2026.09.08

枚方市の老健施設でベトナム人介護人材の採用が進む背景

介護施設で外国人スタッフが利用者を笑顔で介助している様子

求人を出しても応募がほとんど来ない。そんな状態が続いている枚方市の老健施設は、少なくないはずです。

採用担当の方であれば、日本人だけの募集にこだわり続けることへの限界を、すでに感じているのではないでしょうか。一方で、外国人介護人材の受入れには、在留資格の違いや費用、支援機関選びなど、分からないことが多く残ります。

読み終えたときには、自施設の課題の構造、在留資格ごとの違い、費用の目安、支援機関を選ぶ基準まで、判断材料がそろった状態になっているはずです。

この記事のポイント

□ 枚方市単独の求人倍率は公表されていませんが、大阪府全体では介護職の有効求人倍率が全国平均を上回っており、日本人だけの募集では枠が埋まりにくい状況です

□ 老健で外国人材を受け入れる主な在留資格は「特定技能」と「介護」で、早く人手が要るなら特定技能、長く育てるなら介護を選びます

□ 受入れの初期費用は、人材紹介手数料と登録支援機関への支援委託費が中心で、金額は施設ごとの契約条件によって大きく変わります

□ 支援を自社で行うか委託するかは、専任担当を置けるかどうかで判断が分かれます

□ 登録支援機関は、枚方市やその近隣に拠点があるかどうかで、トラブル対応の速さが変わります

枚方市の老健が直面する介護人材不足の実情とは?

枚方市の総人口は減少が続いており、令和5年10月1日現在で394,221人となっています。一方で高齢者人口は増加を続けており、枚方市が公表している総合計画関連資料によると、老年人口の割合は平成25年の23.4%から令和5年には28.9%まで上昇しました。

枚方市が公表している人口推計調査によると、65歳以上の比率は令和5年時点で28.8%、10年後の令和15年には33.7%、20年後の令和25年には40.9%と4割を超える見込みです。高齢化が進む一方、担い手となる現役世代は先細っていく構造です。

大阪府全体の求人倍率であり、枚方市単独の値ではない

厚生労働省の資料によると、大阪府における介護職の有効求人倍率は5.70倍(2019年11月時点)で、全国平均の4.45倍を大きく上回る水準です。枚方市単独の有効求人倍率は公表されていません。

都道府県別に見ると、大阪府は東京都・愛知県・奈良県・岐阜県に次ぐ5位で、近畿地方では奈良県に次いで高い水準にあります。大阪府全体の傾向であり、枚方市個別の数値は確認できていません。

求人サイトに見る枚方市の介護職求人数

求人情報まとめサイトのハローワークキャリアによると、大阪府枚方市の介護職求人は432件掲載されています(正社員・パート・アルバイトを含む集計)。マイナビ介護職のまとめによると、大阪府では通所介護の求人数が最も多く、続いて有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の順に多くなっています。

大阪府の傾向からは、老健を含む施設系サービス全体も同様に人材を奪い合う構図にある可能性がありますが、老健固有のデータは確認できていません。

離職率の高さが採用難に拍車をかける

公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、大阪府の介護職員の離職率は17.1%で、全国平均の14.9%より高い水準です。全国の介護職員の離職率は2023年度時点で13.1%と過去最低を更新していますが、大阪府はそれを上回っています。

採用してもすぐに辞めてしまう状態が続けば、求人を出し続けるコストがかさむとも一般に指摘されています。

老健でベトナム人介護人材を受け入れる在留資格ごとの違いとは?

老健でベトナム人介護人材を受け入れる在留資格ごとの違い

外国人介護人材の受入れには、複数の在留資格があります。それぞれ就労できる範囲や在留期間、受入れまでの手順が異なるため、まず全体像を把握しておく必要があります。

特定技能と在留資格「介護」の比較

比較項目 特定技能 在留資格「介護」
取得までの主な経路 技能試験・日本語試験の合格、または技能実習からの移行 介護福祉士養成施設の卒業、または実務経験ルートでの国家試験合格
在留期間の更新 通算の上限あり(詳細は出入国在留管理庁で確認が必要) 更新の上限なし
就労できる範囲 介護業務全般 介護業務全般
家族の帯同 原則不可(区分による) 要件を満たせば可能
支援計画の作成義務 あり(自社対応または登録支援機関へ委託) 原則なし

特定技能は、比較的短い準備期間で受入れを始めやすい制度です。在留資格「介護」は、養成施設卒業者や国家資格保有者が対象で、長期的な戦力として迎えやすい特徴があります。

ただし要件や在留期間の上限は制度改正が続いている分野です。最新の内容は出入国在留管理庁の公表情報で確認することをおすすめします。

技能実習との違いも押さえておく

技能実習は、本来「技能移転」を目的とした制度である点が、特定技能や在留資格「介護」と異なります。枚方市内の登録支援機関の中には、中国語・ベトナム語・クメール語に対応する事業者もあるとされており、複数の在留資格・国籍に対応できる体制を持つ機関を選ぶ余地があります。

自施設が外国人介護人材の受入れに向いているか見極めるポイントとは?

