登録支援機関の費用相場は?初期・月額の内訳と失敗しない選び方
人手不足が深刻化するなか、特定技能外国人の受け入れを検討する企業が増加しています。しかし、初めて制度を利用する場合、複雑な手続きや支援体制の構築に高いハードルを感じるかもしれません。
多くの企業は、専門知識が必要なサポート業務を「登録支援機関」へ委託しています。そこで経営者や人事担当者が直面するのが、委託費用の見極めという課題です。予算策定や社内稟議をスムーズに進めるためには、費用の相場や内訳を正確に把握しておく必要があります。
特定技能制度における支援費用の全体像や、失敗しない委託先の選び方について詳しくお伝えします。
この記事のポイント
- 登録支援機関の月額委託費用は2万〜3万円が相場
- 費用体系は「月額一括型」と「項目別支払い型」に分かれる
- 2026年の行政書士法改正により、書類作成に関する追加コストが発生する可能性がある
- 費用だけでなく、対応言語やサポート体制の比較が重要
- 自社支援のハードルは高く、支援機関の活用が現実的な選択肢となる
この記事のポイントは?
登録支援機関とは?費用発生の背景とビジネスモデルの全体像
特定技能制度を活用して外国人を雇用する際、なぜ外部の機関に費用を支払う必要があるのか疑問に思うかもしれません。登録支援機関とは、受け入れ企業に代わって外国人材の日常生活や職場への定着をサポートする、出入国在留管理庁長官の登録を受けた専門機関のことです。
支援機関のビジネスモデルは、企業から受け取る委託費用によって成り立っています。適正価格を見極めるためには、まず彼らがどのような業務を担っているのかを理解しておく必要があります。
特定技能外国人の受け入れに必要な「義務的支援」
特定技能外国人を雇用する企業には、彼らが日本で安心して働き、生活できるようにするための「義務的支援」が法令で課されています。
具体的には、入国前の事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居の確保、生活オリエンテーションの実施、公的手続きの同行、日本語学習の機会提供、定期的な面談など、多岐にわたる10項目のサポートが必要です。
これらの業務は母国語での対応が求められるうえ、専門的なノウハウが不可欠です。社内に専門の担当者を配置する余裕がない場合、登録支援機関へ委託することが一般的となっており、その労働対価として委託費用が発生します。
費用負担のルール:企業負担と本人負担の違い
費用の全体像を把握するうえで、誰が費用を負担するのかという法的なルールを正しく認識しておくことが重要です。
原則として、特定技能制度の運用や支援にかかる費用は企業側が負担しなければなりません。例えば、登録支援機関への委託費用を外国人の給与から天引きすることや、支援の実施にかかる交通費を本人に負担させることは違法となります。
一方で、渡航費(航空券代)や、住居の家賃、水道光熱費といった生活にかかる実費については、外国人本人が負担することが認められています。ルールの認識不足は法令違反や後々のトラブルに直結するため、自社が支払うべき範囲を明確にしておくことが欠かせません。
登録支援機関の費用相場と2つの料金体系
結論からお伝えすると、登録支援機関に支払う月額委託費用の相場は、外国人1名あたり約2万〜3万円です。
ただし、提供されるサービス内容や機関の専門性によって価格は変動します。また、料金体系は大きく「月額一括型(定額制)」と「項目別支払い型(従量課金制)」の2つに分かれます。
まずは両者の違いを比較表で確認してみましょう。
| 比較項目 | 月額一括型(定額制) | 項目別支払い型(従量課金制) |
|---|---|---|
| 相場(1名あたり) | 月額 20,000円〜30,000円 | 各支援項目ごとに都度支払い(数千円〜数万円) |
| メリット | ・毎月の費用が固定され予算管理が容易 ・包括的なサポートを受けられ安心感がある |
・利用した分だけ支払うため無駄がない ・自社で一部対応できればコストを削減できる |
| デメリット | ・サポートを利用しない月でも定額の支払いが発生する | ・毎月の支出が変動し年間予算が読みにくい ・トラブル発生時に想定外の出費になりやすい |
