2026.10.13

大阪市の特養が外国人介護人材を採用するメリットと課題

介護施設で働く外国人スタッフと日本人職員が並ぶ様子

求人を出しても応募が来ない状態が、何か月も続いていないでしょうか。

大阪市内の特別養護老人ホームでは、日本人だけを対象にした採用活動の限界を感じ始めている施設が増えています。そこで選択肢に挙がるのが、外国人介護人材の受入れです。

ただ、在留資格の種類や費用、支援機関との関わり方など、分からないことが多く、検討が止まっている方も少なくないはずです。

自施設に合う受入れ方法と支援機関を比較できる状態を目指します。

この記事のポイント

□ 大阪市の高齢化率は24.9%、65歳以上人口はおよそ69.5万人と推計されます

□ 早く人手が必要なら特定技能、長期育成なら在留資格「介護」が候補になります

□ 専任の採用・労務担当を置けない特養は、登録支援機関への委託が現実的です

□ 支援機関は大阪市近隣に拠点があるかどうかで、トラブル対応の速さが変わります

□ 受入れ後のトラブルは、生活面の孤立から起きやすいという指摘があります

大阪市の特養が直面する介護人材不足の実情とは?

大阪市が公表している推計人口年報によると、令和6年10月1日時点の総人口は2,791,907人です。このうち65歳以上人口の割合(高齢化率)は24.9%で、前年の数値と比べて上昇が続いています。

この割合から算出すると、大阪市の65歳以上人口はおよそ69.5万人に上ります。特養を利用する層そのものが、着実に厚みを増している状況です。

大阪府の求人倍率は高水準、大阪市単独の値は公表されていない

大阪府の公表資料をもとにした調査では、府全体の介護職有効求人倍率が5.70倍(2019年11月時点)とされ、全国平均の4.45倍を上回る水準でした。ただし、大阪市単独の介護職有効求人倍率は公表されていません。

大阪市も同様の傾向にある可能性はありますが、市単位の数値は確認できていない点に留意が必要です。参考値として受け止めておくとよいでしょう。

第1号被保険者数は今後また増加に転じる見込み

大阪市の高齢者保健福祉計画によると、第1号被保険者数(65歳以上に相当)は2023年3月末時点で減少していましたが、2026年以降は増加に転じると推計されています。

つまり、いったん落ち着いて見えた需要が、これから再び増えていく局面にあるといえます。

外国人介護人材を受け入れる在留資格の違いとは?

外国人材が介護施設で働くには、主に「特定技能」「技能実習」「在留資格『介護』」「EPA(経済連携協定)」の4つの枠組みがあります。それぞれ、就労できる期間や求められる日本語能力が異なります。

特養の採用担当がまず押さえておきたいのは、この違いが「どれだけ早く・どれだけ長く働いてもらえるか」に直結する点です。

在留資格 就労できる範囲 在留期間の目安 向いている施設
特定技能1号 介護業務全般 通算5年まで(更新制) 早期に人手を確保したい施設
技能実習 介護業務(実習計画の範囲) 最長5年 段階的に育成したい施設
在留資格「介護」 介護業務全般 更新制限なし 長期雇用・幹部候補の育成を考える施設
EPA 介護業務全般(資格取得後) 国家資格取得後は制限なし 介護福祉士資格取得を前提にできる施設

表のとおり、特定技能は早期の人員確保に向き、在留資格「介護」は長期雇用を前提にした人材育成に向いています。どちらを選ぶかは、自施設が今すぐ人手を求めているのか、数年かけて中核人材を育てたいのかで変わります。