受入れ方法を比較する前に、まず自施設の状況を整理しておく必要があります。

次の3つの観点から、自施設を確認してみてください。

不足している人員数と業務内容

何人足りないのか、どの業務が回っていないのかを、まず数字で把握します。

夜勤帯の不足なのか、日中の入浴介助の手が足りないのか、不足の中身によって適した在留資格や配置計画が変わります。

教育・指導にかけられる体制

指導役を専任で置けるか、それとも既存職員が兼務するのかで、受入れ後の負担が大きく変わります。

専任の指導役を置けない施設は、支援機関の定着支援メニューが手厚いところを選ぶ必要があります。

住居・生活支援にかけられるリソース

住居費をどこまで施設が負担するかによって、受入れ人数や候補者への説明内容が変わります。詳しい家賃相場の水準は次の章で扱います。

受入れが決まってから就労開始までの流れと期間の目安

受入れの手続きは、全国どの地域でも大きな流れは共通しています。

主な手順は次のとおりです。

  1. 受入れ方針(在留資格・人数)を決める
  2. 人材紹介会社や登録支援機関へ相談する
  3. 候補者の選考・面接を行う
  4. 在留資格の申請書類をそろえ、出入国在留管理庁へ申請する
  5. 住居・指導役・シフトなど受入れ体制を整える
  6. 入国・就労開始

申請から在留資格の許可が下りるまでの期間は個別の事情によって変わるため、余裕を持ったスケジュールを組む必要があります。

枚方市で住居確保にかけられる目安

不動産情報サイトのスーモによると、枚方市駅周辺(新築・駅徒歩1〜5分の条件)の家賃相場は7.4万円(1K)から18.8万円(3LDK)です。

不動産情報サイトのライフルホームズによると、枚方市の一人暮らし向け物件はワンルーム〜1LDKで3〜6万円程度が目安とされています。

住居確保と指導役の調整は、申請と並行して早めに進めておくと、入職時期のずれを防げます。

老健がベトナム人介護人材を受け入れる際の費用相場と内訳とは?

老健がベトナム人介護人材を受け入れる際の費用相場と内訳

費用は施設ごとの契約条件によって大きく変わるため、まず内訳を理解しておく必要があります。次の表は、介護業界全体の一般的な水準として示すもので、枚方市固有の数値ではありません。

費用項目 目安・水準 区分
人材紹介手数料(料率) 理論年収の30〜35% 介護業界全体の一般的な水準(プロベルのコラムより)
人材紹介手数料(法定上限) 理論年収の50%(届出制の場合) 職業安定法に基づく制度上の上限(業界を問わない一般制度)
人材紹介手数料(実績平均) 常勤介護職員(介護福祉士資格あり)1人あたり約89万円 介護業界全体の調査値(エッセンシャルワーカー採用研究所、2023年度調査)
支援委託費 機関ごとに設定が異なる 枚方市の相場を示す公的資料は確認できず、見積もりで要確認
住居費 社宅か本人負担かで施設の持ち出しが変動 枚方市の家賃相場を参考に試算(前章参照)
日本語教育・生活オリエンテーション費 支援内容に含まれるか別料金かで変動 登録支援機関ごとに要確認

紹介手数料の料率・上限・実績平均は、いずれも介護業界全体の一般的な水準であり、枚方市の老健に限定した数値ではありません。自施設の採用条件に照らして目安として使ってください。

支援委託費・住居費・教育費は施設ごとの契約条件で変わるため、費用の総額は「紹介手数料+支援委託費+住居費+教育費」の合計で見積もる必要があります。

外国人介護人材の支援を自社で行うか登録支援機関へ委託するかの比較

特定技能で受け入れる場合、支援計画の実施は自社対応と委託のどちらかを選びます。

比較項目 自社で支援を行う 登録支援機関へ委託する
専任担当の要否 必要(日本語・多言語対応も含む) 不要(委託先が対応)
費用 人件費として発生(見えにくい) 支援委託費として明示される
緊急時対応 施設職員が直接対応 委託先が一次対応することが多い
ノウハウの蓄積 自施設に残る 委託先に依存する
向いている施設 複数人を継続的に受け入れる大規模法人 専任担当を置けない施設、初めて受け入れる施設

専任の担当者を置けない施設は、委託するほうが支援計画の不備を防ぎやすくなります。

一方、複数人を継続的に受け入れる体制がある法人は、自社対応でノウハウを蓄積する選択肢もあります。

登録支援機関を選ぶときの判断基準とは?

