茨木市の有料老人ホームが外国人採用を進める理由
求人を出しても応募が来ない。面接まで進んでも採用に至らないことが続いている。茨木市で有料老人ホームを運営している方の多くが、いま同じ壁にぶつかっています。
人手が足りないまま現場を回す日々が続くと、既存職員の負担も大きくなっていきます。そんな中で外国人採用という選択肢が気になり始めた方もいるはずです。
ただ、在留資格の違いや費用の仕組みが分かりにくく、何から手をつければよいのか分からずに止まっている施設も少なくありません。読み終えたときには、自施設に合った受入れ方法と、委託すべきかどうかの判断がつく状態を目指します。
この記事のポイント
□ 茨木市の特養申込者数は約600人と多く、日本人だけの募集では枠を満たせません
□ 早く人手が要るなら特定技能、長期育成なら在留資格「介護」を選びます
□ 専任者を置けないなら、登録支援機関への委託が現実的な選択です
□ 支援機関は費用の安さだけでなく、茨木市近隣に拠点があるかも見ます
□ 定着を左右するのは制度面より、住居や生活面の孤立を防ぐ支援だといわれています
茨木市の介護人材不足の実情とは?
茨木市の特別養護老人ホームへの申込者(待機者)数は約600人にのぼり、周辺市と比べても入居希望者数が多い状態が続いています。施設は足りていても、そこで働く人が足りていないという構図が浮かんできます。
総務省の住民基本台帳データによると、2025年1月1日時点で茨木市の総人口は286,042人、そのうち65歳以上が24.2%を占めています。高齢者と生産年齢人口の比率は1対2.5で、支える側の人数はこれからさらに減っていきます。
今は若いまちでも、先の推計は厳しい
総務省の住民基本台帳データ(2023年)によると、茨木市は年少人口の割合が国や大阪府より高く、当時の高齢化率は24.76%で全国平均より低い水準でした。
一方、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、この24.76%という高齢化率が2050年には33.88%まで上昇すると見込まれています。
今の人材不足を放置すると、10年後には今より深刻な状態で迎えることになります。
求人サイトの掲載件数から見える有料老人ホームの競合状況
レバウェル介護求人では、茨木市の介護求人・募集情報が170件掲載されています(2026年3月時点)。有料老人ホームがこの中で求人を出す場合、掲載件数が多く目立ちにくい可能性があります。
大阪府全体の値として、大阪府の介護職の有効求人倍率は5.70倍(2019年11月時点)とされ、全国平均の4.45倍を上回っていました。これは茨木市単独の数値ではなく大阪府全体の値であり、都道府県別でも東京都・愛知県・奈良県・岐阜県に次ぐ高い水準だったとされています。茨木市単独の求人倍率は公表されておらず、確認できていません。
有料老人ホームが選べる在留資格ごとの違いとは?
外国人材を受け入れる際に使える在留資格は、主に「特定技能」と「介護」の2つに分かれます。どちらを選ぶかで、受入れの手順も定着後の育成の考え方も変わってきます。
| 比較項目 | 特定技能 | 在留資格「介護」 |
|---|---|---|
| 取得の目安 | 技能・日本語試験の合格で比較的早く取得できます | 介護福祉士養成施設卒業などが前提で、時間がかかります |
| 就労できる範囲 | 介護業務全般(訪問系は対象外) | 介護業務全般に加え、訪問系も対象です |
| 在留期間 | 更新を重ねて上限まで(要件により延長可) | 更新に上限がなく、長期の就労を前提にできます |
| 向いている施設 | 早く人手を確保したい有料老人ホーム | 長期的に育成し、幹部候補としたい有料老人ホーム |
特定技能は、比較的短期間で人材を迎えられる点が特長です。在留資格「介護」は更新の上限がなく、長く働いてもらえます。
迷ったときの選び方
早く人手が要るなら特定技能、長く育てたいなら在留資格「介護」という考え方で選ぶと、判断がしやすくなります。
技能実習という選択肢もありますが、制度の目的が「技能の習得」にある点で、労働力確保を主目的とする施設には別の資格のほうが合うことが多いです。
いずれの資格も要件や運用は変わることがあるため、最新の情報は出入国在留管理庁の公表情報で確認することをおすすめします。
茨木市の有料老人ホームが外国人採用に向いているか見極める方法とは?
