2026.06.11

【特定技能の住居基準】広さ・家賃ルールの完全ガイド!失敗しない物件選びと支援策

「特定技能外国人の住居基準が細かくて分からない」「家賃や初期費用の負担ルールを間違えて指導されないか不安」と頭を悩ませていませんか。

出入国在留管理庁が定める要件は、居室の広さから費用負担まで厳格に決められており、自社流の解釈で進めると法令違反に問われるリスクがあるからです。

安全に外国人材を受け入れるためには、公的ルールである「運用要領」を正確に理解し、企業側に課せられた支援義務を漏れなく実行する体制を整える必要があります。

住環境の整備は単なる法令遵守にとどまらず、外国人材の生活基盤を安定させ、早期離職を防ぐ重要な要素になるためです。
<記事の要約>
・特定技能外国人の居室は原則「1人あたり7.5㎡以上」が必要
・家賃設定において企業が利益を得ることは法令違反となる
・敷金や礼金などの初期費用は原則として受け入れ企業が負担する
・自社での支援が難しい場合は登録支援機関へ委託できる

この記事のポイントは?

特定技能外国人の受け入れに「住居確保支援」が必須な理由

企業による住居確保支援は、外国人の安定した就労を支える根幹です。

外国人材が日本で生活基盤を築くためには、安全で快適な住居が欠かせません。しかし、日本独特の賃貸事情により、外国人本人が自力で物件を確保することは極めて困難です。

日本での物件探しにおける外国人特有のハードル

言葉の壁や保証人制度が、外国人の住居探しの大きな障壁となっています。

日本の賃貸借契約は複雑であり、日本語でのコミュニケーションが難しい外国人にとって自力での契約は至難の業です。また、連帯保証人を求められるケースが大半であり、日本に親族がいない外国人材は審査を通過できないことが珍しくありません。

さらに、生活習慣の違いに対する大家の懸念から、外国人入居を不可とする物件も依然として多く存在します。企業が間に立って交渉し、契約をサポートしなければ、生活の拠点を確保することすらできないのが実情です。

「1号特定技能外国人支援計画」における義務的支援としての位置づけ

住居確保は法律で定められた企業の義務的支援です。

出入国管理及び難民認定法に基づく「1号特定技能外国人支援計画」において、住居確保の支援は義務として明記されています。これは任意のサポートではなく、特定技能1号の外国人を受け入れるための必須条件です。

支援を怠った場合や基準を満たさない物件を提供した場合は、法令違反として受け入れが認められない、あるいは指導の対象となります。採用担当者は、住居手配を採用活動の一部として計画的に組み込む必要があります。

出入国在留管理庁「運用要領」に基づく特定技能の住居基準

法務省の運用要領に従い、面積や設備の基準を厳密に満たす必要があります。

公的ルールを無視した物件手配は、申請時の不備や実地調査での指摘に直結します。自社の裁量ではなく、行政が定める明確な基準に沿って住居を用意しなければなりません。

居室の広さの最低基準:原則「1人あたり7.5㎡以上」

1人あたりの居住スペースは、最低7.5㎡を確保しなければなりません。

特定技能1号外国人の居室は、1人あたり7.5㎡以上(約4.5畳以上)の広さが必要です。複数人でルームシェアをする場合でも、居室全体の面積を居住人数で割った面積が7.5㎡以上でなければなりません。

この基準は、外国人材のプライバシーを保護し、健康的な生活を送るための最低ラインとして設定されています。面積が不足している物件を契約してしまうと、入管への申請が通らないため事前の内見や図面確認は必須です。

ロフトや収納、共有スペースは面積に含めない点に注意

実際に居住空間として使える広さのみで計算します。

面積を算出する際、天井の高さが140cm未満のロフトや押入れ、床の間などの収納スペースは居室の面積に含めません。また、トイレや浴室、廊下といった共有スペースも計算から除外されます。

表面的な延べ床面積だけで判断して契約すると、実際の居室面積が基準を満たさず、後から物件を探し直す失敗に繋がります。必ず「居住に使用できる有効面積」で判断してください。

技能実習制度との住居ルールの違いと比較

特定技能と技能実習では、住居に関するルールが大きく異なります。

制度の目的が違うため、住居に関する要件も変わります。以下の比較表を確認し、自社が手配すべき物件の条件を整理してください。

項目 特定技能1号 技能実習
居室の広さ 原則1人あたり7.5㎡以上 1人あたり4.5㎡以上
契約主体 企業契約、または本人契約 企業契約が原則
初期費用負担 原則として企業が負担 企業負担が一般的
家賃の徴収 実費相当額(利益上乗せ禁止) 実費相当額(利益上乗せ禁止)
支援の性質 定着を見据えた生活支援 実習期間中の宿舎提供

