2026.02.05

ネパール人介護人材はなぜ増えている?特定技能での採用手順と受入れ成功のポイント(2025年版)

近年、日本で働く外国人材の中でも、ネパール人の存在感が急速に高まっています。出入国在留管理庁の統計によると、2024年末時点で在留ネパール人は約23万人を超え、在留外国人の国籍別ランキングではブラジルを抜いて5位にまで浮上しました。この背景には、ネパール人の日本語習得の早さ、勤勉で協調性の高い国民性、そしてホスピタリティ精神の高さが、日本の介護現場をはじめとする様々な業種で高く評価されていることが挙げられます。

特に注目すべきは、特定技能制度を活用して日本で働くネパール人の増加率です。2024年12月末時点で特定技能のネパール人在留者数は約7,000人を超え、前年から約46%以上の大幅増を記録しています。そのうち約6割以上が介護分野で就労しており、ネパール人材と介護業界の親和性の高さがうかがえます。

本記事では、介護施設経営者・人事担当者向けに、特定技能制度を活用したネパール人介護人材の採用方法、ネパール人の特徴や国民性、受入れ時の注意点、そして2025年の最新動向まで、詳しく解説します。ネパール人材の採用を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

この記事のポイントは?

ネパール人材が日本で注目される理由

日本企業、特に介護業界においてネパール人材への注目が高まっている背景には、複数の要因があります。ここでは、ネパール人が日本で働く理由と、日本企業がネパール人を採用するメリットについて解説します。

ネパール人が日本で働く理由

ネパールは南アジアに位置する内陸国で、インドと中国に挟まれた山岳地帯に位置しています。エベレストを含むヒマラヤ山脈を擁する自然豊かな国ですが、経済的には発展途上国に分類され、国内での雇用機会が限られています。

ネパールの平均月額賃金は約14,000円程度とされる一方、日本で特定技能として働く場合の平均月額賃金は約20〜30万円に達します。この賃金格差は約15〜20倍にもなるため、ネパールの若者にとって日本での就労は非常に魅力的な選択肢となっています。

また、ネパールでは「出稼ぎ」が一般的な選択肢として社会的に認知されており、多くのネパール人が中東やマレーシア、韓国などへ出稼ぎに出ています。しかし、日本は治安の良さ、教育水準の高さ、労働環境の整備といった点で他国よりも魅力的な渡航先として認識されるようになり、日本を選ぶネパール人が増加しています。

ネパール人と日本の二国間協定

ネパールは、日本と「特定技能に関する協力覚書(MOC)」を締結している17ヶ国のうちの一つです。この協力覚書により、ネパール人材の送り出しと日本での受入れに関する基本的な枠組みが整備されています。

ただし、ネパールはインドネシアやフィリピン、ベトナムのようにEPA(経済連携協定)を日本と締結していないため、EPA介護福祉士候補者としての来日ルートはありません。ネパール人が介護分野で日本で働くためには、「特定技能」「技能実習」「在留資格:介護」のいずれかの在留資格を取得する必要があります。

在留ネパール人の現状

在留ネパール人の数は、ここ数年で急速に増加しています。

年末時点 在留ネパール人数 前年比増加率
2020年末 約96,000人
2022年末 約139,000人
2023年末 約176,000人 約27%増
2024年末 約233,000人 約32%増

特に2024年末には在留外国人の国籍別ランキングで5位に浮上し、ブラジルを抜いて急成長を遂げています。この増加の背景には、留学生や技能実習生としての来日に加え、特定技能制度を活用した就労目的の来日が増えていることが挙げられます。

ネパール人の国民性と介護職との親和性

ネパール人を介護人材として受け入れる際に、その国民性や文化的背景を理解しておくことは非常に重要です。ここでは、ネパール人の特徴と、なぜ介護職に向いているのかを解説します。

