2026.08.26

大阪市旭区の介護施設が人材確保のために今取り組むべきこと

介護施設で働くスタッフが笑顔で利用者に対応している様子

求人を出しても応募が来ない。ようやく採用できても、半年ほどで退職してしまう。

大阪市旭区で介護施設を運営する経営者・採用担当の方から、こうした声を耳にする機会が増えています。2019年11月時点で、大阪府における介護職の有効求人倍率は5.70倍にのぼり、全国平均の4.45倍を大きく上回っていました(厚生労働省の資料による)。

人を採ろうとする施設同士が、限られた人材を奪い合っている状態です。そこで選択肢に入ってくるのが、外国人介護人材の受入れによる人材確保です。

ただ、在留資格の種類も多く、費用も見えづらく、どこから手をつけるべきか分からない方も多いはずです。

この記事のポイント

□ 旭区の65歳以上人口の割合は28.9%で、大阪市24区の中でも上位です

□ 早く人手が要るなら特定技能、長期育成なら在留資格「介護」を選びます

□ 紹介手数料の全国平均は約89万円で、費用の多くを占めます

□ 専任担当を置けない施設は登録支援機関への委託が現実的な選択です

□ 旭区近隣に拠点がある支援機関なら、トラブル時に当日訪問が期待できます

大阪市旭区の介護人材確保が難しい実情とは?

大阪市旭区の65歳以上人口の割合は28.9%で、大阪市24区の中でも上位に入る水準です(Wikipedia「旭区(大阪市)」掲載の国勢調査データによる)。旭区が公表する「旭区将来ビジョン2022」によると、65歳以上の単独世帯は平成27年度で7,212世帯となり、増加が続いています。

高齢化率も平成22年度比で3.1%増加しています。支援を必要とする方は、今後も増えていく見込みです。

施設数の規模から見える大阪市旭区の競合の激しさ

民間サイト「有料老人ホーム情報館」が大阪市の公表資料をもとに集計したところ、旭区内の高齢者向け施設は合計43件です。特別養護老人ホームが6件、有料老人ホームが15件、サービス付き高齢者向け住宅が8件という構成になっています。

面積の限られた区内に、これだけの施設数が集まっています。施設数が多いことから、限られた通勤圏の人材確保で競争が生じている可能性があります。

2019年11月時点で、近畿地方の中でも大阪府の介護職求人倍率は奈良県に次いで高い水準でした(厚生労働省の資料による)。旭区単独の求人倍率を示す公的データはなく、これは大阪府全体の傾向であって旭区固有の数値ではありません。ただ、日本人だけの募集に頼る採用は、限界に近づいている施設も少なくありません。

在留資格ごとの違いは?外国人介護人材の受入れの選択肢

外国人介護人材を受け入れる方法には、いくつかの在留資格があります。代表的なものが「特定技能」と、在留資格「介護」、そして技能実習です。

それぞれ就労できる範囲や在留期間、受入れまでの手順が異なります。

在留資格 特定技能(介護) 在留資格「介護」 技能実習
就労できる範囲 介護業務全般 介護福祉士としての業務全般 技能実習計画に基づく業務
在留期間の目安 更新により長期化が可能 更新制限なし 実習計画に応じた期間
資格取得までの期間 比較的短い 介護福祉士資格取得後 入国前教育を含め時間を要する
向いている施設 早期の人手確保を重視する施設 長期的な育成を前提とする施設 計画的な人材育成を行う施設

選ぶ在留資格によって、受入れまでの期間もその後の育成方針も変わります。詳しい要件や在留期間の上限は制度改正が続く分野です。出入国在留管理庁など所管機関の最新情報で確認することをおすすめします。

早く人手を確保したい施設は特定技能を軸に検討します。長期的に育てたい施設は在留資格「介護」を見据えるという整理が実務的です。

自施設に外国人介護人材の受入れが向いているか見極める判断軸とは?

