特定技能の更新手続き完全ガイド|必要書類から不許可ケースまで人事担当者が知るべき全知識
特定技能の更新手続きは、在留期間のルールや受入れ企業の義務など「制度全体」の理解があると、書類準備や不許可リスクの判断が格段にスムーズになります。まず特定技能制度の全体像を押さえたい方は、特定技能制度の基本と実務ポイントをまとめた解説もあわせてご確認ください。
「特定技能外国人の在留カードの期限が近づいてきて、更新手続き、どう進めたらいいんだろう…」
「専門用語が多くて分かりにくいし、万が一ミスして更新できなかったら、その従業員はどうなるんだろう…」
初めて特定技能の更新手続きを担当される総務・人事の皆さま、このような不安やプレッシャーを感じていませんか?責任も大きく、何から手をつければいいか分からなくなるのは当然です。
でも、ご安心ください。特定技能の更新手続きは、ポイントを押さえて手順通りに進めれば、決して難しいものではありません。
この記事では、特定技能外国人の雇用実務に精通した専門家が、人事担当者の皆さまの視点に立ち、特定技能の更新手続きの全知識を5つのステップで分かりやすく解説します。必要書類のチェックリストから、つい見落としがちな不許可ケースとその対策、かかる費用まで、知りたい情報をすべて網羅しました。
この記事を最後まで読めば、更新手続きへの漠然とした不安が「これならできる」という自信に変わります。明日から何をすべきかが明確になり、外国人従業員からの質問にも的確に答えられるようになるはずです。さあ、一緒にスムーズな更新を実現しましょう。
この記事のポイントは?
特定技能の更新とは?まず押さえたい在留期間の基本ルール
そもそも、なぜ特定技能の在留資格は「更新」が必要なのでしょうか?まずは、すべての基本となる在留期間のルールから押さえましょう。
特定技能1号の在留資格は、一度許可されると永続的に有効なわけではありません。許可される在留期間は「1年」「6ヶ月」「4ヶ月」のいずれかで、これは外国人本人や受け入れ企業(所属機関)の状況に応じて、入管の審査官が個別に決定します。
そして、最も重要なルールが、特定技能1号で日本に在留できる期間は通算で上限5年と定められていることです。
このため、在留カードに記載された在留期間が満了する前に「在留期間更新許可申請」という手続きを行い、引き続き日本で就労するための許可を得る必要があります。この特定技能の更新手続きは、外国人材本人にとっては安定した生活の基盤であり、企業にとっては育成してきた貴重な人材を失わないための生命線とも言える、非常に重要なプロセスなのです。
【5ステップで完璧】特定技能1号の更新手続き完全マニュアル

ここからは、具体的な特定技能の更新手続きの流れを5つのステップに分けて解説します。この順番通りに進めれば、迷うことはありません。まずは全体像を掴みましょう。
【特定技能 更新手続きのタイムライン】
- [在留期限の4ヶ月前] → 📋 ステップ1:準備開始&スケジュール確認
- [在留期限の3ヶ月前] → ✍️ ステップ2:必要書類の収集・作成
- [申請] → 💻 ステップ3:入管へ申請書類を提出
- [審査(約1〜2ヶ月)] → ⏳ ステップ4:審査・結果を待つ
- [許可] → 💳 ステップ5:新しい在留カードの受領
この流れに沿って、各ステップの詳細を一つずつ見ていきましょう。
ステップ1:いつから始める?在留期限4ヶ月前からの準備が鉄則
出入国在留管理庁(以下、入管)のウェブサイトには「申請は在留期間が満了する約3ヶ月前から」と記載されています。しかし、実務経験から言うと、それでは少し遅いかもしれません。
私たちは、在留期限の4ヶ月前からの準備開始を強く推奨します。
理由は以下の3つです。
- 必要書類が多い: 後述しますが、会社と本人双方で集めるべき書類は多岐にわたります。
- 書類の取得に時間がかかる: 市区町村役場で発行してもらう納税証明書などは、即日発行されない場合や、本人が平日に窓口へ行く必要があります。
- 不備の修正時間を確保できる: 万が一、書類に不備が見つかった際に、焦らず対応できる時間的余裕が生まれます。
【推奨スケジュール例】
| 時期 | やること |
|---|---|
| 4ヶ月前 | 本人に更新時期を正式に通知。必要書類リストを共有し、準備を依頼。会社側の書類準備も開始する。 |
| 3ヶ月前 | 会社・本人双方の書類がほぼ揃った状態を目指す。申請書の下書きを作成する。 |
| 2ヶ月半前 | 全ての書類を最終チェックし、管轄の入管へ申請する。 |