ネパール人の性格・気質の特徴

ネパール人の性格には、以下のような特徴があるとされています。もちろん個人差はありますが、一般的な傾向として理解しておくと、受入れ後のコミュニケーションに役立ちます。

助け合いの精神・ホスピタリティの高さ

ネパールは伝統的に大家族制が根付いており、日常的に高齢者や子どもと接する機会が多い社会です。このため、困っている人を助けるという意識が自然と身についており、ホスピタリティ精神が非常に高い傾向にあります。この特徴は、利用者への思いやりが求められる介護職において大きな強みとなります。

温厚でフレンドリーな性格

ネパールは100を超える民族が暮らす多民族国家です。異なる文化や価値観を持つ人々が共存してきた歴史から、ネパール人は他者に対して寛容で、オープンに接することができる国民性を持っています。初対面では遠慮がちな場合もありますが、一度打ち解けると人懐っこく、良好な人間関係を築きやすいとされています。

勤勉で真面目な労働姿勢

家族を支えるために海外で働くという強い目的意識を持つネパール人は、仕事に対して真面目に取り組む傾向があります。与えられた業務を最後までやり遂げる姿勢があり、責任感を持って仕事に臨む人材が多いとされています。

日本語習得のスピードが早い

ネパール語は日本語と同じSOV型(主語+目的語+動詞)の文法構造を持っています。英語やベトナム語のようなSVO型の言語を母国語とする人と比べて、日本語の語順に馴染みやすいという言語的な優位性があります。また、ネパールは多言語社会であり、複数の言語を使い分けることに慣れているため、新しい言語を学ぶことへの抵抗が少ない傾向にあります。

介護分野でネパール人が活躍している理由

出入国在留管理庁の統計によると、特定技能1号で在留するネパール人のうち、約60%以上が介護分野で働いています。これは他の国籍と比較しても突出して高い割合です。

この背景には、以下の要因が考えられます。

  • 高齢者を敬う文化が根付いており、介護という仕事への抵抗感が少ない
  • 大家族制の中で高齢者との接し方を自然と学んでいる
  • ホスピタリティ精神が高く、利用者への共感や思いやりを示すことができる
  • コミュニケーション能力が高く、利用者や同僚との関係構築が得意
  • ネパール国内で介護技能評価試験・介護日本語評価試験が定期的に実施されている

大阪の有料老人ホームで働くネパール人介護士のRさん(仮名)は、「ネパールでは祖父母と一緒に暮らすのが当たり前でした。お年寄りのお世話をすることは私にとって自然なことです」と話してくれました。こうした文化的背景が、ネパール人材と介護職の高い親和性につながっています。

注意すべきネパール人の特徴

一方で、受入れにあたって理解しておくべき注意点もあります。

時間感覚の違い

ネパールでは「ネパールタイム」と呼ばれるほど、時間に対する感覚がゆったりしています。日本人のように分刻みで時間を意識する習慣がないため、最初のうちは遅刻などが見られることがあります。これは悪意があるわけではなく、文化的な違いによるものです。「日本では時間を守ることが非常に重要である」ということを、入社時のオリエンテーションなどで丁寧に説明し、必要に応じて集合時間を早めに伝えるなどの工夫が効果的です。

漢字の習得に時間がかかる

ネパール語はデーヴァナーガリー文字を使用しており、漢字文化圏ではありません。そのため、介護記録の作成や書類の読み書きには、中国人や台湾人と比べて時間がかかる傾向があります。ふりがな付きのマニュアルを用意したり、記録の書き方を丁寧に指導したりするなどの配慮が必要です。

ネパール人を特定技能「介護」で採用する方法

ネパール人を特定技能「介護」で採用するには、大きく分けて「海外(ネパール現地)からの採用」と「国内在留者からの採用」の2つのルートがあります。それぞれの採用方法と流れを解説します。