制度の詳しい要件や施行時期は改正が続いている分野です。最新の内容は、出入国在留管理庁の公表情報で確認することをおすすめします。

自施設は外国人介護人材の受入れに向いているか見極めるポイント

受入れを検討する前に、まず自施設の状況を整理する必要があります。制度の比較より先に、ここを明確にしておくと判断がぶれません。

不足している人数と職種を数字で把握しているか

「なんとなく足りない」ではなく、夜勤帯・日勤帯でそれぞれ何人不足しているかを数字で出せているかが出発点です。曖昧なまま受入れを進めると、必要な人数を見誤ります。

住居と指導役を用意できる見込みがあるか

外国人材の多くは、住居探しと生活立ち上げの支援を必要とします。現場で指導役を担える職員がいるかどうかも、受入れ後の定着を左右する要素です。

既存職員への説明と理解を得る時間を取れるか

受入れは職員にとっても変化です。説明の場を設けずに進めると、現場の戸惑いが長引きます。導入前に、どう伝えるかを決めておく必要があります。

この3点のいずれかが不十分なら、受入れ準備と並行して整える計画を立てるとよいでしょう。

大阪市の特養が外国人介護人材を受け入れるまでの流れと期間の目安

大阪市の特養が外国人介護人材を受け入れるまでの流れと期間の目安

受入れを決めてから実際に就労が始まるまでには、一定の準備期間がかかります。これは在留資格の種類によらず、共通して必要な段取りです。

大まかな流れは次のとおりです。

  1. 受入れ方針を決め、対応できる在留資格を確認する
  2. 人材紹介会社や登録支援機関に相談し、候補者を探す
  3. 在留資格の申請書類をそろえ、出入国在留管理庁へ申請する
  4. 住居・指導役・シフトなど受入れ体制を整える
  5. 来日後のオリエンテーションを経て就労を開始する

在留資格の審査には一定の時間がかかるため、採用計画は余裕をもって立てる必要があります。特に住居の確保は、大阪市内の物件情報を早めに確認しておくことが望ましいといえます。

大阪市の特養が外国人介護人材を採用する費用相場と内訳とは?

大阪市の特養が外国人介護人材を採用する費用相場と内訳

費用は、人材紹介の手数料、登録支援機関への委託費、住居関連費用に大きく分かれます。それぞれ目安を押さえておくと、見積もりを比較しやすくなります。

人材紹介の手数料相場

介護業界の人材紹介では、想定年収の30〜35%を成功報酬とする完全成果報酬型が主流とされています。採用に至らなければ費用は発生しない仕組みが一般的です。

採用支援業界の調査団体であるエッセンシャルワーカー採用研究所が2023年度に実施した調査では、常勤の介護福祉士1人あたりの紹介手数料の平均は約89万円とされています。これは大阪市単独の数値ではなく、業界全体の一般的な水準として参考にしてください。

支援委託費と住居関連費用

登録支援機関への委託費は、機関によって料金体系が異なります。大阪市内の家賃相場は、公的な統計で大阪市に絞った確定値が特定できていないため、本文では数値を断定しません。

物件探しの段階で、不動産情報サイトや地域の不動産会社に直接確認することをおすすめします。

費用項目 内容 発生タイミング
人材紹介手数料 想定年収の30〜35%が一般的な相場とされる 採用決定時
登録支援機関への委託費 支援計画の実施・定着支援の対価 契約後、月額または年額
住居関連費用 敷金・礼金・家具家電等(機関により施設負担の有無が異なる) 入居前

表のとおり、費用は一度に発生するものと継続的に発生するものに分かれます。見積もりを取る際は、どの項目が自施設負担になるのかを必ず確認してください。

コネクトナビでは、対応制度や費用体系から支援機関を比較できます。

外国人介護人材の支援を自社で行うか登録支援機関へ委託するか

特定技能で受け入れる場合、支援計画の実施は自社でも登録支援機関への委託でも行えます。どちらが向くかは、自施設の体制次第です。

比較項目 自社で支援 登録支援機関へ委託
初期費用 低い(体制構築の手間はかかる) 委託費が発生する
専門知識 自社で最新制度を追う必要がある 専門機関が制度変更に対応する
生活支援の対応力 担当者の負担が大きい 多言語対応や生活相談の実績を活用できる
向いている施設 専任担当を置ける大規模法人 専任担当を置けない施設全般

専任の担当者を配置できる大規模法人は、自社支援でコストを抑えられる場合があります。一方、採用担当が他業務と兼務している特養は、委託のほうが現実的な選択になりやすいといえます。

大阪市で登録支援機関を選ぶときの判断基準とは?