このスケジュールなら、予期せぬトラブルがあっても安心して手続きを進められます。
ステップ2:【チェックリスト付】特定技能の更新に必要な全書類と入手方法
特定技能の更新手続きで最も重要で、時間のかかるのがこの書類準備です。ここで漏れがあると、審査が大幅に遅れたり、最悪の場合は不許可になったりする可能性があります。
以下のチェックリストを活用して、一つずつ確実に揃えていきましょう。
会社(所属機関)が準備する書類
| – | 書類名 | なぜ必要か? | 入手先・注意点 |
|---|---|---|---|
| □ | 在留期間更新許可申請書(所属機関作成用) | 更新申請の本体となる書類です。 | 出入国在留管理庁のHPからダウンロード。最新様式を使用してください。 |
| □ | 特定技能雇用契約書の写し | 外国人と適正な雇用契約を結んでいることを示します。 | 社内で保管。前回の契約内容から変更がないか確認してください。 |
| □ | 雇用条件書の写し | 労働条件を外国人が理解できる言語で明示したことを証明します。 | 社内で保管。 |
| □ | 特定技能協議会への加入証明書 | 制度のルールを守る一員であることを証明します。 | 各分野の協議会事務局へ申請して取得。未加入は不許可の対象です。 |
外国人本人が準備する書類
| – | 書類名 | なぜ必要か? | 入手先・注意点 |
|---|---|---|---|
| □ | 在留期間更新許可申請書(本人作成用) | 本人の情報と更新意思を示す本体書類です。 | 出入国在留管理庁のHPからダウンロード。証明写真(3ヶ月以内撮影)が必要です。 |
| □ | パスポート及び在留カード | 申請時に原本を提示します。 | 本人が所持。有効期限が切れていないか確認してください。 |
| □ | 住民税の課税証明書及び納税証明書(直近1年分) | 日本の住民として納税義務を果たしていることを証明します。非常に重要です。 | その年の1月1日時点で住んでいた市区町村役場で取得します。滞納は不許可の主因です。 |
| □ | 国民健康保険料(税)納付証明書 | 健康保険料をきちんと納めていることを証明します。 | 住んでいる市区町村役場で取得します。会社の社会保険加入者は不要です。 |
| □ | 国民年金保険料領収証書の写し | 年金保険料をきちんと納めていることを証明します。 | 本人が保管しています。厚生年金加入者は不要です。 |
ステップ3:オンライン申請が便利?申請方法のメリット・デメリットを比較
申請書類がすべて揃ったら、いよいよ管轄の入管へ提出します。提出方法は、従来の「窓口申請」と、近年利用が拡大している「オンライン申請」の2つがあります。
「何度も入管に行くのは面倒…」という方は、オンライン申請が便利です。それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
| 申請方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| オンライン申請 | ・24時間365日いつでも申請可能 ・入管へ行く交通費や待ち時間がゼロになる ・進捗状況をオンラインで確認できる |
・事前に利用登録(無料)が必要 ・PC操作やスキャナーなどの機器が必要 ・システムが少し複雑に感じる場合がある |
| 窓口申請 | ・その場で職員に簡単な質問ができる ・PCが苦手でも安心 ・書類を直接手渡せる安心感がある |
・開庁時間内に行く必要がある(平日のみ) ・待ち時間が数時間に及ぶこともある ・交通費がかかる |
自社のリソースや担当者のITスキルに合わせて最適な方法を選びましょう。
初めての手続きで不安な方は、登録支援機関へ相談することも一つの選択肢です。
出入国在留管理庁 在留申請オンラインシステム
https://www.moj.go.jp/isa/applications/online/onlineshinsei.html
ステップ4:審査期間はどれくらい?審査中の注意点と結果の通知方法
申請書類を提出したら、あとは審査結果を待つだけです。
- 審査期間: 通常、申請から約1ヶ月〜2ヶ月程度で結果が出ることが多いです。ただし、申請が集中する時期(3〜4月など)や、個別の事案によっては3ヶ月以上かかることもあります。
