特定技能1号と2号の7つの違いとは?5年後のキャリアパスと永住権への道を徹底解説
特定技能1号・2号の違いや移行を検討するうえでは、そもそも「特定技能制度全体の基本」「採用~就業開始までの流れ」「費用感」「定着のポイント」まで俯瞰して押さえておくと判断がブレません。制度の全体像から整理したい方は、まず特定技能制度の完全ガイドをご覧ください。
特定技能1号で雇用している外国人材の在留期間が、気づけば残り1~2年。「このまま雇用を続けたいが、5年後はどうなってしまうのだろう」「せっかく業務を覚えてくれた優秀な人材を帰国させなければならないのか」といった悩みを抱える企業の人事・労務担当者様は少なくありません。
また、日本で働く外国人ご本人にとっても、「5年経ったら必ず国に帰らないといけないの?」「もっと長く日本で働いて、家族と一緒に暮らしたい」という将来への不安は切実な問題です。
ご安心ください。特定技能1号の「5年の壁」の先には、続いていく道があります。それが「特定技能2号」への移行です。
この記事では、外国人材雇用に詳しい人事労務コンサルタントの視点から、特定技能1号と2号の7つの明確な違いと、優秀な人材の長期定着および外国人材本人のキャリアアップを実現する「特定技能2号」への移行プロセスについて、【2025年最新情報】に基づいて徹底的に解説します。この記事を読めば、5年後を見据えた具体的なアクションプランを描けるようになるはずです。
この記事のポイントは?
まずは結論から!特定技能1号と2号の7つの違いを一覧比較
詳細な解説に入る前に、まずは結論から。特定技能1号と2号の最も重要な7つの違いを一覧表で比較してみましょう。この表を見るだけで、両者の違いが明確にイメージできるはずです。
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1. 在留期間 | 通算上限5年 | 上限なし(更新可能) | 最も大きな違い。長期雇用が可能に。 |
| 2. 家族帯同 | 原則不可 | 可能(配偶者・子) | 本人の定着率とモチベーション向上に直結。 |
| 3. 永住権申請 | 1号の期間は対象外 | 2号の期間は対象(要件あり) | 将来的な永住への道が開ける。 |
| 4. 技能水準 | 相当程度の知識・経験(即戦力) | 熟練した技能(指導者レベル) | 現場のリーダーとしての活躍を期待。 |
| 5. 日本語能力 | 試験等で確認が必要(N4相当) | 試験は原則不要 | ※漁業・外食業など一部例外あり。 |
| 6. 企業の支援義務 | 義務あり(10項目) | 不要 | 企業の管理コスト・負担が軽減。 |
| 7. 対象分野 | 16分野 | 11分野 | 介護分野などは2号の対象外。 |
いかがでしょうか。特に「在留期間の上限撤廃」「家族帯同」「永住権への道」は、企業と外国人材の双方にとって非常に大きなメリットと言えます。それでは、次章からこれらの違いを一つひとつ詳しく見ていきましょう。
1. 在留期間|「通算5年」と「上限なし」の大きな壁
特定技能1号と2号の最も本質的な違いは、在留期間の上限です。
- 特定技能1号: 在留期間は1年、6ヶ月または4ヶ月ごとに更新が必要で、通算で上限5年と定められています。なお、この上限5年には、他の在留資格で日本に滞在していた期間は含まれません。あくまで「特定技能1号」として活動できる期間が最大5年ということです。この「5年の壁」により、企業は長期的な人員計画を立てにくく、外国人本人もキャリアの断絶という不安を抱えることになります。
- 特定技能2号: 在留期間の更新に上限がありません。3年、1年または6ヶ月ごとに更新手続きを行えば、理論上半永久的に日本で就労を続けることが可能です。これは企業にとって、投資して育成した熟練人材を失うことなく、事業の中核を担う存在として長期的に雇用し続けられることを意味します。
2. 家族帯同|単身での滞在か、家族と日本で暮らすか
生活基盤の安定という観点から、家族帯同の可否は極めて重要な違いです。
- 特定技能1号: 原則として家族(配偶者や子)を日本に呼び寄せて一緒に暮らすことは認められていません。母国に家族を残して単身で来日している方がほとんどであり、これが精神的な負担となったり、5年での帰国を選択する一因となったりすることもあります。
- 特定技能2号: 要件を満たせば、配偶者と子の帯同が認められます。家族と一緒に日本で安定した生活を送れることは、外国人材本人の働くモチベーションを大きく向上させ、日本への定着を促す強力なインセンティブとなります。企業側から見ても、従業員の生活が安定することは、離職率の低下と生産性の向上に直結する大きなメリットです。
3. 永住権申請への道|2号なら将来の永住も視野に
日本での永住を希望する外国人材にとって、特定技能2号は大きな希望となります。
永住許可を得るためには、原則として「引き続き10年以上日本に在留していること」という要件がありますが、在留資格によってはこの期間のカウント方法が異なります。
- 特定技能1号: 特定技能1号として在留した最大5年間は、この10年の在留期間には原則としてカウントされません。そのため、1号のままでは永住権を取得するのは極めて困難です。