技能実習制度に慣れている企業は、広さの基準を4.5㎡と勘違いしやすいため、特に注意が必要です。

【特例】技能実習から特定技能1号へ移行する場合の措置(4.5㎡以上)

同じ社宅に住み続ける場合に限り、広さの要件が緩和されます。

技能実習2号を修了し、そのまま同じ企業で特定技能1号へ移行する人材が、引き続き同じ社宅に居住することを希望する場合は特例が適用されます。このケースに限り、1人あたり4.5㎡以上(約3畳以上)の基準が認められます。

環境変化による本人のストレスを軽減するための経過措置です。新たに別の物件へ引っ越す場合は、原則通り7.5㎡以上の基準が適用されるため、混同しないよう管理してください。

特定技能2号への移行と家族帯同時の住居要件

特定技能2号への移行を見据えた長期的な住環境整備が求められます。

熟練した技能を持つ特定技能2号の外国人に対しては、法律上の支援計画策定義務はありません。しかし、人材定着の観点から、引き続き企業が住居をサポートすることが推奨されます。

また、特定技能2号になると配偶者や子どもの帯同が可能になります。家族と同居する場合は、単身用の基準ではなく、世帯向けの広さや周辺環境(学校や病院の有無など)を考慮した物件手配が必要です。

家賃・費用のルール:企業への利益上乗せは法令違反

住居に関する費用負担は、厳格なルールに基づき処理しなければなりません。

外国人材の住居費用で企業が不当な利益を得ることは、制度上固く禁じられています。金銭トラブルは信頼関係を破壊する最大の原因となります。

敷金・礼金・保証料・仲介手数料などの初期費用は原則「企業負担」

賃貸契約にかかる初期費用は、受け入れ企業が負担するルールです。

企業または登録支援機関が物件を借り上げて提供する場合、敷金、礼金、仲介手数料、家賃保証会社の保証料などの初期費用は、原則として企業側が全額負担します。これらの費用を家賃に上乗せして外国人本人に請求したり、給与から天引きしたりする行為は認められていません。

採用計画を立てる際は、紹介手数料だけでなく、住居確保に伴う初期コストも含めて予算を確保しておく必要があります。

家賃設定の考え方:会社負担分と本人負担分をどう決めるか

家賃は実費の範囲内に収め、利益を出してはいけません。

企業が借り上げた物件を提供する場合、外国人材から徴収できる家賃は「借上げに要する実費相当額」が上限です。家賃と共益費を合わせた金額を入居人数で割った額を超えて請求することは法令違反となります。

自社所有の社宅を提供する場合も同様に、建設費用や耐用年数を基に算出した合理的な金額を設定しなければなりません。不当に高い家賃設定は、実地調査で必ず指摘されます。

金銭トラブルを防ぐための給与天引き(控除)協定の注意点

家賃を給与から控除する場合は、事前の協定と説明が不可欠です。

家賃や水道光熱費を毎月の給与から天引きする場合、労働基準法に基づく「賃金控除に関する労使協定」を締結しなければなりません。無断での天引きは労働基準法違反となります。

また、協定を結ぶだけでなく、雇用契約の段階で「毎月いくら引かれるのか」「手取り額はいくらになるのか」を母国語で丁寧に説明してください。このプロセスを怠ると、入社後に「聞いていた給与と違う」という重大なトラブルに発展します。

プライバシーの確保と生活に必要な設備・備品基準

単なる寝床ではなく、健康で文化的な生活を送るための環境を整えます。

基準面積を満たすことだけが要件ではありません。外国人材が休息を取り、翌日の業務に備えるための機能的な住環境が求められます。

鍵付き個室の推奨とプライバシー保護・安全性の重要性

個人のプライバシーが守られる個室の提供が基本となります。

相部屋を避けることが難しくても、可能な限り鍵付きの個室を用意することが望ましいです。一つの大部屋をカーテンやパーテーションで区切っただけの空間は、プライバシーが確保されているとはみなされません。

また、消防法に基づく火災報知器の設置や、2階以上であれば避難経路の確保など、安全と衛生に関する建築基準を満たしている物件を選ぶ必要があります。

【初期コスト把握】企業が用意すべき家電・生活備品リスト

入居したその日から生活できる設備を整える必要があります。

来日直後の外国人は、生活用品を一切持っていません。企業側で最低限の家具・家電を手配しておくことが支援の基本です。以下のチェックリストを活用して準備を進めてください。

  • 冷蔵庫(自炊可能な容量)
  • 洗濯機
  • エアコン(冷暖房設備)
  • 電子レンジ
  • ガスコンロまたはIHヒーター
  • 寝具一式(布団、毛布、枕など)
  • 照明器具
  • カーテン
  • Wi-Fi環境(現代の生活必需品)