登録支援機関の数は全国で1万件を超えており、出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿で確認できます。数が多いからこそ、何を基準に選ぶかが重要です。

大阪市やその近隣に拠点があるか

受入れ後のトラブルは、電話やメールだけでは解決しないことがあります。近隣に担当者がいれば、当日中に施設へ駆けつけてもらえる可能性が高まります。

外国人材本人の役所手続きや通院の同行も、対面での対応のほうが進みやすいものです。地域の不動産会社や日本語教室とつながりを持つ機関であれば、生活面の支援もスムーズになります。

逆に遠方の機関は訪問頻度が下がりやすく、交通費が追加費用として積み上がることもあります。

介護分野での実績と対応できる制度の幅

介護分野特有の事情(夜勤・記録業務・利用者とのコミュニケーション)を理解した支援ができるかどうかは、実績を聞くことで見えてきます。

定着支援の内容と日本語教育の体制

受入れ後の相談対応や、日本語学習の機会をどこまで用意しているかも比較ポイントです。定着支援が手薄な機関は、早期離職のリスクを高めます。

良い機関と注意すべき機関の見分け方

上記の基準を満たす機関は、費用の内訳を書面で示し、担当者が具体的な実績や訪問頻度を答えられます。逆に、次のような特徴がある機関には注意が必要です。

  • 費用の内訳を書面で示さず、口頭説明のみで契約を急がせる
  • 大阪市から著しく離れた場所にしか拠点がなく、訪問実績を具体的に答えられない
  • 定着支援の内容を尋ねても、抽象的な回答しか返ってこない
  • 契約解除やキャンセルの条件を明示しない
  • 特定の国籍を「安く雇える」という言い方で勧めてくる

人材を労働力としてのみ扱うような説明をする機関は、受入れ後の生活支援にも手が回らない可能性があります。契約前に、担当者の説明の丁寧さそのものを判断材料にしてください。

見積もりを取るときに確認すべき項目

複数の登録支援機関から見積もりを取る際は、項目をそろえて比較することが欠かせません。

  1. 初期費用と月額費用の内訳が明記されているか
  2. 通訳対応や緊急時訪問が追加費用になるかどうか
  3. 契約期間と更新条件、解約時の条件
  4. 対応できる国籍と現地送り出し機関との連携状況
  5. 定着支援の具体的な頻度と内容

料金表だけを見て決めず、契約前に書面で条件を確認してください。口頭説明だけで済ませる機関は、後からトラブルになりやすい傾向があります。

外国人介護人材の受入れ体制として大阪市の特養が準備するものとは?

外国人介護人材の受入れ体制として大阪市の特養が準備するもの

委託先が決まったあとは、施設側で整える実務が残っています。

住居の確保

夜勤明けの移動を考えると、施設から通いやすい立地に住居を確保できるかが重要になります。大阪市内は公共交通の選択肢が広く、施設近隣で物件を探しやすい地域です。

指導役とシフトの調整

現場で日常的に質問を受け止める指導役を決め、無理のないシフトを組む必要があります。指導役を1人に集中させず、複数名で分担する体制が負担を減らします。

日本語能力と任せる業務範囲

日本語能力に応じて、最初に任せる業務の範囲を調整することが定着への近道です。記録業務は日本語能力が整ってから段階的に任せる、といった進め方が現実的です。

既存職員への説明

受入れの目的と役割分担を、事前に職員へ説明しておく必要があります。説明が不足すると、現場で指導役が孤立しやすくなります。

外国人介護人材の受入れ後に起きやすいトラブルと対処

受入れ後のトラブルは、生活面から起きるという指摘があります。制度面の準備だけでなく、暮らしの立ち上げを支える視点も必要です。

生活面の孤立による不安

住居周辺に同じ国出身の知人がいない場合、孤立感が強まりやすくなります。令和7年12月末時点で、大阪市内には161の国や地域を出身とする外国人住民が居住しており、全市民のうちの約7.7%を占めています。コミュニティとのつながりを紹介できると、安心感につながります。

日本語学習の機会不足

大阪市では識字・日本語教室の紹介や、日本語教育のコーディネーターの配置といった取組みが行われています。施設としても、こうした地域の学習機会の案内ができると支援の幅が広がります。

記録業務での意思疎通のずれ

介護記録の書き方は、日本語能力だけでなく施設ごとの様式にも左右されます。最初の数か月は、記録内容を一緒に確認する時間を設けると行き違いを防げます。

定着のために大阪市の特養が効果的な取り組みとは?

