2026.09.10

能勢町の介護施設が直面する人材不足への対応策

介護施設で利用者と職員が笑顔で会話している様子

求人を出しても応募が来ない状態が、何か月も続いていませんか。

能勢町で介護施設を運営していると、日本人の応募だけでシフトを埋めるのが年々難しくなっていると感じる場面が増えているはずです。夜勤を回せる職員が足りず、既存のスタッフに負担が偏っている施設もあるでしょう。

能勢町で特別養護老人ホームや老健、グループホーム、デイサービスなどを運営する経営者・施設長・採用担当の方に向けて書いています。能勢町の人材不足の実情を数字で確認したうえで、外国人介護人材の受入れという選択肢が自施設に合うかどうか、在留資格の違い、費用の相場、登録支援機関へ委託すべきかどうかを、順を追って判断できるようにまとめました。

この記事のポイント

□ 能勢町の高齢化率は42.1%で全国平均より13.4ポイント高く、需要はすでに大きい

□ 能勢町単独の求人・賃金統計は無いが、大阪府全体では介護職の有効求人倍率が5.70倍と近畿2位の水準にある

□ 早く人手が要るなら特定技能、長く育てるなら在留資格「介護」を選ぶ

□ 費用は紹介手数料・支援委託費・住居費の内訳で見積もりを取り、比較する

□ 専任担当を置けないなら登録支援機関への委託が現実的で、能勢町近隣に拠点があるかが実務上の差になる

能勢町の介護人材不足はどれくらい深刻か?

能勢町が公表している住民基本台帳では、令和7年5月末現在の人口は8,844人、世帯数4,514世帯です。総務省の国勢調査と国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口に基づく集計によると、能勢町の2020年時点の高齢化率は42.1%で、全国平均の28.7%より13.4ポイント高くなっています。

同じ集計では、高齢化率は2050年までに26.6ポイント上昇して68.7%に達すると見込まれています。能勢町「能勢町人口ビジョン」によると、老年人口は平成27年に3,569人となり、昭和55年と比べて倍増しました。

介護の担い手はどこにいるか

介護サービス情報公表システムによると、能勢町には特別養護老人ホーム「青山荘」、能勢町立東部デイサービスセンター、グループホーム「能勢くりのみホーム」などが所在しています。時点不明の民間集計として、介護事業所検索サイトには居宅介護支援・訪問介護・デイサービスなど在宅・通所系のサービスが計15件登録されているとの情報がありますが、参照時点が明記されておらず、参考情報にとどめる必要があります。

能勢町単独の介護職有効求人倍率や賃金水準は公表されていません。厚生労働省の資料を引用したマイナビ介護職のまとめによると、2019年11月時点で大阪府の介護職有効求人倍率は5.70倍で、近畿地方では奈良県の5.87倍に次ぐ2位、全国平均の4.45倍を大きく上回る水準でした。

これは大阪府全体の値であり、能勢町単独の数値ではありません。能勢町も同じ傾向にある可能性はありますが、町単位で裏付けられているわけではなく、当てはめて断定することはできません。

施設が選べる在留資格の違いとは?

外国人材が介護施設で働くための在留資格は、主に「特定技能」「技能実習」「在留資格『介護』」「EPA」の4種類に分かれます。それぞれ在留期間や求められる日本語能力、任せられる業務の範囲が異なります。

在留資格 在留期間の目安 特徴
特定技能1号 通算5年まで 即戦力人材として早期に配置しやすい
技能実習 最長5年 技能移転が制度の目的で、転籍に制約がある
在留資格「介護」 更新制限なし 介護福祉士資格の取得が前提で長期就労が可能
EPA(経済連携協定) 国家試験合格まで 受入れは国の枠組みを通じて行われる

特定技能は早く人手が必要な施設に向いており、在留資格「介護」は長期的に育成したい施設に向いています。迷う場合は、何名をいつまでに配置したいか、教育に割ける時間がどれだけあるかで決めるとよいでしょう。