受入れを検討する前に、まず自施設の状況を整理することが欠かせません。制度や費用を先に調べるより、自分の施設がどこに困っているかを把握するほうが判断の近道になります。
人員体制のどこが不足しているか
夜勤専従が埋まらないのか、日中の人手が足りないのか、不足している時間帯や職種によって受入れの効果は変わります。
茨木市の求人票には、訪問介護で時給1,707円からという短時間勤務の条件も見られます。こうした条件も踏まえ、どの枠を外国人材で埋めるかを具体的に考えることが最初の一歩です。
日本語能力と任せる業務範囲の考え方
採用時の日本語能力によって、任せられる業務の範囲は変わってきます。会話が中心となる相談業務や記録の作成は、日本語能力が一定以上必要です。
一方で、食事介助や移動の補助といった業務は、比較的早い段階から任せやすい傾向があります。最初から広い業務を任せようとせず、段階的に範囲を広げていく設計が現場の負担を減らします。
既存職員への説明と現場の受け止め方
受入れを決める前に、現場の職員へどう説明するかも考えておく必要があります。説明が不十分なまま受入れが始まると、指導役となる職員が孤立してしまうことがあります。
受入れの目的と、指導役の負担をどう分担するかを、事前に共有しておくことが大切です。
受入れまでの流れと期間の目安とは?
受入れを決めてから実際に就労が始まるまでには、一定の準備期間が必要です。在留資格の申請、雇用契約の締結、住居の確保、支援計画の作成など、複数の手続きを並行して進める必要があります。
手続きの主な流れ
まず候補者を確保し、雇用契約を結びます。その後、在留資格の申請と支援計画の作成を行い、許可が下りてから来日・就労開始という順に進みます。
手続きにかかる期間は候補者の状況や申請時期によって変わるため、余裕を持って準備を始めることが望ましいです。
特に住居の確保は後回しにされがちですが、入職時期に直結するため早めの着手が必要です。
有料老人ホームの外国人採用にかかる費用相場と内訳とは?

費用の内訳を先に把握しておくと、見積もりを受け取ったときに比較しやすくなります。主な費用項目は、紹介手数料、支援委託費、住居関連費、教育費の4つです。
紹介手数料の考え方
人材紹介を利用する場合、手数料は採用する人材の理論年収に料率をかけて算出されます。介護業界では想定年収の30〜35%を成功報酬とする完全成果報酬型が主流とされています。
常勤介護職員(介護福祉士資格あり)1人あたりの紹介手数料について、平均約89万円だったという調査結果もあります(2023年度・介護業界全体の参考値)。ただしこれは単一の調査値であり、地域を問わない業界全般の目安として捉えるべきで、茨木市に限定した数値ではありません。
採用が決まらない限り費用は発生しないため、初期費用を抑えて始めやすい仕組みです。
支援委託費と住居関連費
登録支援機関へ委託する場合、支援委託費は施設ごと・機関ごとに設定が異なります。契約前に見積もりを取り、内訳の項目をそろえて比べることが欠かせません。
住居関連費については、茨木市固有の家賃相場を示す公的な統計は確認できていません。実際の住居費は、不動産会社への相談や物件情報の確認を通じて見積もることをおすすめします。
| 費用項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 紹介手数料 | 理論年収の30〜35%が相場です(介護業界全般の参考値) | 採用決定時に発生する完全成果報酬型が主流です |
| 支援委託費 | 機関ごとに設定が異なります | 見積もりで内訳を比較する必要があります |
| 住居関連費 | 物件確認と契約にかかる費用 | 茨木市の相場は不動産会社への確認が必要です |
| 教育費 | 日本語学習支援や研修にかかる費用 | 大阪府の補助対象になる場合があります |
大阪府は「外国人介護人材受入施設等環境整備事業」を実施しており、日本語学習支援や翻訳機購入などの経費に対して補助率2/3、上限20万円の補助を交付しています。これは大阪府の制度であり、茨木市独自の補助ではありません。
こうした府の補助制度を活用できるかどうかも、費用計画を立てる際に確認しておきたい点です。
外国人採用の支援を自社で行うか登録支援機関へ委託するかの比較

自施設の状況を把握したうえで、次に考えるのが支援を誰が担うかという点です。特定技能で受け入れる場合、支援計画の実施は自社で行うことも、登録支援機関へ委託することも可能です。
| 比較項目 | 自社で行う | 登録支援機関へ委託する |
|---|---|---|
| 専任担当の必要性 | 必要(生活相談・日本語学習支援などを担う) | 不要(機関が担う) |
| 費用 | 人件費として発生(見えにくい) | 支援委託費として明示される |
| ノウハウ | 自施設で蓄積が必要 | 機関の実績を活用できる |
| 向いている施設 | 受入れ人数が多く、専任者を置ける施設 | 専任担当を置けない施設 |
専任の担当者を置けない施設では、委託のほうが現実的な選択になりやすいと考えられます。一方で受入れ人数が多く、社内にノウハウを蓄積したい施設は、自社対応を選ぶ余地もあります。
茨木市内の有料老人ホームの規模構成(大規模法人か小規模事業所か)を示す公表資料は確認できていません。ただ、専任担当を新たに置く判断は施設規模だけでなく、現在の人員体制の余力によっても左右されます。
海外人材コネクトナビでは、対応制度や支援内容から支援機関を比較できます。
登録支援機関を選ぶときの判断基準とは?