受入れが済んだあとの定着は、採用時の制度選びと同じくらい重要です。

生活支援の同行

役所手続きや住居契約、通院の同行は、対面での支援が進みやすい場面です。大阪市やその近隣に拠点を持つ支援機関であれば、こうした同行も現実的な頻度で対応できます。

日本語学習の継続支援

就労開始後も学習を続けられる環境を整えることが、長期的な戦力化につながります。地域の日本語教室を紹介する、勤務時間の調整で通学を可能にするといった工夫が考えられます。

既存職員との関係づくり

業務外での交流の機会を設けることも、孤立を防ぐうえで効果があります。小さな声かけの積み重ねが、長く働き続ける動機になります。

外国人介護人材の受入れで起きやすい失敗事例

契約後に通訳対応の追加費用が出てくるのは、受入れでよくある想定外の出費だという指摘があります。見積もり段階で、通訳対応が標準料金に含まれるかを確認しておけば防げます。

住居探しの開始が遅れると、入職時期が1か月単位でずれることがあります。在留資格の申請と並行して、早い段階から物件を探しておく必要があります。

既存職員への説明が不十分なまま受入れを進めると、指導役だけが負担を抱え込みやすくなります。受入れ前の説明会で、役割分担を明確にしておくことが有効です。

日本語能力に見合わない業務をいきなり任せると、本人の自信を失わせ、早期離職につながることがあります。業務範囲を段階的に広げる計画を立てておくと防げます。

費用の安さだけで登録支援機関を選ぶと、受入れ後の定着支援がほとんど行われないという懸念があります。契約前に、定着支援の具体的な内容を確認しておくことが欠かせません。

特養向け外国人介護人材の受入れ準備チェックリスト

□ 費用の総額と内訳を確認した

□ 支援機関の対応範囲と拠点の位置を確認した

□ 支援機関との契約条件(解約・更新)を書面で確認した

□ 既存職員への説明のタイミングを決めた

□ 入職時期から逆算した住居・指導役の準備スケジュールを確認した

□ 見積もりを複数機関から取り、項目をそろえて比較した

大阪市の特養における外国人介護人材採用のまとめ

大阪市の高齢化率は24.9%に達し、65歳以上人口はおよそ69.5万人と推計されます。介護人材の需要は、今後も増えていく見通しです。

外国人介護人材の受入れは、この状況に向き合う選択肢の1つです。ただし、在留資格の選び方、費用の内訳、支援機関の選定など、判断すべき点は多くあります。

まず自施設の不足状況を数字で把握し、受入れに向いているかを見極めることから始めてください。専任担当を置けないなら、大阪市やその近隣に拠点を持つ登録支援機関への委託が現実的な選択になります。

支援機関選びで迷った場合は、コネクトナビ掲載の支援機関を比較してください。費用や支援範囲、実績を確認し、自施設に合った支援機関を選びましょう。

よくある質問

大阪市の特養でも外国人介護人材は採用できますか
在留資格の要件を満たせば採用可能です。特養は人員配置基準を満たす必要があるため、制度の詳細は出入国在留管理庁の最新情報で確認してください。
費用はどれくらいかかりますか
人材紹介の手数料は想定年収の30〜35%が一般的な相場とされています。これに加えて支援委託費や住居関連費用がかかるため、複数の機関から見積もりを取って比較することをおすすめします。
登録支援機関への委託は必須ですか
必須ではありません。自社で支援計画を実施することも可能ですが、専任担当を置けない施設では委託のほうが現実的です。
受入れ人数が多い場合、どのように進めればよいですか
一度に多くの人数を受け入れると、住居確保や指導役の負担が集中しやすくなります。段階的な受入れ計画と、対応力のある支援機関への相談をおすすめします。
大阪市内で日本語学習の環境はありますか
大阪市では識字・日本語教室の紹介やコーディネーターの配置が行われています。施設からも地域の学習機会を案内できると、定着支援の助けになります。