委託すると決めたあとに、どの機関を選ぶかが次の課題になります。

次の観点を必ず確認してください。

枚方市やその近隣に拠点があるか

支援機関が枚方市やその近隣に拠点を持っているかどうかは、実務上の差になります。

受入れ後のトラブルは、電話やメールだけでは解決しないことがあります。

近隣に担当者がいれば、当日中に施設へ来て対応できる可能性が高くなります。

外国人材本人の役所手続きや住居、通院の相談も、対面のほうが進みやすい面があります。

地域の不動産会社や日本語教室とつながりを持つ機関であれば、住居探しや日本語学習の面でも動きやすくなります。

逆に遠方の事業者は訪問頻度が下がりやすく、交通費が費用に上乗せされることもあります。

介護分野での実績と対応できる国籍

介護分野に特化した実績があるか、他分野が中心の機関かで、支援の質に差が出やすくなります。

枚方市内の登録支援機関の中には、中国語・ベトナム語・クメール語に対応する事業者もあるとされています。

対応言語が候補者の国籍と合っているかは、事前に確認しておく必要があります。

費用体系の明確さと定着支援の内容

見積もり時点で、支援委託費に何が含まれ、何が別料金かを書面で確認します。

受入れ後の定着支援(生活相談・日本語学習支援・面談頻度)の内容も、機関によって差があります。

見積もりで確認すべき項目とは?

複数の登録支援機関から見積もりを取るときは、項目をそろえて比較する必要があります。

確認すべき主な項目は次のとおりです。

  1. 支援委託費に含まれる業務範囲(生活オリエンテーション・日本語学習支援・定期面談の頻度)
  2. 通訳対応が別料金かどうか
  3. 緊急時訪問にかかる費用と対応時間
  4. 契約期間と更新条件
  5. 解約・キャンセル時の条件

項目をそろえずに総額だけを比べると、安く見えた見積もりに追加費用が積み重なることがあります。ここで確認した項目は、後述する受入れ準備チェックリストとあわせて社内で共有してください。

悪質な事業者を見分けるにはどうすればよいか?

良い支援機関の基準が分かれば、その裏返しとして避けるべき特徴も見えてきます。

次のような事業者には注意が必要です。

  • 費用の内訳を書面で示さず、口頭説明のみで契約を急がせる
  • 対応できる在留資格や国籍について曖昧な説明しかしない
  • 受入れ後の定着支援の内容が具体的に説明できない
  • 枚方市やその近隣に拠点がなく、緊急時の対応方法が示されない
  • 契約解除やキャンセルの条件を契約書に明記しない

契約前に料金表と追加費用の条件を書面で確認することが、トラブルを避ける最も確実な方法です。

枚方市の老健で受入れ体制として準備するものとは?

枚方市の老健で受入れ体制として準備するもの

委託先が決まったあとは、施設側で受入れ体制を整える段階に入ります。

住居とシフト、指導役の確保

枚方市駅は京阪本線と京阪交野線が接続するターミナル駅で、大阪・京都方面への通勤に使えます。

京阪バスの路線も整備されており、駅から離れた立地の施設でも通勤手段を確保しやすい環境です。

住居の候補地と通勤手段をあわせて検討し、指導役とシフトの調整方針を早めに決めておく必要があります。

日本語能力と任せる業務範囲の考え方

本人の日本語能力に応じて、最初に任せる業務範囲を調整する必要があります。

枚方市には日本語ボランティアの会による日本語教室があり、市のホームページでも案内されています。

ただし介護職員向けに特化した日本語学習支援は、枚方市独自のものとしては確認できていません。

業務マニュアルの記録をやさしい日本語で作成しておくと、業務範囲を広げる際の助けになります。

既存職員への説明と現場の受け止め方

受入れ前に、既存職員へ目的と役割分担を説明しておく必要があります。

説明が不十分なまま受入れが始まると、指導役に負担が集中し、現場の協力を得にくくなります。

受入れ後に起きやすいトラブルと対処法とは?