委託の是非を決めたら、次はどの機関を選ぶかという判断になります。費用の安さだけで選ぶと、受入れ後の支援が不十分になることがあります。
茨木市やその近隣に拠点があるか
支援機関が茨木市やその近隣に拠点を持っているかは、実務上の差になります。受入れ後のトラブルは、電話やメールだけでは解決しないことがあります。
近隣に担当者がいれば、当日中に施設へ来て対応できる可能性が高くなります。外国人材本人の役所手続きや住居、通院の同行といった生活相談も、対面で進めやすくなります。
地域の不動産会社や日本語教室とつながりを持つ機関であれば、住居確保や日本語学習の面でも助けになります。逆に遠方の機関では訪問頻度が下がりやすく、出張費が追加でかかることもあります。
介護分野での実績を確認する
介護分野での支援実績があるかどうかも確認したい点です。特定技能だけでなく、技能実習や在留資格「介護」まで幅広く対応できる機関であれば、将来の受入れ拡大にも対応しやすくなります。
定着支援と費用体系を確認する
受入れ後の定着支援がどこまで含まれているか、日本語教育の体制があるかも確認します。日本語教育の体制がある機関であれば、業務に必要な日本語力を段階的に伸ばす支援が期待できます。
見積もりの段階で、料金表と追加費用の条件を書面で確認することも欠かせません。通訳対応や緊急時訪問などが追加費用の対象になっていないか、事前に確認しておく必要があります。
見積もりで確認すべき項目とは?
複数の登録支援機関から見積もりを取り、内訳の項目をそろえて比べることが判断の基本です。比較する際は、次の項目を必ず確認してください。
□ 支援委託費に含まれる業務範囲
□ 通訳対応が費用に含まれるか、別料金か
□ 緊急時訪問の対応範囲と費用
□ 対応できる国籍と現地送り出し機関との連携状況
□ 契約解除やキャンセルの条件
□ 担当者の説明が具体的で、質問に丁寧に答えるか
これらを表にして並べると、機関ごとの違いが見えやすくなります。見積もりの内容が抽象的で、質問への回答があいまいな機関は、受入れ後の対応にも同じ傾向が出やすいです。
悪質な事業者の見分け方とは?
判断基準を裏返すと、避けるべき事業者の特徴も見えてきます。費用の内訳を明示せず「一式」としか説明しない機関は、後から追加費用が発生しやすい傾向があります。
契約解除の条件を尋ねても曖昧にする機関も、注意が必要です。受入れ後の定着支援について具体的な説明がなく、「サポートします」という言葉だけで終わる場合も慎重に検討してください。
担当者が制度の説明に詰まる、または質問に対して的を外した回答をする場合は、実績や専門知識が十分でない可能性があります。
海外人材コネクトナビ掲載の支援機関を比較し、説明の丁寧さや費用の明確さを基準に選ぶことをおすすめします。
茨木市の有料老人ホームが外国人採用のために準備すべき受入れ体制とは?

委託先が決まった後は、施設側の実務的な準備が始まります。
住居とシフトの準備
茨木市には阪急京都線「茨木市駅」とJR京都線「茨木駅」の2つの主要駅があり、大阪・京都方面へのアクセスは比較的良好とされています。ただし夜勤帯の運行状況は公的な資料で確認できておらず、個別の確認が必要です。
通勤のしやすさが確認できても、住居探しは早めに着手しないと入職時期に影響します。住居とシフトの調整方針は、受入れ開始前に決めておきたい実務です。
指導役と記録の準備
指導役を誰が担うかを事前に決め、業務負担が過重にならないよう調整することも必要です。
介護記録の書き方や用語について、最初の段階で丁寧に共有しておくと、後々の行き違いを減らせます。住居確保と指導役の準備、どちらも後回しにすると、就労開始後にしわ寄せが出やすくなります。
受入れ後に起きやすいトラブルと対処とは?
