する
  • 複数の国籍の人材を並行して採用検討する
  • 最新の政策動向を常に確認し、柔軟に対応する

2025年4月からの訪問介護解禁

2025年4月21日から、特定技能外国人の訪問介護への従事が解禁されました。これにより、ミャンマー人特定技能外国人も、一定の要件を満たせば訪問介護事業所で働くことが可能になりました。ミャンマー人介護人材の活躍の場がさらに広がることが期待されます。

ミャンマー人特定技能外国人に関するよくある質問

ミャンマー人を特定技能「介護」で採用する際によく寄せられる質問にお答えします。

Q1:ミャンマー人の日本語能力はどの程度ですか?

特定技能「介護」を取得するためには、日本語能力試験N4以上の合格が必要です。ミャンマー語と日本語は文法構造が似ているため、日本語の上達が早く発音も上手な人が多いです。N3以上の日本語能力を持つミャンマー人も増えており、コミュニケーション面での不安は比較的少ないと言えます。

Q2:徴兵制度の影響で、ミャンマー人の採用はできなくなったのですか?

ミャンマー現地からの18歳〜35歳の男性の新規採用は現在非常に困難です。ただし、女性の採用や、既に日本国内に在留しているミャンマー人の採用は引き続き可能です。国内在留者は徴兵制度の影響を受けないため、より安定した採用が期待できます。

Q3:ミャンマー人は長く働いてくれますか?

国内情勢の不安定さから、ミャンマーに帰りたくないという人がほとんどという状況です。永住や在留資格「介護」への変更を目指すなど、長期就労への意欲が非常に高い人材が多いです。適切な配慮とキャリアパスの提示により、定着率の向上が期待できます。

Q4:認定送出機関を通さないと採用できないのですか?

ミャンマー現地から人材を採用する場合は、ミャンマー政府認定の送出機関を通す必要があります。これは法律で義務付けられており、送出機関を通さない人材雇用は違法となります。ただし、日本国内に既に在留しているミャンマー人を採用する場合は、送出機関を通す必要はありません。

Q5:ミャンマー人は宗教的な配慮が必要ですか?

ミャンマー人の約90%は仏教徒ですが、日本の大乗仏教とは異なる上座部仏教を信仰しています。瞑想や参拝を日常的に行う人もいますが、食事の禁忌などはイスラム教やヒンドゥー教ほど厳格ではありません。ただし、宗教行事への参加を希望する場合の休暇対応など、個別の配慮は必要です。

まとめ:ミャンマー人特定技能外国人の採用を検討しよう

本記事では、特定技能制度を活用したミャンマー人介護人材の採用について、詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントを整理します。

  • ミャンマー人は特定技能送り出し国として3位に躍進し、急速に存在感を高めている
  • 仏教の教えに基づく「徳を積む」価値観から、介護職への適性が非常に高い
  • 日本語と文法構造が似ているため、日本語習得が早く発音も上手
  • 謙虚で控えめ、調和を重視する国民性は日本人の価値観と似ており、馴染みやすい
  • 長期就労への意欲が高く、定着率の向上が期待できる
  • ミャンマー現地からの採用には認定送出機関の利用が必須
  • 2025年現在、徴兵制度により男性の新規海外採用は困難だが、女性や国内在留者の採用は可能
  • 温厚な性格で叱責への耐性が低いため、穏やかな指導が必要
  • 2025年4月から訪問介護への従事も解禁され、活躍の場が広がっている

2025年6月末時点の在留資格「特定技能」の外国人総数は約336,000人に達し前年同期から大幅に増加しています。

日本で働く外国人材の存在感が高まる中で国籍別で第3位に位置付けられているミャンマー人材は、介護業界の人手不足解消に大きく貢献できる有力な選択肢です。国内情勢の不安定さから採用に不確実性があるものの、文化や国民性への理解と適切な配慮を行うことで、長期的に活躍してくれる人材を確保することができます。

ミャンマー人介護人材の受け入れをご検討の介護施設経営者様・人事担当者様は、まずは登録支援機関にご相談ください。

執筆者コネクトナビ編集部

外国人材採用に役立つ情報を随時発信しています。


監修青山 信明

2018年から一般社団法人外国人介護留学生支援機構にて、日本で介護職を目指す外国人留学生の生活支援および就職支援を担当。ベトナム・ネパール・インド国籍の学生支援に従事する。
特定技能制度施行後は、同機構が登録支援機関として認可を受ける過程にも関与し、現在は主にベトナム国籍人材を中心とした特定技能外国人の支援業務を行っている。

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