- 審査中の注意点: 審査の過程で、入管から内容確認の電話があったり、追加の資料提出を求める「資料提出通知書」が郵送で届いたりすることがあります。その際は、指定された期限内に迅速かつ誠実に対応しましょう。無視すると審査が止まってしまいます。
- 結果の通知: 審査が完了すると、結果が通知されます。
- 許可の場合: 申請人の住所に、圧着ハガキで「通知書」が届きます。
- 不許可の場合: 封書や電話で連絡が来ることが多いです。
ステップ5:許可が出たら新しい在留カードを受け取る(手数料4,000円が必要)
許可通知のハガキが届いたら、いよいよ手続きは最終段階です。ハガキに記載された期間内に、本人が入管へ出向き、新しい在留カードを受け取ります。
【受け取りに必要なもの】
- 通知ハガキ
- パスポート
- 現在の在留カード
- 手数料納付書(6,000円分の収入印紙を貼付したもの。収入印紙は、入管内の売店や郵便局で購入できます)
受け取りの際、その場で新しい在留カードの記載内容(氏名、在留期間など)に間違いがないか、必ず本人と一緒に確認してください。これで、特定技能の更新手続きはすべて完了です。
特定技能の更新にかかる費用は?ケース別(自社/専門家)の料金相場
更新手続きを進める上で、気になるのが費用です。どれくらいのコストがかかるのか、パターン別に見ていきましょう。
| 手続きのパターン | 費用の内訳 | 合計費用の目安 |
|---|---|---|
| ① 自社で手続きする場合 | – | – |
| ② 行政書士に依頼する場合 | ・行政書士への報酬:30,000円~80,000円 | 約35,000円~87,000円 |
自社で手続きを行えば費用を最も抑えられますが、担当者の時間と労力がかかります。初めての更新で不安な場合や、本業が忙しく時間が取れない場合は、行政書士に依頼するのも賢い選択です。
更新できない?申請が不許可になる5つのNGケースと対策
「まさかうちの会社が…」とならないために。特定技能の更新が不許可になるケースには、実は共通したパターンがあります。ここでは、特に多い5つのNGケースとその対策を徹底解説します。申請前に、自社の状況と照らし合わせながら必ず確認してください。
ケース1:報酬が「日本人と同等以上」でない
これは不許可理由として最も多いケースの一つです。「最低賃金はクリアしているから大丈夫」という考えは危険です。審査では、同じ業務に従事する日本人従業員と比較して、同等以上の報酬額であることが厳しくチェックされます。
- こうすれば防げた!
- 比較対象となる日本人社員の賃金台帳を準備し、外国人材の給与がそれを下回っていないことを客観的に証明できるようにしておく。
- 比較対象がいない場合は、近隣地域の同業他社の求人情報などを参考に、賃金額の妥当性を説明できる資料を用意する。
ケース2:税金や社会保険料の滞納がある(本人・会社双方)
⚠要注意
公的義務の履行は、在留資格審査の根幹です。会社側の法人税や社会保険料の滞納はもちろん、外国人本人による住民税や国民年金、国民健康保険料の滞納も不許可に直結する、致命的な要因となります。
- こうすれば防げた!
- 【会社】 納税・社会保険料の納付は当然として、証明書を漏れなく提出する。
- 【本人】 人事担当者が定期的に本人に声がけし、納付状況を確認する。特に、会社で天引きしていない住民税や国民年金は本人が支払い忘れるケースが多いため、給与明細を渡す際に「住民税の納付書は届きましたか?」など一言添えるだけでも効果的です。
ケース3:支援計画の不履行
受け入れ企業には、特定技能外国人に対するさまざまな支援(定期的な面談、相談対応など)を行う義務があります。この支援が計画通りに実施されていないと判断されると、不許可の原因となります。
- こうすれば防げた!
- 3ヶ月に1回以上の定期面談を必ず実施し、面談記録(日時、面談者、相談内容など)をきちんと書面に残して保管しておく。
- 更新申請時には、これらの支援記録を提出し、義務を果たしていることを証明する。
ケース4:活動内容の不一致
特定技能の在留資格は、許可された特定の業務分野で働くことが条件です。例えば、「介護」で許可を得たのに、人手不足だからと関連のない「清掃」や「調理」の業務ばかりさせていると、活動内容の不一致として不許可になります。
- こうすれば防げた!
- 雇用契約書や職務記述書で定めた業務範囲を遵守する。
- 担当業務が大幅に変わる場合は、事前に入管へ相談し、必要な届出を行う。
初めての更新で不安な方は、登録支援機関への相談も選択肢です。
もしもの時の対処法|申請が間に合わない・不許可になったら?