制度の詳細な要件や上限人数は改正が続いているため、最新の情報は出入国在留管理庁の公表資料で確認する必要があります。

自施設は外国人介護人材の受入れに向いているか判断する

受入れの是非は、まず自施設の状況を整理してから判断します。ここでは人員体制・教育体制・住居確保という3つの観点で、自施設が受入れに向いているかを見極めます。準備の実務そのものは、後の章であらためて扱います。

人員体制の見極め方

夜勤を回せる職員数と、離職による欠員が慢性化しているかどうかを確認してください。欠員が一時的なものか、構造的なものかによって、対応すべき方法が変わります。

教育・指導にかけられる時間の見極め方

日本語や介護記録の指導に割ける人員がいるかどうかも重要な判断材料です。

指導役を専任で置けない施設は、支援機関側の教育体制に頼る比重が大きくなります。

住居を用意できるかの見極め方

不動産情報サイトのニフティ不動産によると、能勢町の平均家賃相場は4.05万円、ファミリー向け間取りでは5.59万円です(2026年7月11日時点)。

数字だけを見ると家賃水準は低めですが、CHINTAIの掲載情報では能勢町内の賃貸物件数はわずか2件で、選べる住居自体が少ない状況です。

能勢電鉄には駅がなく、最寄りの山下駅は隣の川西市にあるため、駅近の物件を前提に住居を探すことはできません。

社宅や施設近隣の借り上げ住宅を用意できるかどうかが、受入れの実現可能性を左右します。

受入れが決まってから就労開始までの流れと期間

受入れが決まってから就労開始までの流れと期間

受入れの手続きは、次の順序で進みます。

  1. 支援機関を選び、契約する
  2. 在留資格の申請に必要な書類をそろえる
  3. 出入国在留管理庁への申請と審査を待つ
  4. 住居と指導役、シフト体制を確保する
  5. 就労開始と支援計画に基づく生活支援を始める

審査には一定の期間がかかるため、就労開始の希望時期から逆算して準備を始める必要があります。

具体的な標準処理期間は改正や申請時期によって変動するため、断定はできません。

出入国在留管理庁の公表情報で、申請時点の最新の目安を確認してください。

外国人介護人材の受入れにかかる費用相場と内訳

外国人介護人材の受入れにかかる費用相場と内訳

受入れにかかる費用は、主に紹介手数料・支援委託費・住居関連費・教育費の4つに分かれます。

能勢町単独の費用相場を示す公的な統計や調査は見当たりません。

費用項目 主な内容 発生タイミング
紹介手数料 人材を紹介した事業者への成功報酬 採用が決まった時点
支援委託費 登録支援機関への月額委託料 就労中は毎月
住居関連費 敷金・礼金・家具家電・社宅補助 入職前後
教育費 日本語学習支援・研修教材 受入れ前後で継続

複数の登録支援機関から見積もりを取り、同じ項目名で内訳をそろえて比較することが、費用を把握する最も確実な方法です。

大阪府は「外国人介護人材受入施設等環境整備事業」として、通訳料や日本語学習支援などの経費に対し補助率2/3、上限20万円の補助金を交付しています(基準額30万円、令和7年度情報)。これは大阪府全域を対象とする制度であり、能勢町独自の補助制度の有無は確認できていません。

こうした補助制度を使えるかどうかも、見積もり段階で支援機関に確認しておくとよいでしょう。

支援を自社で行うか登録支援機関へ委託するか

特定技能で受け入れる場合、支援計画の実施を自社で行うか、登録支援機関へ委託するかを選べます。

比較項目 自社で行う 登録支援機関へ委託
専任担当の要否 必要 不要(委託先が担当)
費用 人件費のみ 月額の支援委託費が発生
ノウハウ ゼロから構築が必要 委託先の実績を活用できる
緊急時対応 施設が直接対応 委託先が一次対応する

専任の担当者を置けない施設や、外国人材の受入れが初めての施設は、委託を選ぶ方が現実的です。

すでに複数名を受け入れた実績があり、社内に日本語対応や生活支援のノウハウが蓄積している施設であれば、自社対応も選択肢に入ります。

登録支援機関を選ぶときの判断基準とは?