| おすすめの企業 | ・初めて特定技能人材を受け入れる企業 ・社内の管理工数を最小限に抑えたい企業 |
・過去に受け入れ実績があり社内体制がある企業 ・コストを細かくコントロールしたい企業 |
それぞれの料金体系について、さらに詳しく解説します。
月額一括型(定額制)の相場とメリット
月額一括型は、毎月一定の料金を支払うことで、義務的支援の多くをカバーしてもらえるプランです。相場は1名あたり1.5万円から3万円程度に設定されていることが多く、市場の主流となっています。
最大のメリットは、予算予測の精度が極めて高い点にあります。毎月の固定費として計上できるため、社内稟議や年間予算の策定がスムーズに進みます。また、定期面談や生活相談などがパッケージ化されているため、外国人材が困ったときにすぐ対応してもらえる安心感も得られます。
初めて外国人雇用に取り組む企業の場合、どのようなトラブルが起きるか予測しにくいため、包括的にサポートしてくれる月額一括型を選ぶのが安全です。
海外人材コネクトナビでは、外国人採用を支援する企業や登録支援機関を比較できます。自社の状況に合わせて適切な料金体系を持つパートナーを探してみてください。
項目別支払い型(従量課金制)の相場とメリット
項目別支払い型は、入国前ガイダンスや生活オリエンテーション、定期面談など、必要な支援を実施した際に都度費用を支払うプランです。例えば、定期面談1回につき1万〜1.5万円、同行支援1時間あたり5,000円といった形で設定されます。
自社に外国籍のスタッフがおり、日々の生活相談や通訳は社内で対応できる場合、このプランを選ぶことで大幅なコスト削減が期待できます。不足している専門的なサポートのみをピンポイントで依頼できるのが強みです。
しかし、予期せぬトラブルが発生した際の費用変動リスクには注意が必要です。急な病院への付き添いや、複雑な行政手続きのサポートが必要になった場合、合計費用が月額一括型を上回ってしまうケースも珍しくありません。
【内訳】特定技能受け入れにかかる初期・継続費用
特定技能外国人を採用し、定着させるまでには、さまざまな項目で費用が発生します。予算オーバーを防ぐためには、採用決定時の「初期費用」と、就労開始後の「継続費用」に分けて内訳を整理しておくことが有効です。
以下の比較表で、目安となる相場を把握しておきましょう。
| 費用の種類 | 主な項目 | 相場の目安(1名あたり) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 人材紹介料 | 20万円〜80万円(年収の20〜30%程度) |
| 在留資格申請費用 | 10万円〜20万円(行政書士報酬含む) | |
| 継続費用 | 登録支援機関の委託費 | 月額 20,000円〜30,000円 |
| 在留資格の更新費用 | 1回につき 3万円〜8万円 |
初期費用:紹介料や在留資格の申請費用など
採用活動から入国、そして就労開始までに発生するのが初期費用(イニシャルコスト)です。
大部分を占めるのが人材紹介会社への紹介手数料であり、相場は20万円〜80万円と幅があります。求める専門スキルや日本語レベルによって価格が変動する仕組みです。
また、特定技能ビザの新規取得や切り替えに伴う「在留資格の認定・変更申請費用」も考慮しなければなりません。複雑な書類作成を行政書士に依頼する場合、10万円から20万円程度の報酬が発生します。これらに加えて、健康診断費用なども初期投資として見込んでおく必要があります。
継続費用:事前ガイダンスや定期面談などの支援費用
就労開始後、毎月あるいは定期的に発生するのが継続費用(ランニングコスト)です。
主なものは登録支援機関への月額委託費ですが、これには入国前の事前ガイダンス、生活オリエンテーション、3か月に1回以上の定期面談などの義務的支援の遂行が含まれます。
さらに、特定技能ビザは1年または数年ごとに更新が必要となるため、その際の「在留期間更新許可申請費用」もランニングコストとして忘れてはいけません。更新のたびに行政書士へ依頼する場合は、1回あたり3万円〜8万円程度の出費が伴います。