受入れ後によく見られるトラブルには、いくつかの共通したパターンがあります。

トラブルの種類 主な原因 対処のポイント
指導役の負担集中 既存職員への説明不足 受入れ前の説明会と役割分担の明確化
生活面の孤立 住居・買い物・役所手続きへの同行不足 定期的な生活相談の場を設ける
業務範囲のミスマッチ 日本語能力に合わない業務配置 段階的に業務範囲を広げる計画を作る
追加費用の発生 契約時に通訳対応などが未確認 契約前に書面で範囲を確認する

トラブルの多くは、受入れ前の説明不足や確認不足が原因になっています。

事前の準備段階でどれだけ具体的に取り決めておけるかが、受入れ後の安定につながります。

老健で外国人介護人材を定着させるために効果的な取り組みとは?

受入れが済んだあとは、定着に向けた継続的な取り組みが必要になります。

生活面のサポートが効きやすい

離職の多くは、業務の難しさよりも生活面の孤立から起きるとされています。

買い物や役所手続きへの同行、通院時のサポートは、生活面の定着に効くと一般に指摘されています。

定期的な面談とキャリアの見通し

定期的な面談の場を設け、業務上の困りごとや将来の希望を確認します。

長期就労を見込む在留資格「介護」への移行など、キャリアの見通しを示すことも定着につながります。

受入れでよくある失敗事例

契約後に通訳対応の追加費用が発生するのは、受入れで最も多い想定外の出費です。

契約前に料金表へ通訳対応の範囲を明記してもらうことで防げます。

住居探しの開始が遅れると、入職時期が1か月単位でずれることがあります。

在留資格の申請と並行して、早い段階から住居の候補を探し始めることが対策になります。

既存職員への説明が不足したまま受入れが始まると、指導役1人に負担が集中しやすくなります。

受入れ前に説明会を開き、役割分担を明確にしておくことが有効です。

日本語能力に見合わない業務を最初から任せると、早期離職につながりやすくなります。

段階的に業務範囲を広げる計画を、指導役とあらかじめ共有しておく必要があります。

費用の安さだけで支援機関を選ぶと、受入れ後の定着支援がほとんど受けられないことがあります。

費用だけでなく、定着支援の内容まで比較して選ぶことが重要です。

受入れ準備チェックリスト

□ 自施設の人員体制と不足数を把握した

□ 受入れ可能な在留資格を確認した

□ 住居の確保の見通しを立てた

□ 指導役とシフトの調整方針を決めた

□ 費用の総額と内訳を確認した

□ 支援委託費に含まれる業務範囲と通訳対応の別料金の有無を確認した

□ 契約期間・更新条件・解約条件を書面で確認した

□ 支援機関の対応範囲と枚方市近隣の拠点の有無を確認した

□ 既存職員への説明の場を設ける計画を立てた

枚方市の老健でベトナム人介護人材の受入れを進めるためのまとめ

枚方市の高齢化率は上昇を続けており、老年人口の割合は令和5年時点で28.9%に達しています。

大阪府全体で見ても介護職の有効求人倍率は全国平均を上回り、日本人だけの募集では人員を確保しにくい状況が続いています。ただし、これは大阪府全体の傾向であり、枚方市個別の数値ではありません。

在留資格は、早く人手が必要なら特定技能、長期育成を見込むなら在留資格「介護」を軸に検討してください。

費用は紹介手数料と支援委託費が中心で、複数の見積もりを比較することが欠かせません。

支援を自社で行うか委託するかは、専任担当を置けるかどうかで判断し、委託する場合は枚方市やその近隣に拠点がある機関を優先的に検討してください。

海外人材コネクトナビでは、対応制度や支援内容から支援機関を比較できます。支援機関選びで迷った際は、費用や実績、定着支援の内容まで含めて比較検討することをおすすめします。

よくある質問

枚方市の老健でベトナム人介護人材を受け入れるには、まず何から始めればよいですか?
まず自施設の不足人数と不足業務を整理し、そのうえで在留資格を検討します。人材紹介会社や登録支援機関への相談は、その後の段階になります。
特定技能と在留資格「介護」は、どちらを選べばよいですか?
早く人手を確保したい場合は特定技能、長期的に育成したい場合は在留資格「介護」が向いています。要件は改正が続いているため、最新情報は出入国在留管理庁で確認してください。
受入れの支援を登録支援機関へ委託する費用はどれくらいですか?
枚方市における支援委託費の公的な相場は確認できていません。複数の機関から見積もりを取り、項目をそろえて比較することをおすすめします。
受入れ人数が多く、支援体制が自社で追いつかない場合はどうすればよいですか?
専任担当を置けない場合は、登録支援機関への委託を検討してください。枚方市やその近隣に拠点がある機関であれば、受入れ後のトラブルにも対応しやすくなります。
既存職員から反発が出そうな場合、どう対応すればよいですか?
受入れ前に目的と役割分担を説明する場を設けることが重要です。説明不足のまま受入れが始まると、指導役への負担が集中しやすくなります。