- 特定技能2号: 特定技能2号の在留資格で滞在した期間は、永住許可申請の在留期間要件にカウントされます。つまり、特定技能2号へ移行し、在留を継続することで、将来的に永住権を申請する道が開かれるのです。これは、日本を終の棲家として考えたいと願う外国人材にとって、最大の目標の一つとなり得ます。
4. 求められる技能水準|即戦力レベルと指導者レベル
特定技能1号と2号では、求められるスキルレベルが明確に異なります。
- 特定技能1号: 「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」が求められます。これは、特別な育成・訓練を受けなくても、すぐに担当業務に従事できる「即戦力」レベルを指します。
- 特定技能2号: 「熟練した技能」が求められます。これは、長年の実務経験に裏打ちされた高度なスキルを持ち、自らの判断で業務を遂行できるだけでなく、他の従業員(日本人含む)を指導・監督する「現場リーダー」や「班長」としての役割を担えるレベルです。企業にとっては、現場の生産性向上や技術継承を任せられる貴重な人材となります。
5. 日本語能力の要件|求められるレベルの違いは?
日本語能力に関しても、求められる基準に違いがあります。
- 特定技能1号: 取得にあたり、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)のN4」に合格する必要があります。(※技能実習2号を良好に修了した場合は免除)これは、業務や日常生活に必要な、基本的な日本語でコミュニケーションが取れるレベルです。
- 特定技能2号: 原則として、移行時に日本語能力を測る試験は課されません。1号での5年間の就労を通じて、業務に必要な日本語能力は身についていると見なされるためです。ただし、漁業分野や外食業分野など、一部の分野ではJLPTのN3以上が求められる場合がありますので、その点には注意が必要です。もちろん、指導的立場として円滑なコミュニケーションを取るためには、試験の有無にかかわらず高い日本語能力が望ましいでしょう。
6. 受入れ企業による支援義務|支援が必要な1号、不要な2号
企業側の管理体制における大きな違いが、この支援義務の有無です。
- 特定技能1号: 受入れ企業には、外国人材が日本で安定して働き、生活できるよう、10項目にわたる支援(義務的支援)を行うことが法律で義務付けられています。これには、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保の支援、各種契約のサポート、日本語学習機会の提供、相談・苦情への対応などが含まれます。これらの支援を自社で行うのが難しい場合は、国の認可を受けた「登録支援機関」に委託することが一般的です。
- 特定技能2号: 日本での生活に慣れ、自立して生活できる人材と見なされるため、この義務的支援は不要となります。これにより、企業は登録支援機関への委託費用や、自社での支援にかかる人的コストを削減できるというメリットがあります。
7. 対象分野|2号の方が対象分野が少ない理由
2025年現在、特定技能の対象分野は1号と2号で数が異なります。
- 特定技能1号: 介護、建設、農業、外食業など16分野が対象です。(2024年に自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野が追加)
- 特定技能2号: 建設、造船・舶用工業、飲食料品製造業など11分野が対象です。
なぜ、2号の方が対象分野の数が少ないのでしょうか。例えば「介護」分野が2号の対象外なのは、より専門性の高い国家資格である「介護福祉士」を取得すれば、在留資格「介護」への移行が可能となり、同様に在留期間の更新や家族帯同が認められるため、別のキャリアパスが用意されているからです。
自社が属する分野が2号の対象となっているか、事前に確認することが重要です。不明な点があれば、専門家である登録支援機関へご相談ください。
そもそも特定技能制度とは?技能実習との違いもわかりやすく整理
ここで一度、特定技能制度の基本と、よく混同されがちな「技能実習制度」との違いについて整理しておきましょう。この違いを理解することが、適切な人材活用につながります。
制度の目的:日本の産業を支える「即戦力」の外国人材を受け入れる
特定技能制度は、日本の深刻な人手不足に対応するため、2019年4月に創設されました。その目的は、国内での人材確保が困難な特定の産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人材を「労働力」として受け入れることです。あくまで労働力の確保が主目的であり、即戦力として現場で活躍してもらうことが期待されています。
技能実習制度との決定的な違いは目的と転職の自由度
一方で、技能実習制度は日本の技能や技術、知識を開発途上地域へ移転することを目的とした「国際貢献」のための制度です。両者の違いは明確です。
| 項目 | 特定技能制度 | 技能実習制度 |
|---|---|---|
| 目的 | 労働力の確保 | 国際貢献(技能移転) |
| 転職 | 可能(同一分野内) | 原則不可 |
| 受入れ方式 | 企業が直接雇用 | 監理団体を通す場合が多い |
