大阪市でベトナム人介護人材の採用が進んでいる理由とは
求人を出しても応募が来ない状態が、何か月も続いていませんか。大阪市内の介護施設では、日本人だけの募集では人員基準を満たせないという声が増えています。
一方で、ベトナム人介護人材の採用に踏み切る施設も目立つようになりました。ただ、在留資格の違いや費用の仕組みが分からず、検討のまま止まっている施設も多いはずです。
自施設に受入れが向いているか、支援機関へ委託すべきか、どの支援機関を選ぶべきかまで判断できる内容です。特別養護老人ホーム、老健、有料老人ホーム、グループホーム、サ高住、デイサービスなど、施設種別ごとの違いにも触れながら進めます。
この記事のポイント
□ 大阪市の高齢化率は24.9%で、生産年齢人口の割合は上昇しており、担い手不足が構造化しています
□ 早く人手が要るなら特定技能、長期育成なら在留資格「介護」を検討します
□ 専任の採用担当を置けないなら、登録支援機関への委託が現実的な選択です
□ 支援機関は大阪市やその近隣に拠点があるかで、トラブル対応の速さが変わります
□ 離職の多くは生活面の孤立から起きるため、住居と日本語学習の支援が定着を左右します
大阪市の介護人材不足の実情とは?
大阪市計画調整局の推計人口年報によると、令和6年10月時点で大阪市の総人口は279万1,907人です。65歳以上人口の割合は24.9%にのぼります。
この割合から算出すると、大阪市の65歳以上人口はおよそ69.5万人です。生産年齢人口(15〜64歳)の割合は65.1%で、高齢者を支える現役世代の比率は上昇しています。
大阪市の高齢者保健福祉計画によると、大阪市の第1号被保険者数は令和5年3月末に67万6,867人となり、前年より1.5%減少しました。全国では同時期に1.7%増加しており、大阪市は人口減少局面にありながら高齢化率は上がるという状態です。
ただし、この被保険者数は令和8年以降、増加に転じると推計されています。つまり、介護需要そのものが縮小しているわけではありません。
施設の担い手は誰か
大阪府高齢者計画2024(案)によると、府内の介護保険4施設は令和5年7月時点で698施設、定員5.7万人です。有料老人ホームとサ高住の合計は2,166施設、定員9.3万人にのぼります。
これは大阪府全体の数値であり、大阪市単独の施設数ではありません。都心部ほど大規模法人が運営する施設が多く、住宅地では中小規模の事業所が点在する傾向は、一般的に見られる傾向として知られています。
求人倍率が示す競争の激しさ
大阪労働局「労働市場月報」によると、大阪府の令和7年3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.23倍(全職種計)です。介護職に限った大阪市単独の有効求人倍率は公表されていません。
厚生労働省資料を基にしたマイナビ介護職のまとめでは、大阪府の介護職の有効求人倍率は5.70倍(2019年11月時点)とされ、全国平均の4.45倍を上回る水準でした。これは大阪府全体の値であり、大阪市単独の数値ではない点にご注意ください。
大阪市は人口・外国人住民数とも政令指定都市で最多という特徴があります。令和7年12月末時点で161の国・地域から21万4,337人の外国人住民が暮らし、全市民の約7.7%を占めています。この層の存在は、外国人材が生活しやすい土壌がある可能性を示していると考えられますが、生活のしやすさそのものを裏づける調査結果ではありません。
在留資格ごとの違いとは?