これらを企業が購入して貸与するか、リースを活用するか、事前に検討しておくことでスムーズな受け入れが可能になります。

特定技能外国人の住居を確保する3つの方法

自社の状況に合わせて、最適な住居手配の方法を選択します。

住居の確保には複数のパターンが存在します。それぞれのメリットと実務上の負担を理解し、無理のない運用方法を取り入れてください。

方法1:企業が一般の賃貸物件を借り上げて提供する(借上社宅)

不動産会社を通じて企業名義で物件を契約し、外国人に貸与する方法です。

最も多く選ばれるのが、借上社宅の形態です。企業が法人契約を結ぶため、不動産の審査が通りやすく、希望するエリアで物件を確保しやすいメリットがあります。

注意点として、契約前に大家や管理会社に対して「外国人が入居すること」を必ず伝え、承諾を得ておく必要があります。無断で入居させると契約解除のトラブルに発展するため、事前の調整が欠かせません。

方法2:企業が所有する社宅や社員寮を提供する

自社の遊休不動産を活用し、初期費用を抑えて住居を提供します。

すでに社員寮や社宅を保有している場合、それを特定技能外国人に提供することができます。新たな契約手続きが不要で、コストを抑えられる点が大きなメリットです。

ただし、築年数が古い物件の場合は、7.5㎡の広さ基準を満たしているか、雨漏りや設備の故障がないか、事前に必ず点検してください。劣悪な環境を提供すれば、早期離職に直結します。

方法3:外国人本人が賃貸借契約を結ぶ際のサポートを行う

本人が直接契約する場合、企業は物件探しから連帯保証まで伴走します。

外国人本人が契約主体となる場合、企業は不動産会社への同行や、日本語で書かれた契約書の翻訳・説明を行います。また、連帯保証人を求められた際は、受け入れ企業が保証人になるか、家賃保証会社を利用する際の緊急連絡先として対応する必要があります。

本人の希望を取り入れやすい反面、手続きの工数が最も多くなる方法です。

申請不備・指導を防ぐための行政手続きとチェックリスト

物件を決めて終わりではなく、入居後の公的手続きも支援の対象です。

住居の確保は始まりに過ぎません。入国や転居に伴う役所手続きを期限内に完了させなければ、不法就労状態になるリスクがあります。

自治体への「転入届」や在留カードの住所変更手続き

住居が決まったら14日以内に市区町村役場での手続きが必要です。

入国後または引越し後、新しい住居が決まってから14日以内に、管轄の役所へ転入届を提出しなければなりません。同時に、在留カードの裏面に新しい住所を記載してもらう手続きも行います。

これらの行政手続きは、日本の役所事情に不慣れな外国人材にはハードルが高いため、企業の担当者が同行し、書類の記入から提出までをサポートする義務があります。

出入国在留管理庁への定期的な支援実施状況の報告

住居に関する支援の実施状況は、入管へ定期的に報告する義務があります。

特定技能外国人を受け入れている企業は、四半期に一度、出入国在留管理庁に対して「支援実施状況に係る届出」を提出します。この中で、住居確保の支援を適正に行ったことを報告しなければなりません。

家賃の支払い記録や給与明細、物件の賃貸借契約書のコピーなどは、実地調査の際に提示を求められるため、適切に保管しておく必要があります。

【実務直結】特定技能の住居確保・支援フローとチェックリスト

手続きの抜け漏れを防ぐため、時系列でタスクを管理します。

実務担当者が見落としやすいポイントをリスト化しました。そのままコピーして活用してください。

□ 1人あたり7.5㎡以上の広さを確保しているか
□ 家賃は実費相当額で、企業の利益が含まれていないか
□ 敷金・礼金等の初期費用を企業が負担しているか
□ 冷暖房設備や寝具など、生活必需品を用意しているか
□ 賃貸借契約時、外国人の入居について家主の同意を得ているか
□ 給与から家賃を天引きするための労使協定を締結しているか
□ 家賃や手取り額について、本人へ母国語で説明し同意を得ているか
□ 入居後14日以内に役所で転入届・在留カードの住所変更を行ったか
□ 登録支援機関へ支援を委託する場合、費用区分を明確にしているか

海外人材コネクトナビでは、このような実務に強い登録支援機関の特徴や対応業種を比較できます。

外国人材の定着率を向上させる「選ばれる」住環境づくり

法令遵守の先にある、人材確保のための戦略的な住居支援を構築します。

特定技能外国人は、複数の企業から就職先を選ぶことができます。魅力的な住環境を提供することは、採用競合に勝つための重要な要素です。

可処分所得を意識した家賃設定と生活環境の整備

家賃負担を軽減し、生活利便性の高い物件を選ぶことが定着に繋がります。

家賃を全額本人負担にするのではなく、企業が家賃補助を支給することで、外国人の実質的な手取り額(可処分所得)が増加します。手取り額の多さは求人時の大きなアピールポイントとなります。