海外(ネパール現地)からの採用

ネパール現地から人材を採用する場合の基本的な流れは以下の通りです。

  1. 人材の募集・選考
    • 自社のウェブサイトや求人サイトに直接求人を掲載する方法
    • 駐日ネパール大使館の求人情報提供システムを活用する方法
    • ネパールの送り出し機関や人材紹介会社を通じて募集する方法
  2. 試験合格の確認
    • 介護技能評価試験、介護日本語評価試験、日本語能力試験(N4以上)に合格していることを確認
    • 技能実習2号を良好に修了している場合は、介護技能評価試験と日本語能力試験が免除(ただし介護日本語評価試験は免除されない)
  3. 雇用契約の締結
    • 日本人と同等以上の報酬を支払う雇用契約を締結
    • フルタイムでの直接雇用が原則
  4. 在留資格認定証明書の交付申請
    • 地方出入国在留管理局に申請
    • 交付された証明書の原本をネパールにいる内定者に郵送
  5. 査証(ビザ)の申請
    • 内定者が在ネパール日本国大使館(カトマンズ)で査証申請
  6. 入国・就労開始
    • 査証発給後、日本に入国
    • 空港での出迎え、住居への案内など受入れ準備を実施

2025年7月からの新たな手続き要件

2025年7月以降、ネパール政府は特定技能でネパール人を雇用する場合にも「ネパール大使館認証手続き」を義務化する方針を示しています。これは従来、技能実習生の受入れ時にのみ必要とされていた手続きですが、特定技能にも拡大される見込みです。

具体的には、駐日ネパール大使館での求人票(デマンドレター)認証が必要となり、ネパール政府が認定した送り出し機関を通じて手続きを行うことが推奨されます。手続きに必要な書類や手数料については、最新情報をネパール大使館や関係機関に確認することをおすすめします。

国内在留者からの採用

日本国内に在留しているネパール人を特定技能「介護」で採用する場合は、以下のようなケースが考えられます。

  • 介護分野の技能実習2号または3号を修了したネパール人を特定技能に移行
  • 留学生として日本で学んでいたネパール人が試験に合格して特定技能に移行
  • 他の在留資格から特定技能に在留資格を変更

国内採用の場合の流れは以下の通りです。

  1. 人材の募集・選考
    • 人材紹介会社や登録支援機関を通じた紹介
    • ハローワークや求人サイトでの募集
    • 日本語学校や介護福祉士養成校からの紹介
  2. 試験合格・要件の確認
    • 必要な試験に合格していること、または技能実習2号を良好に修了していることを確認
  3. 雇用契約の締結
    • 日本人と同等以上の報酬を支払う雇用契約を締結
  4. 在留資格変更許可申請
    • 地方出入国在留管理局に申請
    • 在留資格認定証明書(COE)は不要なため、海外採用より手続きが簡略化される
  5. 就労開始
    • 在留資格変更が許可され次第、就労開始

国内採用のメリットは、既に日本での生活経験があり、日本語能力や日本の文化・習慣への理解が進んでいるケースが多い点です。一方で、国内在留のネパール人材は限られており、採用競争が激しいというデメリットもあります。

ネパール人採用の特徴:送り出し機関の利用は任意

ベトナムやミャンマーなど一部の国では、特定技能人材の送り出しに際して政府認定の送り出し機関を通すことが必須とされています。しかし、ネパールの場合、送り出し機関の利用は任意とされてきました。これにより、受入れ企業が直接現地で採用活動を行うことも可能であり、送り出し機関への手数料を抑えられる可能性があります。

ただし、前述のように2025年7月以降は手続きが変更される見込みがあるため、最新情報を確認した上で採用計画を立てることが重要です。

ネパール人を受け入れる際の宗教・文化への配慮

ネパール人を受け入れる際には、宗教や文化の違いを理解し、配慮することが重要です。これらの配慮ができるかどうかが、外国人材の定着率に大きく影響します。

ヒンドゥー教への理解と配慮

ネパールの国民の約81%がヒンドゥー教を信仰しています。ヒンドゥー教には日常生活に関わる様々な教えや禁忌があるため、これらを理解しておくことが大切です。

食事に関する配慮

ヒンドゥー教では牛は神聖な動物とされており、牛肉を食べることは禁じられています。また、豚は不浄な動物とされ、豚肉も避ける人が多いです。信仰の度合いによっては、肉全般、魚介類、卵なども避ける人がいます。