どんなに気をつけていても、予期せぬ事態は起こりえます。「申請期限に間に合わない!」「不許可通知が届いてしまった…」そんな「もしも」の時のために、冷静な対処法を知っておきましょう。
在留期限を過ぎても大丈夫?「特例期間」の仕組みと注意点
「申請したけど、審査が長引いて在留期限が過ぎてしまった…」
この場合、すぐに不法滞在になるわけではないのでご安心ください。
在留期間の満了日までに更新申請さえ行っていれば、元の在留期間が満了した日から最大2ヶ月間、または審査結果が出るまでのいずれか早い方まで、適法に日本に滞在し、就労を続けることができます。これを「特例期間」と呼びます。
【特例期間のイメージ図】
[在留期限] –(申請済み)–> [特例期間スタート] … [最大2ヶ月後 or 結果通知日]
ただし、これはあくまで期限内に申請した場合の救済措置です。申請自体が期限に1日でも遅れると、その翌日から不法滞在(オーバーステイ)となってしまうため、期限内の申請は絶対に守ってください。
不許可通知が届いた…まずやるべきことと3つの選択肢
万が一、不許可の通知が届いても、すぐに諦める必要はありません。まずは冷静に次のステップを踏みましょう。
- 入管へ出向き、不許可の理由を詳しく確認する
通知書には簡単な理由しか書かれていません。必ず管轄の入管へ出向き、審査官から「なぜ不許可になったのか」具体的な理由を聞き出すことが全ての始まりです。 - 不許可理由を解消して「再申請」を検討する
理由が「納税証明書の添付漏れ」など、解消可能なものであれば、速やかに書類を整えて再申請することができます。 - 他の在留資格への変更や出国準備を検討する
再申請が難しい場合は、他の在留資格への変更が可能か、あるいは速やかに出国準備を進めるか、専門家(行政書士や登録支援機関)と相談して最善の道を探ります。
不許可通知を受け取ったら、一人で抱え込まず、速やかに専門家へ相談することが重要です。
通算5年後はどうする?特定技能2号へのキャリアパスと今後の展望
特定技能1号の更新を無事に終えても、通算5年という上限が見えてきます。その先はどうなるのでしょうか?本人と会社の未来のために、その先のキャリアパスである「特定技能2号」への道筋も知っておきましょう。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間の上限 | 通算5年 | 上限なし(更新可能) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 可能(配偶者・子) |
| 求められる技能 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
特定技能2号へ移行できれば、在留期間の制限なく日本で働き続けることができ、家族を呼び寄せて生活基盤を築くことも可能です。これは、将来的に永住権を目指す道にも繋がります。
2号へ移行するには、特定の技能試験に合格するなどの要件がありますが、企業としては、優秀な人材に長く活躍してもらうために、2号へのステップアップを積極的に支援していくことが、これからの人材戦略において非常に重要になります。
まとめ:特定技能の更新をスムーズに進めるための3つのポイント
最後に、これまでの内容を振り返り、特定技能の更新を成功させるための最も重要な3つのポイントを確認しましょう。
- 「4ヶ月前行動」で時間的余裕を持つ
申請は3ヶ月前からですが、準備は在留期限の4ヶ月前からスタートしましょう。この1ヶ月の余裕が、焦りをなくし、ミスを防ぎます。 - 「公的義務の履行」を会社と本人でダブルチェックする
税金や社会保険料の滞納は、一発で不許可になる最大の要因です。会社はもちろん、外国人本人に任せきりにせず、人事担当者が定期的に確認・サポートする体制を作りましょう。 - 「日本人と同等以上」の労働条件を客観的資料で証明する
給与や待遇について、「日本人と同じですよ」と口で言うだけでなく、賃金台帳などの客観的な資料で明確に証明できるように準備しておくことが不可欠です。
この記事が、あなたの会社の特定技能外国人材が、これからも安心して日本で活躍し続けるための一助となれば幸いです。手続きを進める中で分からないことや不安な点があれば抱え込まず、専門家である登録支援機関などに相談することも有効な手段です。
海外人材コネクトナビでは、貴社の状況に合った登録支援機関を見つけるサポートをしています。ぜひお気軽にご活用ください。
執筆者コネクトナビ編集部
外国人材採用に役立つ情報を随時発信しています。