受入れ後によく起きるのが、生活面での孤立です。職場では業務を通じて日本語に触れる機会がありますが、休日や地域での生活は別の話です。
一般に、離職は制度面よりも生活面の孤立から起きやすいと指摘されています。買い物や役所手続きへの同行は、定着に効果が期待できる取り組みの一つとされています。
職場の中では、既存職員との日常的な会話の機会を意識的に作ることも効果的です。指導役だけに任せず、複数の職員が関わる体制にすると、負担が分散され孤立も防げます。
また、支援計画の記録が不十分なまま運用を続けると、後から確認や修正に追われることがあります。記録は受入れ開始時点からルールを決め、継続的に残していく体制を整えておくことが望ましいです。
定着のために効果的な取り組みとは?
茨木市には「茨木市国際親善都市協会」があり、日本語を母語としない方向けにマンツーマンの日本語学習支援を行っています。介護職員に特化した支援かは不明ですが、一般向けの日本語学習支援団体として、受入れ前に把握しておくと役立ちます。
地域の支援団体とのつながりを持っておくことは、休日の孤立を防ぐ選択肢を増やすことにつながります。
海外人材コネクトナビでは、対応制度や支援内容から支援機関を比較できます。定着支援まで見据えた機関選びを進めてください。
外国人採用でよくある失敗と対策
契約後に通訳対応の追加費用が出てくるのは、受入れで最も多い想定外の出費です。見積もりの段階で通訳対応が費用に含まれているかを確認しておけば、防ぐことができます。
住居探しの開始が遅れると、入職時期が1か月単位でずれることがあります。受入れが決まった時点で住居探しを並行して始めておくと、こうしたずれを避けられます。
既存職員への説明が不足したまま受入れが始まると、指導役だけが対応を抱え込み孤立することがあります。受入れの目的と負担分担を事前に共有しておくことで、指導役の孤立を防げます。
日本語能力に対して任せる業務の範囲が広すぎると、本人の負担が大きくなり早期離職につながることがあります。業務範囲を段階的に広げる設計にしておけば、この負担を抑えられます。
費用の安さだけで支援機関を選ぶと、受入れ後の定着支援がほとんど無いという事態が起こりやすいです。支援内容を契約前に具体的に確認しておくことで、この失敗は避けられます。
受入れ準備チェックリスト
□ 自施設の人員体制と不足している時間帯・職種を把握した
□ 受入れ可能な在留資格を確認した
□ 住居の確保の見通しを立てた
□ 指導役とシフトの調整方針を決めた
□ 費用の総額と内訳(紹介手数料・支援委託費・住居費・教育費)を確認した
□ 支援機関の対応範囲と追加費用の条件を確認した
□ 既存職員への説明を行った
□ 地域の日本語学習支援団体の情報を確認した
茨木市の有料老人ホームの外国人採用のまとめ
茨木市の特養申込者数は約600人にのぼり、高齢化率も将来的に上昇が見込まれています。日本人だけの募集を続ける限り、有料老人ホームの人員体制の不足はさらに広がっていきます。
在留資格は、早く人手が要るなら特定技能、長期育成を前提にするなら在留資格「介護」を選ぶという整理が判断の出発点になります。自施設の不足している時間帯や職種を把握したうえで、外国人採用の支援を自社で担うか委託するかを検討してください。
専任担当を置けない施設は、委託のほうが現実的な選択になりやすいです。支援機関を選ぶ際は、費用の明確さだけでなく、茨木市やその近隣に拠点があるかどうかも確認してください。
受入れ後は、生活面の孤立を防ぐ日常的な支援が定着の鍵になります。費用や支援範囲、実績を確認し、自施設に合った支援機関を選びましょう。
よくある質問
- 特定技能人材を採用する場合、住居は施設側が用意する必要がありますか?
- 制度上、施設側が住居確保の支援をすることが一般的とされています。物件探しや契約手続きの補助を、登録支援機関の支援計画に含める例が多く見られます。
- 委託する場合、支援委託費以外にどんな費用がかかりますか?
- 紹介手数料、住居関連費、教育費が別途かかることが一般的です。見積もりの段階で、これらが支援委託費に含まれるかどうかを確認する必要があります。
- 茨木市近隣に拠点がある支援機関を選ぶメリットは何ですか?
- トラブル発生時に当日中の訪問対応が期待できる点です。外国人材本人の生活相談も対面で進めやすくなります。
- 受入れ人数が多い場合はどうすればよいですか?
- 対応できる国籍の幅や現地送り出し機関との連携状況を確認し、複数の支援機関を比較することをおすすめします。海外人材コネクトナビ掲載の支援機関を比較し、自施設の規模に合った機関を選んでください。
- 既存職員の理解を得るには何から始めればよいですか?
- 受入れの目的と、指導役の負担分担を事前に説明することから始めます。受入れ後も定期的に状況を共有すると、現場の不安を減らせます。