介護施設での食事提供の際には、以下の点に注意が必要です。

  • 職員食の選択肢を用意する(肉を避けた食事など)
  • ブイヨンや出汁に牛肉・豚肉エキスが含まれていないか確認
  • 調理器具が禁止食材に触れていないか配慮
  • 本人に食事の禁忌について事前に確認しておく

ただし、ネパール人の若者の中には、日本ではそこまで厳格に守らないという人も増えています。重要なのは、本人に直接確認し、希望に応じた対応をすることです。

左手と右手に関する配慮

ヒンドゥー教では、左手は不浄とされています。食事を提供する際や物を手渡す際は、右手を使うように意識することで、相手への敬意を示すことができます。介護の現場では難しい場面もあるかもしれませんが、知識として持っておくことが大切です。

頭を触ることへの配慮

ヒンドゥー教では頭は神聖な部位とされており、他人の頭を触ることは避けるべきとされています。利用者に対してはもちろん、ネパール人スタッフ同士でもこの点に配慮が必要です。

重要な行事・祭りへの配慮

ネパールには国民が大切にしている年中行事があります。特に重要なのが以下の2つです。

ダサイン(Dashain)

毎年9月〜10月頃に約15日間行われるネパール最大のお祭りです。日本のお正月やお盆に相当する重要な行事で、家族全員が実家に集まって祝います。この期間中、帰国や休暇の申請が増えることが予想されます。事前に休暇の希望を確認し、可能な範囲でシフト調整を行うことで、信頼関係の構築につながります。

ティハール(Tihar)

ダサインの約2週間後に行われる「光のお祭り」です。5日間にわたって行われ、これも家族で過ごす大切な行事とされています。

これらの行事は、ネパール人にとって非常に重要な意味を持ちます。文化や宗教を尊重し、できる限り配慮することが、外国人材のモチベーション維持と定着率向上につながります。

冠婚葬祭に関する配慮

ネパールでは、冠婚葬祭の際に宗教的なルールを守ることが非常に重視されます。例えば、両親に不幸があった場合、男性は坊主にする、夫を亡くした女性はしばらく赤い服を着てはいけないなどのルールがあります。

こうした宗教的な慣習は、ネパール人にとって非常に大切なものです。会社の制度や制服の都合で対応が難しい場合でも、頭ごなしに否定するのではなく、本人と話し合い、可能な範囲での配慮を検討することが重要です。

ネパール人を特定技能で採用するメリットとデメリット

ネパール人を特定技能「介護」で採用することには、様々なメリットがある一方、注意すべき点もあります。ここでは、メリットとデメリットを整理して解説します。

採用のメリット

1. 日本語習得が早い

前述の通り、ネパール語と日本語は文法構造が似ているため、日本語の習得が比較的スムーズです。多言語環境で育ったネパール人は新しい言語を学ぶことへの抵抗が少なく、入社後も継続的に日本語能力を向上させることが期待できます。

2. 介護職への適性が高い

ホスピタリティ精神の高さ、高齢者を敬う文化、助け合いの精神など、ネパール人の国民性は介護職に非常に適しています。特定技能1号で在留するネパール人の約6割以上が介護分野で働いているという事実が、この親和性の高さを物語っています。

3. 勤勉で真面目な労働姿勢

家族への仕送りという明確な目的を持って来日するネパール人は、仕事に対して真剣に取り組みます。責任感を持って業務に臨む姿勢は、介護現場において大きな戦力となります。

