2026.08.22

大阪市東成区で外国人介護人材が長く働く施設づくりのポイント

介護施設で笑顔で働く外国人スタッフと日本人職員の様子

求人を出しても応募が来ない状態が、何か月も続いていませんか。

大阪市東成区で介護施設を運営している方の多くが、同じ悩みを抱えています。日本人だけの募集では、人員基準を満たすことが年々難しくなっているのです。

外国人材の受入れという選択肢は聞いたことがあっても、制度が複雑で、何から手をつければよいか分からない方も多いはずです。

受入れは始めたものの、定着支援がうまくいかず悩んでいる施設もあります。

大阪市東成区の人材不足の実情から、在留資格ごとの違い、費用相場、登録支援機関へ委託すべきかの判断基準、そして支援機関選びのポイントまでを、比較しながら整理していきます。

この記事のポイント

□ 東成区の高齢化率は23.7〜24.9%で、市内でも中位から上位に位置します

□ 早く人手が必要なら特定技能、長期育成が前提なら在留資格「介護」を検討します

□ 初年度の費用は1人あたり40〜80万円で、大半が紹介手数料と支援委託費です

□ 専任の担当者を置けない施設は、登録支援機関への委託が現実的な選択です

□ 東成区やその近隣に拠点がある支援機関は、対応スピードが変わります

大阪市東成区の介護人材不足の実情とは?

大阪市東成区役所が公表する令和8年1月1日推計人口では、65歳以上の年齢層が全人口の23.7%を占めています。これは大阪市内24区中16位の水準です。

令和5年2月1日推計人口の時点では高齢化率24.9%、市内15位でした。人口密度は18,854人/平方キロメートルで、市内3位という高い数字です。

つまり東成区は、限られた面積の中に高齢者が密集して暮らす地域だといえます。

日本医師会総合政策研究機構の推計によると、東成区が属する二次医療圏では75歳以上人口が2020年の11,607人から2045年には14,270人へ、23%増加する見込みです。

後期高齢者が増える一方で、支える側の人材確保は追いついていません。

施設規模による採用力の差

大阪市が公表する令和3年6月1日時点の資料によると、東成区内には有料老人ホーム11施設、サービス付き高齢者向け住宅9施設、特別養護老人ホーム4施設、老健3施設、グループホーム8施設があります。区内の施設数は合計40施設です。

施設数が多いということは、限られた人材を巡って競合する施設も多いということです。

大規模法人が運営する施設は求人広告費をかけられますが、中小規模の事業所は同じ予算をかけられません。

立地と通勤圏がもたらす競合

東成区内には緑橋駅、深江橋駅、今里駅、新深江駅があり、大阪メトロの中央線・千日前線・今里筋線が利用できます。

難波や本町といった中心部へのアクセスがよいため、職員は東成区外の施設とも比較しながら勤務先を選べる環境にあります。

介護職の求人サイトみんジョブの集計では、東成区の求人掲載数は105件で、大阪市内24区中14位、平均の約140件を下回っています。求人の見え方でも、周辺区に埋もれやすい状況です。

日本人限定の募集を続ける限界と、選ばれる在留資格

厚生労働省が公表した令和3年データによると、介護関係職種の有効求人倍率は3.64倍でした。全業種計の1.03倍と比べると、極めて高い水準です。

大阪府に限れば、この差はさらに広がります。日本人だけを対象とした募集を続ける限り、応募数を増やすことは難しくなっています。

外国人介護人材の受入れを検討する施設が増えているのは、こうした構造が背景にあります。

特定技能は、日本語能力と一定の技能水準を確認したうえで、比較的短期間で就労を始められる制度です。東成区のように求人倍率が高い地域では、早期に人員を確保できる点が選ばれる理由になっています。

一方、在留資格「介護」は資格取得を前提とした長期就労を想定しています。教育体制を整えられる施設であれば、腰を据えて人材を育てる選択肢になります。

外国人介護人材の受入れ方法を比較|在留資格ごとの違いとは?