外国人介護人材を受け入れる在留資格には、主に「特定技能」と在留資格「介護」の2つがあります。特定技能とは、人手不足が深刻な分野で即戦力として働ける在留資格のことです。
在留資格「介護」は、介護福祉士の資格を取得した人材が長期的に働くための資格です。技能実習からの移行も含め、どの制度を選ぶかで受入れの設計が変わります。
| 比較項目 | 特定技能 | 在留資格「介護」 |
|---|---|---|
| 就労できる範囲 | 介護業務全般(訪問系は対象外) | 介護業務全般(訪問系も対象) |
| 在留期間 | 通算上限あり(要確認) | 更新制限なし |
| 前提となる資格 | 技能測定試験・日本語試験等 | 介護福祉士資格 |
| 受入れまでの早さ | 比較的早い | 資格取得後のため時間がかかりやすい |
| 支援の義務 | 支援計画の実施が必要 | 法令上の支援義務は限定的 |
特定技能は、受入れ機関が1号特定技能外国人支援計画を実施する義務を負う制度です。出入国在留管理庁によると、この支援は自社で行うか、登録を受けた登録支援機関に委託できます。
在留期間の上限や要件は制度改正が続いているため、断定はできません。出入国在留管理庁や所管省庁の最新情報で、必ず確認してください。
自施設は受入れに向いているか見極めるポイント
制度を比較する前に、まず自施設の状況を整理する必要があります。受入れが向いているかどうかは、次の3点で判断できます。
1. 不足している人数と職種
何人の不足を、どの職種(介護職員・生活相談員等)で埋めたいかを明確にします。人数が明確でないまま検討を進めると、後の支援計画も曖昧になります。
2. 教育・指導に割ける時間
特定技能人材は即戦力として働けますが、日本語でのコミュニケーションには個人差があります。指導役を誰が担うか、どれだけ時間を割けるかを先に決めておきます。
3. 住居を用意できるか
社宅や社員寮がない施設では、住居の確保が受入れの前提条件になります。大阪市内の家賃相場は本記事の調査範囲では確認できておらず、不動産会社や物件情報サイトで個別に確認する必要があります。
受入れまでの流れと期間の目安
受入れを決めてから実際に就労が始まるまでには、一定の準備期間がかかります。特定技能で受け入れる場合、おおむね次の順番で進みます。
- 支援機関を選ぶ(自社実施か委託かを決める)
- 人材の紹介を受ける、または技能実習からの移行を確認する
- 在留資格変更・認定の申請書類をそろえる
- 出入国在留管理局への申請と審査
- 住居と指導役を確保する
- 支援計画に沿った生活オリエンテーションを実施する
審査期間は申請内容や時期によって変動するため、断定的な日数は示せません。出入国在留管理庁の案内で、最新の審査状況を確認することをおすすめします。
大阪市内は鉄道網が発達しており、地下鉄・JR・私鉄が入り組んでいます。通勤圏を広く取れる分、物件の選択肢が増えるという利点もあります。
費用の相場と内訳とは?

介護業界の人材紹介では、想定年収の30〜35%を成功報酬とする完全成果報酬型が主流です。エッセンシャルワーカー採用研究所の2023年度調査では、介護福祉士資格を持つ常勤職員1人あたりの紹介手数料平均は約89万円でした。
これは地域に依らない業界の水準であり、大阪市固有の金額ではありません。実際の金額は、紹介会社や候補者の希少性によって変動します。
| 費用項目 | 内容 | 目安・備考 |
|---|---|---|
| 人材紹介手数料 | 紹介成立時の成功報酬 | 理論年収の30〜35%が一般的な相場(業界全体の水準) |
| 支援委託費 | 登録支援機関への委託費用 | 機関ごとに設定が異なるため見積もりで確認 |
| 住居費 | 社宅・賃貸契約にかかる費用 | 大阪市内の相場は不動産情報サイトで要確認 |
| 教育費 | 日本語学習・研修費用 | 支援機関や外部教室との連携により変動 |
届出制の人材紹介では、理論年収の50%が法定上限とされています。見積もりを取る際は、この上限の範囲内かどうかも確認材料になります。
大阪府は「外国人介護人材受入促進事業」として補助金を実施しています。補助率は3分の2(基準額30万円)で、1施設あたりの上限額は20万円です。このような補助制度を活用できるかも、費用計画に含めて検討してください。
支援を自社で行うか登録支援機関へ委託するか
先ほど自施設の状況を整理した結果、専任の担当者を置けないと分かった施設は、委託を軸に検討することになります。
| 比較項目 | 自社で実施 | 登録支援機関へ委託 |
|---|---|---|
| 費用 | 委託費は不要(人件費は発生) | 支援委託費が発生 |