4. 送り出し機関の利用が任意(2025年7月まで)

一部の国と異なり、ネパールでは送り出し機関の利用が必須ではなかったため、採用コストを抑えられる可能性がありました。ただし、2025年7月以降は手続きが変更される見込みがあるため、注意が必要です。

5. 英語でのコミュニケーションも可能

ネパールでは私立学校を中心に英語教育が行われており、英語が話せるネパール人も多くいます。日本語がまだ不十分な段階でも、英語で補助的なコミュニケーションができる場合があります。

採用のデメリット・注意点

1. 時間感覚の違い

ネパールでは時間に対する感覚がゆったりしており、日本人のような時間厳守の意識が薄い傾向があります。遅刻などが見られた場合は、悪意ではなく文化的な違いによるものと理解した上で、日本でのルールを丁寧に説明することが重要です。

2. 宗教・食文化への配慮が必要

ヒンドゥー教の教えに基づく食事の禁忌や、重要な行事への配慮が必要です。これらの配慮ができないと、早期離職につながるリスクがあります。

3. 漢字の習得に時間がかかる

漢字文化圏出身ではないため、介護記録の作成など書類業務には時間がかかります。ふりがな付きの資料を準備するなどの工夫が必要です。

4. 特定技能での在留者数がまだ少ない

特定技能でのネパール人在留者数は増加傾向にあるものの、ベトナムやインドネシアと比較するとまだ少数です。母数が限られているため、採用競争が激しくなる可能性があります。

ネパール人特定技能外国人の受入れ費用

ネパール人を特定技能「介護」で採用する際にかかる費用について解説します。費用の内訳や相場を理解しておくことで、受入れ計画を立てやすくなります。

初期費用の目安

費用項目 海外採用の場合 国内採用の場合
人材紹介手数料 20〜40万円程度 20〜40万円程度
在留資格申請費用 10〜20万円程度 5〜15万円程度
渡航費(航空券等) 5〜15万円程度 不要
住居初期費用 10〜30万円程度 10〜30万円程度
その他諸費用 5〜10万円程度 5〜10万円程度

上記はあくまで目安であり、人材紹介会社や登録支援機関によって費用体系は異なります。複数の機関から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

継続費用の目安

特定技能外国人を雇用した後も、以下のような継続的な費用が発生します。

  • 登録支援機関への支援委託費:月額1〜3万円程度(外国人1人あたり)
  • 日本語学習支援費:月額数千円〜数万円程度(教材費、オンライン学習サービス等)
  • 定期面談・生活サポート費用:支援委託費に含まれる場合が多い

なお、一般社団法人 外国人介護留学生支援機構のように、採用決定まで完全無料でサポートを行っている登録支援機関もあります。初期費用を抑えたい場合は、このような機関を活用することも選択肢の一つです。

ネパール人本人が負担する費用

ネパール人が日本で特定技能として働くためには、本人側にも一定の費用負担が発生します。

  • 海外労働保険への加入費用
  • 海外労働者社会福祉基金への支払い
  • 試験受験料(介護技能評価試験:1,000円、介護日本語評価試験:1,000円など)
  • パスポート取得費用

受入れ企業が直接負担する費用ではありませんが、ネパール人材には一定の経済的負担が生じることを理解しておくことが大切です。

ネパール人特定技能外国人の定着率を高めるポイント

特定技能は同一分野内での転職が認められているため、採用後の定着率を高める取り組みが重要です。ネパール人材に長く働いてもらうためのポイントを解説します。

文化・宗教への理解を示す

前述の通り、ネパール人にとって宗教や文化は非常に重要です。食事の禁忌への配慮、重要な行事への休暇付与など、できる限りの配慮を行うことで、「この職場は自分のことを大切にしてくれている」という信頼感が生まれます。

大阪のグループホームでは、ダサインの時期にネパール人スタッフに有給休暇を取得しやすいようシフト調整を行っています。「母国の家族と電話で話せる時間を確保できて嬉しい」と、スタッフからは好評です。