委託すると決めた後は、どの支援機関を選ぶかが次の課題になります。よい基準と避けるべき特徴は表裏の関係にあるため、まとめて確認します。

確認する観点 良い基準 避けるべき特徴
費用の説明 契約前に総額と内訳を書面で提示する 総額を示さず、契約後に追加費用を請求する
実績・対応国籍 介護分野の実績と対応国籍を具体的に説明できる 質問しても具体的に答えられない
定着支援の内容 生活相談・住居相談の頻度や内容を明示する 「特にやることはありません」と説明する
契約解除の条件 解除条件を事前に明文化する 条件を曖昧にしたまま契約を急がせる

表にある観点のほか、次の点も確認してください。

能勢町やその近隣に拠点があるか

受入れ後のトラブルは、電話やメールだけでは解決しないことがあります。

近隣に担当者がいれば、緊急時に当日中の訪問が期待できます。

役所の手続きや住居探し、通院への同行も、対面で動ける距離にいる担当者のほうが進みやすいものです。

地域の不動産会社や日本語教室とつながりを持つ支援機関であれば、住居や学習環境の確保でも力になります。

逆に遠方の事業者は訪問頻度が下がりやすく、交通費が費用に上乗せされることもあります。

実績と対応できる制度の幅

介護分野での支援実績があるか、特定技能だけでなく技能実習や在留資格「介護」にも対応できるかを確認してください。

見積もりを比較するときに確認すべき項目

複数の支援機関から見積もりを取る際は、次の項目をそろえて比較してください。

  1. 月額支援委託費に含まれる支援内容の範囲
  2. 通訳対応・緊急時訪問が追加費用になるかどうか
  3. 対応できる国籍と現地の送り出し機関との連携状況
  4. 日本語教育の提供有無と内容
  5. 定着支援(生活相談・住居相談)の頻度

項目名がそろっていないと、金額だけを見て安いと判断してしまう危険があります。

能勢町の施設が受入れ体制として準備すべきものとは?

能勢町の施設が受入れ体制として準備すべきもの

支援機関を選び終えた後は、施設側で受入れ体制を整える実務に入ります。前の章で見極めた人員・教育・住居の課題に対し、実際にどう準備するかをここで扱います。

住居の確保

前述のとおり、能勢町は賃貸物件自体の掲載数が少なく、住居探しには時間がかかります。

社宅を用意するか、支援機関経由で早めに物件を確保する動きが求められます。

指導役とシフトの調整

指導役を専任で置けるかどうかで、教育の負担が施設側と委託先のどちらに重くかかるかが変わります。

記録の書き方

介護記録や支援計画の実施記録は、日本語能力に応じてフォーマットを工夫すると負担が減ります。

日本語能力と業務範囲の考え方

来日直後は日常会話レベルの日本語能力にとどまる人材も多く、いきなり複雑な記録業務を任せるのは負担が大きくなります。

まずは見守りや身体介助の補助から始め、記録業務は段階的に広げていく設計が現実的です。

既存職員への説明

受入れの目的や役割分担を事前に説明しておかないと、現場の職員が戸惑い、指導役が孤立してしまいます。

受入れ後に起きやすいトラブルと対処法

受入れ後に起きやすいトラブルとして、一般的にいくつかの型が指摘されています。

そのひとつが、生活面の孤立から気力を落とし、離職につながるケースです。

買い物や役所手続きへの同行など、生活面の支援を早い段階で行うことが防止につながります。

指示の意図が正しく伝わらず、業務のミスが重なるケースもよく見られます。

専門用語を避けた平易な言葉で指示を出し、必要に応じて図や写真を使うと改善しやすくなります。

能勢町のように鉄道駅が無く、路線バスや令和6年4月開始の「妙見口のせ号」に頼る地域では、通勤そのものが負担になることもあります。

通勤経路と勤務時間の相性を、受入れ前に確認しておくとよいでしょう。

定着のために効く取り組みとは?