| 専門知識 | 制度改正への対応を自社で追う必要がある | 最新制度への対応を任せられる |
| 緊急対応 | 担当者の稼働次第 | 24時間対応の窓口を持つ機関もある |
| 適した施設規模 | 複数名の受入れ実績がある大規模法人 | 初めての受入れ・小規模事業所 |
出入国在留管理庁によると、登録支援機関は長官の登録を受けた機関であり、登録支援機関登録簿に掲載される仕組みです。令和8年8月31日時点で1万1,579件が登録されています。
自社実施は、複数名の受入れ経験がある法人には向いています。初めて受け入れる施設や、専任担当を置けない施設は、委託のほうが支援の抜け漏れを防げます。
コネクトナビでは、対応制度や支援内容から支援機関を比較できます。
登録支援機関を選ぶときの判断基準
委託すると決めたら、次は支援機関そのものの見極めが必要になります。判断基準は、次の観点に整理できます。
大阪市やその近隣に拠点があるか
これは実務上の差になる、特に重要な基準です。受入れ後のトラブルは、電話やメールだけでは解決しないことがあります。
近隣に担当者がいれば、当日中に施設へ来られる可能性が高まります。外国人材本人の役所手続き・住居契約・通院の付き添いも、対面のほうが進みやすいものです。
地域の不動産会社や日本語教室とつながりを持つ支援機関であれば、住居探しや学習環境の相談も一体で進められます。逆に、遠方の事業者は訪問頻度が下がりやすく、交通費が追加費用として発生することもあります。
介護分野での実績と対応できる制度の幅
介護分野の支援実績が少ない機関は、現場特有の事情(夜勤・記録・申し送り)への理解が浅いことがあります。特定技能だけでなく、技能実習や在留資格「介護」にも対応できるかを確認してください。
定着支援の内容と日本語教育の体制
受入れ後の定着支援に、生活オリエンテーションや相談窓口が含まれているかを確認します。日本語学習の機会をどう用意しているかも、重要な判断材料です。
大阪市は、識字・日本語教室の情報提供や日本語教育コーディネーターの配置を行っています。支援機関がこうした地域資源と連携しているかも、確認しておきたい点です。
費用体系の明確さと契約条件
料金表に、通訳対応や緊急時訪問などの追加費用の条件が明記されているかを確認します。契約解除やキャンセルの条件も、契約前に書面で確認してください。
支援機関選びで迷った場合は、コネクトナビ掲載の支援機関を比較してください。
見積もりで確認すべき項目
複数の支援機関から見積もりを取るときは、内訳の項目をそろえて比べることが大切です。確認すべき項目は、次のとおりです。
□ 支援委託費に含まれる業務範囲(定期面談・生活相談・緊急対応等)
□ 通訳対応にかかる追加費用の有無と条件
□ 緊急時訪問の対応可否と発生する費用
□ 人材紹介手数料の料率と支払いのタイミング
□ 契約期間と更新・解除の条件
□ 大阪市やその近隣に担当者がいるか
見積もりの項目がそろっていないまま契約すると、後から追加費用が発覚する原因になります。契約前に、料金表と追加費用の条件を書面で確認しておけば防げます。
悪質な事業者の見分け方
先ほどの判断基準の裏返しとして、注意すべき特徴を整理します。
費用体系が曖昧で、見積もりの内訳を尋ねても明確な回答が得られない事業者には注意が必要です。大阪市やその近隣に拠点がなく、訪問実績を確認できない事業者も同様です。
特定の国籍の人材を「安く雇える」「扱いやすい」といった表現で勧める事業者は避けるべきです。人材を労働力としてのみ扱う姿勢は、受入れ後のトラブルにつながりやすくなります。
契約解除の条件が契約書に明記されていない、担当者の説明が制度の要件と食い違う、といった点も見分けのポイントです。不明点をその場で濁さず、確認して回答してくれるかどうかも、担当者の姿勢として見ておきたいところです。
受入れ体制として準備するもの

委託先が決まった後は、施設側で準備する実務が残っています。
住居の確保
社宅がない場合、民間賃貸の契約が必要になります。大阪府の意識調査では、外国人が賃貸住宅の入居で不利な扱いを受けることが「あると思う」と回答した人が64.1%にのぼりました。
大阪府知事が指定する住宅確保要配慮者居住支援法人は、令和8年1月31日時点で210法人あります。こうした法人や、大阪府住宅相談室の多言語対応窓口を利用できないか、支援機関と合わせて検討してください。
シフトと指導役の調整
日本語でのやり取りに時間がかかる場合を見込んだシフト設計が必要です。指導役を固定し、誰が何を教えるかを明確にしておくと、現場の負担が偏りません。
記録の書き方と既存職員への説明
介護記録は専門用語が多いため、最初はテンプレートやひな形を用意すると理解が進みやすくなります。