要注意!想定外の追加費用(交通費・通訳費など)
予算計画を狂わせる原因になりやすいのが、基本料金に含まれない想定外の追加費用です。
・支援機関の所在地から遠い場合の出張費や交通費
・希少言語に対応するための特別な通訳・翻訳費用
・日本語学校の学費やオンライン教材などの学習支援費用
・緊急時の深夜対応や休日対応の割増料金
「費用だけで支援機関を選んだ結果、実費請求が重なり、最終的に高くついてしまった」という失敗事例は少なくありません。見積もり段階で、基本料金でどこまで対応してもらえるのかを細かく確認しておくことが身を守る術となります。
【2026年問題】行政書士法改正が費用構造に与える影響
これから特定技能外国人の受け入れを進める企業にとって、避けて通れないのが法務リスクへの対応です。特に、2026年1月に施行される行政書士法の改正は、登録支援機関の費用構造に大きな変化をもたらします。
書類作成が行政書士の独占業務に
今回の法改正により、行政書士資格を持たない者が、報酬を得て入管へ提出する書類を作成することが明確に違法・処罰対象となりました。
これまで、多くの登録支援機関は支援委託費の中で在留資格変更や更新の書類作成を代行していました。しかし今後は、書類作成を外部の行政書士へ別途依頼しなければならなくなります。
これにより、月額の支援委託費とは別に、在留資格変更で10万〜20万円、更新で3万〜8万円程度の追加コストが発生する可能性が高まっています。企業にとっては、財務的な負担が増すだけでなく、支援機関と行政書士という2つの窓口とやり取りをする管理の手間も増えてしまいます。
コスト削減には「行政書士法人兼営」の機関が有利
法改正に伴うコストの増加と管理の煩雑化を防ぐためには、「行政書士法人を兼営している登録支援機関」を選ぶことが非常に有効な解決策となります。
行政書士が在籍している機関であれば、義務的支援のサポートと在留資格関連の法的手続きをワンストップで依頼できます。外部の専門家に個別に依頼するよりもトータルコストが抑えられる傾向にあり、書類の不備による申請遅延のリスクも最小限に食い止めることが可能です。
費用や支援体制に加え、行政書士との連携体制が整っているかどうかを判断基準の一つに加えてみてください。
費用対効果の高い登録支援機関を選ぶ4つのポイント
多くの登録支援機関が存在するなかで、自社に最適なパートナーを見極めるためには、多角的な視点での比較検討が欠かせません。コストパフォーマンスが高く、信頼できる機関を選ぶための判断基準をお伝えします。
見積もりの透明性と追加費用の有無を確認する
月額費用が相場より極端に安い場合、必要な支援内容が含まれていなかったり、後から高額な追加費用を請求されたりするリスクが潜んでいます。
「基本料金と実費の境界線がどこにあるのか」を明確に提示してくれる機関を選ぶことが重要です。必ず3社程度から相見積もりを取り、単なる金額の比較ではなく、サービスの内訳を細かく照らし合わせてください。緊急時の対応範囲や交通費の上限などが契約書に明記されているかも確認ポイントとなります。
自社に必要な対応言語とサポート体制を見極める
外国人材が安心して働けるかどうかは、母国語での円滑なコミュニケーションにかかっています。採用予定の国籍に対応できるスタッフが常駐しているか、その言語レベルは十分かを確認しましょう。
ベトナム語やインドネシア語などは対応できる機関が多い一方、ミャンマー語やカンボジア語といった希少言語の場合は費用が割高になることもあります。また、病気やトラブルが発生した際、夜間や休日でも連絡が取れる緊急時のサポート体制が整っているかも、安定した雇用のために欠かせない要素です。
■ 登録支援機関選びのチェックリスト
□ 採用目的が明確になっている
□ 見積もりの内訳が明記されており、追加費用の条件が明確か
□ 採用予定の外国人材の母国語に対応できるスタッフがいるか
□ 行政書士法人の兼営、または行政書士との連携体制があるか
□ 登録支援機関を複数社で比較検討しているか
外国人採用を検討している場合は、海外人材コネクトナビ掲載企業を比較して、自社のニーズを満たす機関を探してみてください。
費用削減のため「自社支援」を選択するのは現実的か?