コミュニケーションの機会を増やす

ネパール人は打ち解けると人懐っこく、良好な人間関係を大切にします。定期的な面談はもちろん、日常的な声かけや、休憩時間の雑談なども積極的に行うことで、職場への帰属意識が高まります。

自分の意見をはっきり主張する傾向もあるため、何か不満や困りごとがあれば相談しやすい雰囲気を作ることが大切です。

キャリアパスを明示する

ネパール人材のモチベーションを維持するためには、将来のキャリアパスを明確に示すことが効果的です。

  • 介護福祉士資格取得に向けた支援(勉強会の開催、受験費用の補助など)
  • 資格取得後の処遇改善(給与アップ、在留資格「介護」への変更支援など)
  • 日本語能力向上に応じた昇給・昇格制度

介護福祉士の資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更でき、在留期間の上限がなくなります。「長く働き続けられる」という将来の見通しを示すことが、定着率向上につながります。

生活面でのサポートを充実させる

初めて日本で生活するネパール人にとって、住居探し、銀行口座開設、携帯電話契約、病院の受診など、様々な場面でサポートが必要です。登録支援機関を活用するか、自社で支援体制を整えるかを検討し、生活面での不安を解消してあげることが大切です。

同国出身者同士の交流機会を設ける

同じ施設や近隣の施設で働くネパール人同士が交流できる機会を設けることで、異国での孤独感を軽減できます。母国語で悩みを共有できる仲間がいることは、精神的な支えになります。

2025年のネパール特定技能の最新動向

ネパール人特定技能外国人を取り巻く環境は、制度改正や国際情勢により変化しています。2025年時点での最新動向を解説します。

特定技能ネパール人在留者数の推移

特定技能制度を活用して日本で働くネパール人の数は、年々増加しています。

時期 特定技能ネパール人数 対前年比
2022年12月末 約3,000人
2023年12月末 約5,400人 約80%増
2024年6月末 約6,700人
2024年12月末 約7,000人超 約30%増

特に注目すべきは、ネパール人の約95%が試験ルートで特定技能を取得している点です。これは、技能実習からの移行が多いベトナムやインドネシアとは異なる傾向であり、ネパール国内での日本語教育や介護技能教育の体制が整備されてきていることを示しています。

ネパール国内での試験実施状況

ネパールでは、介護技能評価試験・介護日本語評価試験をはじめ、様々な分野の特定技能試験が定期的に実施されています。2025年時点で、ネパールで実施されている主な試験は以下の通りです。

  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
  • 介護技能評価試験・介護日本語評価試験
  • 外食業特定技能1号技能測定試験
  • 農業技能測定試験
  • 建設分野特定技能評価試験
  • 宿泊分野特定技能評価試験
  • 自動車運送業分野特定技能評価試験

試験の実施頻度が増えたことで、ネパール人が特定技能の資格を取得しやすい環境が整ってきています。

2025年4月からの訪問介護解禁

2025年4月21日から、特定技能外国人の訪問介護への従事が解禁されました。これにより、ネパール人特定技能外国人も、一定の要件を満たせば訪問介護事業所で働くことが可能になりました。

訪問介護で働くための主な要件は以下の通りです。

  • 介護職員初任者研修を修了していること
  • 介護事業所等での実務経験が原則1年以上あること
  • 受入れ事業者が必要な研修・指導体制を整備していること

この制度改正により、ネパール人介護人材の活躍の場がさらに広がることが期待されます。

2025年7月からのネパール大使館認証手続きの義務化

2025年7月以降、ネパール政府は特定技能でネパール人を雇用する場合にも、駐日ネパール大使館での求人票認証手続きを義務化する方針です。これにより、従来は送り出し機関の利用が任意だったネパール人の特定技能採用においても、一定の手続きが必要になる見込みです。

開始時期や具体的な手続き方法については、最新情報を駐日ネパール大使館や関係機関に確認することをおすすめします。

ネパール人特定技能外国人に関するよくある質問

ネパール人を特定技能「介護」で採用する際によく寄せられる質問にお答えします。

Q1:ネパール人の日本語能力はどの程度ですか?