| 活動内容 | 労働 | 実習(技能等の修得) |
※なお、技能実習制度は課題が多いため廃止され、2027年をめどに、人材確保と育成を目的とする新制度「育成就労制度」へ移行することが決定しています。この新制度は特定技能制度への連携がよりスムーズになるよう設計される予定です。
【特定技能1号】の要件・対象分野・支援義務を完全ガイド
特定技能2号への移行を考える前に、まずは現在またはこれから受け入れる「特定技能1号」について正確に理解しておくことが不可欠です。
取得するための2つのルート:試験に合格するか、技能実習2号を修了する
特定技能1号の在留資格を得るためには、主に2つのルートがあります。
- 試験合格ルート:
- 技能試験: 各産業分野が定める「技能測定試験」に合格すること。
- 日本語試験: 「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT) N4」に合格すること。
- ※介護分野では、上記に加えて「介護日本語評価試験」の合格も必要です。
- 技能実習からの移行ルート:
- 技能実習2号を良好に修了していること。
- このルートの場合、上記の技能試験と日本語試験が免除されます。
- 技能実習と同じ分野、または関連性のある分野の特定技能へ移行することが一般的です。
対象となる全16分野の仕事内容一覧【2024年追加4分野も網羅】
2025年現在、特定技能1号の対象は以下の16分野です。
- 介護: 利用者の入浴、食事、排せつなどの介助
- ビルクリーニング: 建築物内部の清掃
- 工業製品製造業: 機械金属加工、電気電子機器組立てなど(旧:素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業が統合)
- 建設: 型枠施工、左官、鉄筋施工など
- 造船・舶用工業: 溶接、塗装、鉄工など
- 自動車整備: 自動車の点検、整備
- 航空: 空港グランドハンドリング、航空機整備
- 宿泊: フロント、接客、レストランサービスなど
- 農業: 栽培管理、農産物の出荷・選別など
- 漁業: 漁具の製作・補修、水産動植物の捕獲など
- 飲食料品製造業: 酒類を除く飲食料品の製造・加工
- 外食業: 調理、接客、店舗管理
- 自動車運送業 (2024年追加): トラック、バス、タクシーの運転業務
- 鉄道 (2024年追加): 運転士、車掌、駅係員、保守・整備
- 林業 (2024年追加): 育林、素材生産など
- 木材産業 (2024年追加): 製材、木材加工など
受入れ企業に課される10項目の「義務的支援」とは? 登録支援機関の活用方法も解説
前述の通り、特定技能1号の外国人を受け入れる企業には、以下の10項目の支援を行う義務があります。
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(非自発的離職時等)
- 定期的な面談
これらの支援をすべて自社で行うには、多言語対応ができる専門の担当者が必要です。そのため、多くの企業はこれらの支援業務を「登録支援機関」に委託しています。煩雑な手続きや専門的なサポートを任せることで、企業は本来の事業活動に集中できます。
【特定技能2号】で実現する長期就労とキャリアアップ
特定技能2号は、単に在留期間が延びるだけではありません。外国人材本人にとってはキャリアアップの証であり、企業にとっては事業の核となる人材を確保する戦略的な選択肢です。
「熟練した技能」とは?班長など管理・指導経験がカギ
特定技能2号に求められる「熟練した技能」とは、具体的にどのようなレベルを指すのでしょうか。これは、分野によって定義は異なりますが、共通しているのは「自己の判断で業務を遂行し、かつ、他の技能者を指導する能力」です。
- 建設分野: 複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験。
- 外食業分野: 副店長、サブマネージャー等として店舗経営に相当程度関与する実務経験。
- 製造業分野: 工程を管理し、他の技能者への指導を行う実務経験。
このように、単なるプレイヤーとしてだけでなく、現場をまとめるリーダーとしての役割が明確に求められます。
対象となる11分野と1号より高度な業務内容
特定技能2号の対象は以下の11分野です。(2024年追加の4分野は現時点では対象外)
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
これらの分野において、1号よりも高度な業務、例えば「製造ラインの品質管理・改善提案」「後輩への技術指導」「シフト管理や安全衛生管理」といった、より責任のある役割を担うことになります。
特定技能1号から2号へ!移行するための具体的な3ステップと試験情報
それでは、この記事の核心である「特定技能1号から2号への移行プロセス」を具体的に見ていきましょう。移行には、計画的な準備が不可欠です。
【ここに1号→2号移行フローチャート図を挿入】
(フローチャート内容案:[特定技能1号で就労開始] → [ステップ1: 実務経験を積む(管理・指導経験)] → [ステップ2: 特定技能2号評価試験を受験・合格] → [ステップ3: 在留資格変更許可申請] → [特定技能2号取得!])