既存職員への説明も欠かせません。受入れの目的と役割分担を事前に共有しておくことで、現場の戸惑いを減らせます。
受入れ後に起きやすいトラブルと対処
受入れ後は、業務面と生活面の両方でつまずきが起きやすくなります。
業務面では、指示の意図が正確に伝わらず、記録の記載に誤解が生じることがあります。平易な日本語への言い換えと、確認のための復唱を習慣にすることで減らせます。
生活面では、役所手続きや通院の際に言葉の壁でつまずくことがあります。支援機関や地域の相談窓口に同行を依頼できるか、事前に確認しておくと安心です。
孤立感から体調を崩し、欠勤が続くという流れも起きやすいパターンです。定期的な面談で早めに変化に気づくことが、対処の基本になります。
定着のために効果的な取り組み
受入れが落ち着いた後は、定着に向けた取り組みが課題になります。
離職の多くは、業務の難しさよりも生活面の孤立から起きるとされています。買い物や役所手続きへの同行、休日の過ごし方の相談に乗ることが、最も効果的な取り組みです。
大阪市は161の国・地域から外国人住民を受け入れており、同じ出身国のコミュニティが既に存在することもあります。こうしたつながりを支援機関経由で紹介できれば、孤立を和らげる一助になります。
日本語学習の継続も欠かせません。大阪市は識字・日本語教室の情報提供や連携の橋渡しを行っており、こうした地域資源の活用も選択肢になります。
既存職員との交流機会を意識的に設けることも、定着に影響します。業務外での自然な会話が、信頼関係の土台になります。
失敗事例
契約後に通訳対応の追加費用が発生するのは、受入れで最も多い想定外の出費です。見積もり段階で追加費用の条件を書面で確認しておけば防げます。
住居探しの開始が遅れると、入職時期がずれることがあります。受入れを決めた時点で、支援機関と並行して物件探しを始めることが防止策になります。
既存職員への説明が不足すると、指導役が1人で抱え込み、孤立することがあります。受入れの目的と役割分担を、現場全体で事前に共有しておくことが有効です。
日本語能力と任せる業務の範囲が合わないと、早期離職につながることがあります。最初の業務範囲を限定し、段階的に広げる設計にすることで防げます。
費用の安さだけで支援機関を選ぶと、受入れ後の支援がほとんど無いという事態が起きます。費用だけでなく、定着支援の内容まで見積もり段階で確認することが重要です。
受入れ準備チェックリスト
□ 不足人数と職種を明確にした
□ 受入れ可能な在留資格を確認した
□ 住居の確保の見通しを立てた
□ 指導役とシフトの調整方針を決めた
□ 費用の総額と内訳を見積もりで確認した
□ 支援機関の対応範囲と大阪市近隣の拠点を確認した
□ 既存職員への説明を行った
□ 補助金の活用可否を確認した
大阪市のベトナム人介護人材採用のまとめ
大阪市は高齢化率24.9%、生産年齢人口比率65.1%という状況にあり、人材確保の構造的な課題を抱えています。外国人介護人材の採用は、この課題に対する選択肢の一つです。
自施設の不足人数・教育体制・住居確保の見通しを整理したうえで、特定技能か在留資格「介護」かを選びます。専任担当を置けない施設は、登録支援機関への委託を軸に検討してください。
支援機関を選ぶ際は、大阪市やその近隣に拠点があるか、定着支援の内容まで含まれているかを必ず確認します。費用は見積もりを複数取り、内訳をそろえて比較することが欠かせません。
コネクトナビでは、対応制度や支援内容から支援機関を比較できます。費用や支援範囲、実績を確認し、自施設に合った支援機関を選びましょう。
よくある質問
- 大阪市の施設でも外国人介護人材を受け入れられますか?
- 可能です。特定技能や在留資格「介護」など、複数の制度があります。自施設の状況に合う制度を選ぶことが重要です。
- 費用はどれくらいかかりますか?
- 人材紹介手数料は理論年収の30〜35%が業界の一般的な水準です。支援委託費や住居費は機関や物件によって変動するため、見積もりで確認してください。
- 支援機関は自社と近い場所にあるべきですか?
- 近いほうが望ましいといえます。大阪市やその近隣に拠点があれば、トラブル時の訪問対応や住居探しの相談が進みやすくなります。
- 受入れまでにどれくらいの期間がかかりますか?
- 申請内容や時期によって変動するため、一律の日数は示せません。出入国在留管理庁の最新の案内で確認することをおすすめします。
- 受入れ人数が多い場合はどうすればよいですか?
- 複数名を同時に受け入れる場合、住居やシフト調整の負担も増えます。対応実績の多い登録支援機関に相談し、体制面から一緒に検討することをおすすめします。