外国人材を受け入れる方法には、主に3つの在留資格があります。それぞれ就労できる範囲や期間が異なります。

在留資格 就労できる範囲 在留期間の目安 向いている施設
在留資格「介護」 介護福祉士として幅広い業務 更新制で長期就労が可能 長期的に育成したい施設
特定技能(介護) 直接的な現場業務全般 通算5年(更新の枠組みあり) 早期に人手を確保したい施設
技能実習(介護) 指導のもとでの現場業務 技能等の段階により異なる 時間をかけて技能を習得させたい施設

この表からも分かるように、早く現場に入ってもらいたいなら特定技能、資格取得を前提に長く育てたいなら在留資格「介護」が候補になります。

いずれの在留資格も、要件や在留期間の上限は制度改正の対象になりやすい部分です。最新の情報は出入国在留管理庁で確認することをおすすめします。

自施設に外国人介護人材の受入れが向いているか見極める3つの視点

制度を比較する前に、まず自施設の状況を整理することが大切です。

次の3点を確認すると、受入れが向いているかどうかが見えてきます。

  • 人員体制の不足が慢性的か一時的か
  • 業務や日本語の指導役を確保できるか
  • 住居を用意できる見通しがあるか

一時的な欠員であれば、既存の人材紹介や求人広告で対応できる場合もあります。東成区の求人倍率の高さを踏まえると、慢性的な不足であれば受入れを検討する価値があります。

指導役に余裕がない状態で受入れを進めると、指導役が孤立し、早期離職につながります。誰が指導役を担うのか、業務のどこまでを任せるのかを、受入れ前に決めておく必要があります。

日本語能力の水準に応じて、任せる業務を段階的に広げていく考え方も、この時点で決めておくと後の混乱を防げます。

住居確保の見通しを立てる

不動産情報サイトのスーモによると、東成区のワンルーム家賃相場は3.8万円、1K・1DKは6.0万円です。新築かつ駅徒歩1〜5分の条件では、ワンルームで6.2万円からとなっています。

社宅を用意するか、住居確保をどこまで支援機関に任せるかを先に決めておきましょう。

今里駅、新深江駅、緑橋駅、深江橋駅の周辺には賃貸物件が多く、東成区は大阪市内でも比較的物件を探しやすい地域です。

受入れが決まってから就労開始までの流れと期間の目安

受入れが決まってから就労開始までの流れと期間の目安

受入れを決めてから就労開始まで、一般的には3〜6か月程度の準備期間がかかります。

在留資格の種類や、母国での日本語教育の進み具合によって、期間には幅が出ます。

工程 内容 期間の目安
人材の選定 紹介会社・送出機関とのマッチング 1〜2か月
在留資格の申請 在留資格認定証明書交付申請等 1〜3か月
受入れ準備 住居確保・支援計画の作成 就労開始までに並行して実施
入国・就労開始 入国後の生活オリエンテーション等 入国後数週間

この表のとおり、在留資格の申請には想定より時間がかかることがあります。求人を出す時点から逆算して準備を始めることが、入職時期のずれを防ぐ鍵になります。

費用の相場と内訳は?受入れにかかる金額

費用の相場と内訳は?受入れにかかる金額

紹介手数料は1人あたり20〜40万円が目安です。全国老人福祉施設協議会の調査では、常勤の職員(介護福祉士あり)の紹介手数料は平均約89万円、142施設では100万円を超えているという結果もあります。

幅が出るのは、在留資格の種類と、母国での日本語教育をどこまで紹介会社が担うかによるためです。

支援委託費は1人あたり月額2〜3万円が目安です。受入れ人数が増えると1人あたりの単価が下がる契約も見られます。

費用の項目 金額の目安 変動する要因
紹介手数料 20〜40万円(1人あたり) 在留資格の種類、教育支援の範囲
支援委託費 月額2〜3万円(1人あたり) 受入れ人数、支援内容の範囲
住居関連費 初期費用10〜20万円程度 物件の立地、社宅提供の有無
日本語教育費 数万円〜数十万円 入国前・入国後どちらで実施するか

初年度にかかる費用は、1人あたり合計で40〜80万円程度になることが多く見られます。この幅の大半を占めるのは、紹介手数料と支援委託費です。

海外人材コネクトナビでは、対応制度や支援内容から支援機関を比較できます。費用の内訳を事前に確認しておくと、想定外の出費を防げます。

外国人材の支援を自社で行うか登録支援機関へ委託するか

特定技能で外国人材を受け入れる場合、支援計画の実施を自社で行うか、登録支援機関へ委託するかを選べます。

比較項目 自社で実施 登録支援機関へ委託
費用 人件費のみ(見えにくいコスト) 月額2〜3万円程度
専門知識 担当者が制度を学ぶ必要がある 専門機関が最新制度に対応
対応できる人数 担当者の余力に依存 複数人でも対応可能
緊急時の対応 施設内で即応できる 機関の拠点との距離に左右される

専任の担当者を置ける大規模施設であれば、自社実施でコストを抑えられます。一方、東成区に多い中小規模の事業所では、専任担当を置く余裕がないことがほとんどです。

そうした施設にとって、登録支援機関への委託は現実的な選択になります。

介護分野の登録支援機関を選ぶときの判断基準とは?