コストを少しでも抑えたいと考える経営者のなかには、外部機関を利用せず、自社で支援業務のすべてを行う「自社支援」を検討する方もいるでしょう。
結論から言えば、中小企業が制度の要件を満たし、自社支援を完遂することは決して簡単ではありません。
自社支援に求められる厳格な要件と課題
企業が自社支援を行うためには、厳しい条件をクリアする必要があります。例えば、「過去2年以内に外国人の受け入れ実績があること」「外国人の生活相談に乗れる専任の支援責任者を配置すること」「外国人が十分に理解できる言語(原則として母国語)での支援体制が整っていること」などです。
これらを自前で用意するためには、語学が堪能なスタッフを新たに雇用したり、既存の社員を支援業務に専念させたりする必要があり、結果的に外部委託費用以上の人件費や管理コストがかかってしまうケースがほとんどです。
過去には「制度理解不足で申請が進まなかった」「支援体制不足で早期離職した」という失敗事例も報告されています。本業に集中し、採用した人材を定着させるという本来の目的を達成するためには、プロのノウハウを持つ登録支援機関を活用するほうが、多くの中小企業にとって現実的かつ効果的です。
まとめ:費用は「先行投資」!信頼できるパートナー選びを
登録支援機関に支払う費用は、月額2〜3万円が相場です。一見すると負担に感じられるかもしれませんが、複雑な行政手続きを適法に進め、外国人材の生活や職場への定着をサポートするための重要な対価と言えます。
自社だけで抱え込んで手続きが遅延したり、離職による再採用コストが発生したりするリスクを考えれば、これらの費用は企業の事業成長に向けた「先行投資」と捉えるべきです。
外国人採用で失敗しないためには、制度や費用、支援内容を比較したうえで、自社に合った採用方法を選ぶことが重要です。海外人材コネクトナビ掲載企業を比較し、自社に最適なパートナーへ相談してください。
執筆者コネクトナビ編集部
外国人材採用に役立つ情報を随時発信しています。
監修青山 信明
2018年から一般社団法人外国人介護留学生支援機構にて、日本で介護職を目指す外国人留学生の生活支援および就職支援を担当。ベトナム・ネパール・インド国籍の学生支援に従事する。
特定技能制度施行後は、同機構が登録支援機関として認可を受ける過程にも関与し、現在は主にベトナム国籍人材を中心とした特定技能外国人の支援業務を行っている。
よくある質問
- 特定技能と技能実習では何が違いますか?
- 特定技能は一定の専門スキルと日本語能力を持つ即戦力人材を受け入れる制度であり、登録支援機関への委託費用などが発生します。一方、技能実習は技術移転を目的としており、監理団体への毎月の管理費が高めになる傾向があります。
- 費用はいくらかかりますか?
- 特定技能外国人を採用する場合、初期費用として紹介料や申請代行に数十万円、就労後の継続費用として登録支援機関への委託費が月額2〜3万円程度かかります。
- 日本語レベルはどの程度必要ですか?
- 特定技能で働くためには、基本的な日常会話ができる「日本語能力試験(JLPT)N4」以上の合格が必要です。職種によってはさらに高いレベルが求められることもあります。
- 登録支援機関は必要ですか?
- 必須ではありませんが、自社で多言語による支援体制や専任の担当者を配置する要件を満たすのは難しいため、大半の企業が支援機関を利用しています。