特定技能「介護」を取得するためには、日本語能力試験N4以上の合格が必要です。N4レベルは「基本的な日本語を理解できる」水準であり、日常会話は可能です。ネパール語と日本語は文法構造が似ているため、来日後も比較的スムーズに日本語能力を向上させることができます。ただし、漢字の習得には時間がかかる傾向があるため、介護記録の作成などには配慮が必要です。

Q2:ネパール人は牛肉を食べられないと聞きましたが、介護現場で問題になりませんか?

ヒンドゥー教を信仰するネパール人の多くは牛肉を食べませんが、利用者の食事の調理や配膳は問題なく行える場合がほとんどです。自分が食べないことと、他の人のために調理することは別問題と考える人が多いです。ただし、信仰の度合いには個人差があるため、採用時に本人に確認しておくことをおすすめします。

Q3:ネパール人は時間にルーズだと聞きましたが、大丈夫でしょうか?

ネパールでは日本ほど時間に厳格ではないため、最初のうちは遅刻などが見られることがあります。これは悪意ではなく文化的な違いによるものです。入社時のオリエンテーションで「日本では時間を守ることが非常に重要である」ことを丁寧に説明し、必要に応じて早めの集合時間を伝えるなどの工夫をすれば、徐々に日本の時間感覚に適応してくれます。

Q4:ネパール人を採用する際の手続きは複雑ですか?

基本的な手続きは他の国籍の特定技能外国人と同様です。ただし、2025年7月以降はネパール大使館での認証手続きが必要になる見込みがあり、手続きが増える可能性があります。登録支援機関を活用すれば、手続きの負担を大幅に軽減できます。

Q5:ネパール人は寒さに強いですか?

ネパールは山岳地帯を多く含む国であり、標高の高い地域では冬に雪も降ります。そのため、寒冷地での生活に比較的耐性がある人が多いとされています。北日本の介護施設でも、ネパール人材の採用実績があります。

まとめ:ネパール人特定技能外国人の採用を検討しよう

本記事では、特定技能制度を活用したネパール人介護人材の採用について、詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントを整理します。

  • ネパール人は日本語習得が早く、勤勉で協調性が高い国民性を持つ
  • ホスピタリティ精神が高く、高齢者を敬う文化があるため、介護職との親和性が非常に高い
  • 特定技能1号で在留するネパール人の約6割以上が介護分野で就労している
  • 採用ルートは「海外(ネパール現地)採用」と「国内在留者採用」の2パターン
  • ヒンドゥー教の食事の禁忌や、ダサインなどの重要な行事への配慮が定着率向上に重要
  • 時間感覚の違いや漢字習得の困難さなど、注意すべき点もある
  • 2025年7月以降、ネパール大使館での認証手続きが義務化される見込み
  • 2025年4月から訪問介護への従事も解禁され、活躍の場が広がっている

ネパール人材は、介護業界の人手不足解消に貢献できる有力な選択肢の一つです。文化や宗教の違いを理解し、適切な配慮を行うことで、長期的に活躍してくれる人材を確保することができます。

執筆者コネクトナビ編集部

外国人材採用に役立つ情報を随時発信しています。


監修青山 信明

2018年から一般社団法人外国人介護留学生支援機構にて、日本で介護職を目指す外国人留学生の生活支援および就職支援を担当。ベトナム・ネパール・インド国籍の学生支援に従事する。
特定技能制度施行後は、同機構が登録支援機関として認可を受ける過程にも関与し、現在は主にベトナム国籍人材を中心とした特定技能外国人の支援業務を行っている。

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