委託を決めたあと、どの登録支援機関を選ぶかが次の課題になります。次の観点で比較してください。

まず、介護分野での実績があるかを確認しましょう。他分野が中心の機関では、現場特有の事情に対応しきれないことがあります。

対応できる在留資格の幅も重要です。特定技能だけでなく、在留資格「介護」への切り替えにも対応できるかを確認してください。

日本語教育の体制も欠かせない要素です。入国前・入国後のどちらで、どこまで支援するかは機関ごとに異なります。

費用体系が明確かどうかも見ておきましょう。追加費用が発生する条件を、契約前に確認しておくと安心です。

東成区やその近隣に拠点があるかを確認する理由

受入れ後のトラブルは、電話やメールだけでは解決しないことがあります。

近隣に担当者がいる機関であれば、当日中に施設へ来られる可能性が高くなります。

本人の生活相談、たとえば東成区役所での手続きや住居のこと、通院についても、対面での対応のほうが進みやすいのが実情です。

地域の不動産会社や、大成小学校で開かれている大成識字・日本語交流教室のような地域の学習の場とつながりを持つ機関であれば、生活面の支援も期待できます。

逆に、遠方の事業者は訪問頻度が下がりやすく、交通費が費用に加わることもあります。

見積もりで確認すべき項目とは?業者選びで見落としやすい点

見積もりを受け取ったら、次の項目を必ず確認してください。

紹介手数料と支援委託費が、別々の項目として明記されているかを確認しましょう。まとめて「一式」と記載されている見積もりは、内訳が不透明です。

通訳対応や緊急時対応が、月額費用に含まれるのか、別途発生するのかも重要な確認点です。

解約時の条件、特に早期離職した場合の費用の扱いも、契約前に確認しておく必要があります。

対応できる国籍と、現地の送出機関との連携体制も聞いておくと、後のトラブルを避けられます。

悪質な事業者の見分け方とは?

良い支援機関の基準が見えてきたところで、その裏返しとなる特徴も知っておきましょう。

費用の内訳を尋ねても曖昧な説明しかしない機関には注意が必要です。「一式」という言葉で片づける事業者は、後から追加費用を請求してくる傾向があります。

契約前の説明が一方的で、施設側の事情を聞かずに進める機関も避けたほうがよいでしょう。

受入れ後の定着支援について、具体的な内容を答えられない機関も要注意です。「サポートします」という言葉だけで、実際の訪問頻度や相談窓口が示されない場合は、契約前に必ず確認してください。

支援機関選びで迷った場合は、海外人材コネクトナビ掲載の支援機関を比較してください。

外国人材の受入れ体制として東成区の施設が準備するもの

外国人材の受入れ体制として東成区の施設が準備するもの

支援機関が決まったあとは、施設内の実務的な準備に入ります。住居・シフト・指導役・記録の4点が柱になります。

東成区は今里駅、新深江駅、緑橋駅、深江橋駅周辺に賃貸物件が多くあります。ワンルーム家賃は3.8万円からと、大阪市内でも比較的手が届く水準です。

社宅として借り上げるか、本人に探してもらうかを早めに決めておきましょう。

指導役とシフトの組み方

指導役となる職員の業務負担は、事前にシフトへ組み込んでおく必要があります。指導役だけに負担が集中すると、指導役自身が疲弊してしまいます。

日本語能力の水準に応じて、任せる業務を段階的に広げていく考え方が現実的です。最初から複雑な対応を任せると、本人にも利用者にも負担がかかります。

記録の書き方と既存職員への説明

介護記録は専門用語が多く、日本語を学び始めた職員には難しい部分です。定型フォーマットや記入例を用意しておくと、早い段階で独力で書けるようになります。

受入れの目的や制度の内容は、既存職員に事前に説明しておくことが大切です。説明が不十分だと、現場の職員が戸惑い、指導役が孤立する原因になります。

受入れ後に起きやすいトラブルと対処

受入れが実現したあとにも、いくつかの典型的なトラブルが起こります。

生活面での孤立感から、本人が悩みを溜め込んでしまうケースがあります。定期的な面談の機会を設けることが、早期の気づきにつながります。

利用者やその家族が、外国人材への対応に慣れず、戸惑うこともあります。事前の説明と、少しずつ関わる機会を増やす工夫が有効です。

支援計画の記録が不十分で、後から対応に追われることもあります。日々の記録をこまめに残しておくことが、トラブル防止につながります。

東成区の介護施設で外国人材の定着支援に効果的な取り組みとは?