受入れが済んだ後は、定着に向けた継続的な取り組みが必要になります。

大阪府は外国人介護人材の就労・定着を目的に「外国人介護人材受入施設等環境整備事業」で通訳料や日本語学習支援の経費を補助しています。

こうした制度を活用し、日本語学習の機会を継続的に提供することが定着を後押しします。

大阪府の公表資料によると、能勢町の外国人住民数は105人で、能勢町の総人口8,658人に対する比率は1.21%です(令和4年6月末現在)。

この割合の低さから、町内で同じ国籍の人が集まるコミュニティを見つけにくい可能性があります。

近隣市の日本語教室や国際交流団体とのつながりを、支援機関を通じて確保できるかが、生活面での孤立を防ぐ鍵になります。

受入れの失敗事例から学ぶ

契約後に通訳対応や緊急時訪問が追加費用になっていたと気づき、想定より費用がかさむのは、受入れでよく起きる想定外の出費のひとつです。

契約前に対応範囲を書面で確認しておけば防げます。

住居探しの開始が遅れると、入職時期が1か月単位でずれることがあります。

受入れを決めた時点で並行して住居を探し始めることで防げます。

既存職員への説明が不十分なまま受入れを進めると、指導役だけに負担が集中し、孤立してしまうことがあります。

受入れの目的とスケジュールを事前に共有しておくことで防げます。

日本語能力に見合わない業務をいきなり任せると、本人の負担が大きくなり、早期離職につながることがあります。

業務を段階的に広げる計画をあらかじめ立てておくことで防げます。

費用の安さだけで支援機関を選ぶと、受入れ後の生活支援がほとんど無く、施設側の負担が想定以上に増えることがあります。

支援内容の範囲を契約前に具体的に確認しておくことで防げます。

受入れ準備チェックリスト

□ 自施設の人員体制と不足数を把握した

□ 受入れ可能な在留資格を確認した

□ 住居の確保の見通しを立てた

□ 指導役とシフトの調整方針を決めた

□ 費用の総額と内訳を確認した

□ 支援機関の対応範囲と拠点の位置を確認した

□ 既存職員への説明を事前に行う計画を立てた

□ 大阪府の補助金制度を活用できるか確認した

能勢町の介護人材不足のまとめ

能勢町の高齢化率は42.1%で、今後も上昇が見込まれています。

一方で能勢町単独の求人・賃金統計は公表されておらず、大阪府全体の水準から人材獲得の厳しさをうかがうしかない状況です。

自施設の人員体制と住居確保の見通しを確認したうえで、特定技能か在留資格「介護」かを選び、専任担当を置けなければ登録支援機関への委託を検討してください。

支援機関を選ぶ際は、能勢町やその近隣に拠点があるか、費用体系が明確か、定着支援の内容が具体的かを必ず確認しましょう。

海外人材コネクトナビでは、対応制度や支援内容から支援機関を比較できます。

費用や支援範囲、実績を確認し、自施設に合った支援機関を選んでいきましょう。

支援機関選びで迷った場合は、海外人材コネクトナビ掲載の支援機関を比較してください。

よくある質問

能勢町のように施設数が少ない地域でも、外国人介護人材を受け入れられますか。
受入れの可否は施設規模ではなく人員体制や住居確保の見通しで決まるため、小規模な施設でも受入れは可能です。
支援機関は能勢町の近くに拠点が無くても大丈夫ですか。
対応は可能ですが、緊急時の訪問頻度が下がりやすく、交通費が費用に加わることもあるため、近隣拠点の有無は確認しておくとよいでしょう。
受入れ人数が多い場合はどう相談すればよいですか。
複数名を同時に受け入れる場合は、支援体制や住居確保の負担が大きくなるため、早めに複数の支援機関へ相談し、対応可能な人数と体制を確認してください。
費用は自治体の補助金でどこまでカバーできますか。
大阪府の「外国人介護人材受入施設等環境整備事業」では通訳料や日本語学習支援などの経費の一部が補助対象になりますが、上限額が定められているため、詳細は大阪府の窓口で確認してください。
日本語がまだ十分でない人材にはどんな業務から任せればよいですか。
まずは見守りや身体介助の補助など、指示が明確な業務から始め、記録業務は日本語能力の向上に合わせて段階的に広げるのが安全です。