また、職場へ自転車で通勤できる距離か、近くにスーパーやドラッグストアがあるかなど、生活のしやすさを考慮して物件を選定してください。通勤のストレスや買い物の不便さは、離職の直接的な原因になります。

自社での対応が難しい場合は「登録支援機関」への委託も有効

専門的な支援業務は、プロである登録支援機関に任せることが確実です。

物件探しからインフラ契約、役所への同行まで、住居確保に伴う支援業務は膨大な工数がかかります。社内の人事担当者だけでは対応しきれない場合、国が認定した「登録支援機関」へ支援の全部または一部を委託することが可能です。

どの支援会社を選ぶべきか迷った場合は、海外人材コネクトナビ掲載企業を比較してください。自社の業界に精通した専門家を見つけることができます。

ケース別解説:業界ごとの住居確保のポイント

業種や状況によって、最適な住居確保のアプローチは異なります。

自社の実情に近いケースを参考に、運用方法を検討してください。

ケース1:介護施設の場合
夜勤がある介護現場では、通勤負担の軽減が必須です。施設周辺の借り上げアパートを用意するか、敷地内の空きスペースを改修して社員寮とするケースが目立ちます。シフト勤務による生活音の配慮も必要となるため、防音性の高い物件選びが求められます。

ケース2:建設業・製造業の場合
複数名で同時に入社するケースが多いため、広めの戸建て物件を借り上げてルームシェアをさせる手法が一般的です。ただし、この場合でも「1人7.5㎡以上」の基準は厳格に適用されるため、共有スペースを除外した上で図面確認を徹底しなければなりません。

ケース3:初めて外国人採用を行う場合
ノウハウがない状態で自社手配を進めると、基準違反による申請却下のリスクが高まります。初回は無理をせず、住居手配の実績が豊富な登録支援機関に業務を全面委託し、プロの進め方を学びながら体制を構築することが最も安全な選択です。

特定技能外国人の住居基準に関するよくある質問(FAQ)

住居確保の実務で生じやすい疑問を解消します。

担当者が現場で直面する細かな疑問について、明確な基準に基づき回答します。

Q. ルームシェア(相部屋)の場合、広さの計算はどうなりますか?

結論
純粋な居室面積の合計を居住人数で割って計算します。

理由
キッチン、風呂、トイレ、廊下などの共有スペースは面積に含めません。例えば、6畳(約9.7㎡)と8畳(約12.9㎡)の居室がある物件に3人で住む場合、居室合計22.6㎡÷3人=約7.53㎡となり、辛うじて基準を満たします。ギリギリの広さはトラブルの元になるため、余裕を持った物件選定が必要です。

Q. 本人が「狭くても安い部屋が良い」と希望した場合は認められますか?

結論
本人の希望であっても認められません。

理由
特定技能の住居基準(1人7.5㎡以上)は、外国人の健康と生活を守るための強行規定です。たとえ本人が家賃節約のために狭い部屋を希望したという同意書があったとしても、入国管理局の審査は通りません。基準を下回る物件での受け入れは法令違反となります。

Q. 契約する物件について、事前に外国人本人の同意は必要ですか?

結論
必ず事前の同意が必要です。

理由
企業が一方的に物件を決め、事後報告で入居させることはできません。入国前や契約前に、物件の写真や間取り図、周辺環境の情報を提示し、家賃の負担額について十分に説明した上で、本人の納得と同意を得るプロセスが義務付けられています。

まとめ:法令基準を満たし、外国人が長く働ける環境整備を

正確な制度理解と手厚い支援が、外国人採用を成功に導きます。

特定技能外国人の住居確保において最も重要なのは、1人7.5㎡以上の広さを確保し、家賃で企業の利益を出さず、初期費用を企業が負担するという公的ルールを厳守することです。

これらの基準を満たした上で、初めて日本で暮らす外国人材の不安に寄り添い、生活インフラの整備や役所手続きまで伴走することが求められます。制度選びや外国人採用に不安がある場合は、専門家へ相談することが近道です。

外国人採用で失敗しないためには、自社に合った支援体制を整えることが重要です。海外人材コネクトナビ掲載企業を比較し、信頼できる登録支援機関へ相談してください。

執筆者コネクトナビ編集部

外国人材採用に役立つ情報を随時発信しています。


監修青山 信明

2018年から一般社団法人外国人介護留学生支援機構にて、日本で介護職を目指す外国人留学生の生活支援および就職支援を担当。ベトナム・ネパール・インド国籍の学生支援に従事する。
特定技能制度施行後は、同機構が登録支援機関として認可を受ける過程にも関与し、現在は主にベトナム国籍人材を中心とした特定技能外国人の支援業務を行っている。

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