受入れが済んだあとは、定着支援の取り組みが本題になります。

大阪市が公表する外国人住民数によると、大阪市全体で161の国や地域を出身とする214,337人の外国人が暮らしています。東成区も外国人比率が比較的高い地域であり、生活面でのコミュニティを見つけやすい環境にあります。

買い物や区役所での手続きへの同行は、定着支援として最も効果が出やすい取り組みです。

大成小学校で開かれている日本語交流教室のような、地域の学びの場を紹介することも、生活の安心感につながります。

大阪府は「令和8年度介護分野への就労・定着支援事業」として、初任者研修などの受講料の一部を補助する事業を実施しています。外国人材も対象に含まれるため、活用を検討する価値があります。

賃金面では、大阪府の処遇改善支援補助金など、複数の制度が用意されています。定着支援と合わせて確認しておくとよいでしょう。

受入れで起きやすい失敗事例

契約後に通訳対応の追加費用が発生するのは、受入れで最も多い想定外の出費です。見積もり時に、通訳対応が月額費用に含まれるかを確認しておけば防げます。

住居探しの開始が遅れると、入職時期が1か月単位でずれることがあります。受入れを決めた時点で、住居の確保に着手しておくことが対策になります。

既存職員への説明が不足したまま受入れを進めると、指導役だけが対応を抱え込み、孤立してしまいます。受入れ前に全職員へ目的を共有しておくことで避けられます。

日本語能力に見合わない業務を任せると、本人が失敗を重ね、早期離職につながります。業務範囲を段階的に広げる計画を、あらかじめ立てておくことが有効です。

費用の安さだけで支援機関を選ぶと、受入れ後の定着支援がほとんど無かった、という結果になりやすい傾向があります。契約前に、定着支援の具体的な内容まで確認しておくことが重要です。

受入れ準備チェックリスト

□ 自施設の人員体制と不足数を把握した

□ 受入れ可能な在留資格を確認した

□ 住居の確保の見通しを立てた

□ 指導役とシフトの調整方針を決めた

□ 費用の総額と内訳を確認した

□ 支援機関の対応範囲を確認した

□ 既存職員への説明を行った

□ 記録フォーマットを用意した

まとめ

東成区の高齢化率は23.7〜24.9%で、市内でも高い水準にあります。人材需要は今後も続く見込みです。

日本人だけの募集に限界を感じているなら、外国人介護人材の受入れは検討に値する選択肢です。

早く人手が必要な施設は特定技能を、長期育成を前提とする施設は在留資格「介護」を軸に考えるとよいでしょう。

費用は初年度で1人あたり40〜80万円が目安です。専任担当を置けない施設は、登録支援機関への委託が現実的です。

支援機関を選ぶ際は、東成区やその近隣に拠点があるか、実績があるかを必ず確認してください。

海外人材コネクトナビでは、対応制度や支援内容から支援機関を比較できます。自施設に合った受入れ方法と定着支援を、じっくり見極めていきましょう。

よくある質問

東成区で外国人材を受け入れる場合、まず何から始めればよいですか
まず自施設の人員不足が慢性的かどうかを整理し、指導役と住居確保の見通しを立てることから始めます。
費用はどのくらいかかりますか
初年度は1人あたり40〜80万円が目安です。紹介手数料と支援委託費が大半を占めます。
登録支援機関は東成区内に無くても大丈夫ですか
契約自体は可能ですが、近隣に拠点がある機関のほうが緊急時の対応が速い傾向があります。
受入れ人数が多い場合はどうすればよいですか
複数名を一度に受け入れる場合は、支援機関の対応体制と住居の確保を優先して確認することをおすすめします。海外人材コネクトナビで対応実績のある機関を比較できます。
日本語能力が低い人材でも受入れは可能ですか
可能ですが、業務範囲を段階的に広げる計画と、日本語教育の体制をあわせて準備する必要があります。