ステップ1:必要な実務経験を積む(管理・指導経験の重要性)
まず、2号の試験を受ける前提として、分野ごとに定められた実務経験を積む必要があります。重要なのは、ただ長く働くだけでなく、意識的に管理・指導経験を積ませることです。
企業側は、将来の2号移行候補者に対し、早い段階から後輩の指導役を任せたり、小さなチームのリーダーを経験させたりするなどして、キャリアパスを明確に示し、計画的に育成することが求められます。例えば、製造業分野では「日本国内の製造現場における3年以上の実務経験」が、建設分野では「班長としての実務経験」が必要とされています。
ステップ2:特定技能2号評価試験に合格する(試験内容と対策)
次に、各分野で実施される「特定技能2号評価試験」に合格しなければなりません。この試験は、1号の試験よりも難易度が高く、ペーパーテストに加えて実技試験が課される場合もあります。内容は、各分野で求められる「熟練した技能」、つまり管理者・指導者レベルの知識や判断力を問うものとなります。
試験の実施時期や申込方法は、各分野の業界団体や試験実施機関のウェブサイトで公表されます。合格のためには、過去の問題傾向を分析したり、社内で勉強会を実施したりするなど、企業側のサポート体制も重要になります。計画的な準備期間を設け、本人と企業が一体となって取り組むことが合格への近道です。
ステップ3:在留資格変更許可申請を行う(必要書類と手続きの流れ)
実務経験の要件を満たし、試験に合格したら、最後に出入国在留管理庁へ「在留資格変更許可申請」を行います。
主な必要書類は以下の通りですが、個別の状況によって異なります。
- 在留資格変更許可申請書
- 特定技能2号評価試験の合格証明書の写し
- 実務経験を証明する書類(企業が発行)
- 雇用契約書や労働条件通知書の写し
- 源泉徴収票などの納税証明書
申請から許可までは数ヶ月かかることが一般的です。書類に不備があるとさらに時間がかかるため、申請準備は慎重に行う必要があります。こうした複雑な手続きは、行政書士や登録支援機関といった専門家に相談しながら進めるのが最も確実で安心です。
まとめ:特定技能2号への移行は計画的な準備がカギ
今回は、特定技能1号と2号の7つの違い、そして2号へ移行するための具体的なステップについて解説しました。
【この記事のポイント】
- 特定技能1号と2号の最大の違いは「在留期間(5年上限 vs 上限なし)」「家族帯同の可否」「永住権への道」
- 2号は単なる作業者ではなく、現場をまとめる「指導者・リーダー」としての役割が期待される
- 2号へ移行するには「管理・指導に関する実務経験」と「2号評価試験の合格」が必須
- 移行の成功には、本人と企業が協力し、キャリアプランを共有しながら計画的に準備を進めることが不可欠
特定技能2号への道は、外国人材にとっては日本でのキャリアと生活を安定させるための重要なステップであり、企業にとっては多大な投資をして育成した優秀な人材を長期的に確保し、事業の成長を確実なものにするための極めて有効な戦略です。
5年の壁を目前にしてから慌てるのではなく、在留期間が残り2年を切ったあたりから本人と面談し、2号移行の意向を確認し、具体的な計画を立て始めることを強くお勧めします。
特定技能制度の複雑な手続きや、2号移行に向けた育成計画についてお悩みの際は、ぜひ本サイトで紹介している優良登録支援機関にご相談ください。
執筆者コネクトナビ編集部
外国人材採用に役立つ情報を随時発信しています。