受入れ方法を比較する前に、まず自施設の状況を整理する必要があります。旭区内には特養・老健・有料老人ホーム・サ高住など、多様な施設種別が存在します。

種別によって、受入れやすさや準備すべきことが変わります。特養や老健のように配置基準が明確な施設は、不足数を数字で示しやすく、受入れ計画も立てやすい傾向があります。

一方、デイサービスやグループホームのような小規模施設では、1人の欠員が現場に与える影響が大きくなりやすいです。これは旭区固有のデータではなく一般的に言われている傾向ですが、小規模施設ほど受入れ検討の優先度が高まりやすいと考えられます。

次の3つの状態に複数当てはまるなら、外国人介護人材の受入れ検討を進める時期に来ています。

□ 日本人向けの募集を半年以上続けても応募が集まらない

□ 夜勤や早朝帯の人員配置が慢性的に不足している

□ 既存職員の残業や休日出勤が続き、離職の兆しが見える

これらに複数当てはまるほど、受入れを検討する優先度が高いといえます。この判断軸は「今すぐ検討すべきか」を測るものであり、後述する準備チェックリストとは役割が異なります。

海外人材コネクトナビでは、対応制度や支援内容から支援機関を比較できます。

外国人介護人材受入れまでの流れと期間の目安は?

受入れを決めてから実際に就労が始まるまでには、一定の準備期間がかかります。大まかな流れは、人材の選定、在留資格の申請、来日後の研修、就労開始という順番です。

申請から在留資格が交付されるまでの期間は、時期や書類の整い方によって変動します。そのため、余裕を持ったスケジュールを組むことが欠かせません。

入職を希望する時期から逆算し、半年以上前に動き始める施設が多く見られます。特に住居の確保やシフトの調整は、就労開始の直前では間に合いません。

早めに支援機関へ相談し、必要な手続きの全体像を把握しておくことが安心につながります。

費用の相場と内訳は?外国人介護人材確保にかかるコスト

費用の相場と内訳は?外国人介護人材確保にかかるコスト

全国老人福祉施設協議会の調査によると、常勤介護職の紹介手数料は平均で約89万円、最高額は220万円だったと報告されています。同じ調査では、430施設のうち33.0%が1人あたり100万円以上の紹介手数料を支払っていました。

紹介手数料が費用の大きな割合を占める場合があるという実情を、事前に知っておく必要があります。

費用項目 金額の目安 出典・補足
紹介手数料(常勤介護職) 平均約89万円、最高220万円 全国老人福祉施設協議会の調査
紹介手数料100万円以上の割合 調査対象430施設の33.0% 同調査
支援委託費 事業者により異なる(要見積もり) 受入れ人数・支援範囲により変動。公的な相場データは無し
大阪府の補助金上限額 1施設あたり20万円(基準額30万円、補助率3分の2) 大阪府「外国人介護人材受入施設等環境整備事業」

この表のとおり、費用の中心は紹介手数料です。支援委託費は事業者によって設定が異なるため、見積もりを取って確認する必要があります。住居費や日本語教育費についても、旭区に特化した公的な統計は見当たりませんでした。

支援機関の比較は、海外人材コネクトナビ掲載の一覧から確認できます。

大阪市旭区の住居費と補助制度

旭区の賃貸相場について、不動産情報サイトのスーモでは、新築・駅徒歩5分以内の条件でワンルームが6.3万円からとなっています。旭区は1Kや1DKなど単身向け物件が多く、4万円台の物件も存在します。

大阪府は外国人介護人材受入施設等環境整備事業として、住居費を含む経費の一部を補助する制度を設けています(大阪府の資料による)。補助対象経費に対して補助率3分の2(基準額30万円)が適用され、補助額は1施設あたり上限20万円です。活用できれば初年度の負担を抑えられます。

支援を自社で行うか登録支援機関へ委託するか?

支援を自社で行うか登録支援機関へ委託するか

受入れが決まったら、支援業務を自社で行うか、登録支援機関へ委託するかを決める必要があります。特定技能の場合、受入れ企業は生活支援や日本語学習支援などの計画を実施する義務を負います。

この業務を自社で担うか、外部へ委託するかは施設の体制によって判断が変わります。

比較項目 自社で実施 登録支援機関へ委託
専任担当の必要性 必須 不要(機関側が担当)
費用 人件費として発生 月額の委託費(事業者により異なる)
ノウハウの蓄積 時間をかけて社内に蓄積 機関側の知見をそのまま活用
向いている施設 複数名を継続的に受け入れる大規模法人 専任担当を置けない中小規模施設

旭区内には高齢者向け施設が43件ありますが、施設ごとの規模別の詳細な統計はありません。専任担当を置く余力が少ない施設では、登録支援機関への委託が現実的な選択になりやすいです。

登録支援機関を選ぶときの判断基準は?

委託すると決めた後は、どの登録支援機関を選ぶかが次の課題になります。特に重要な点を整理します。

大阪市旭区や近隣に拠点があるかどうか

支援機関が旭区や近隣に拠点を持っているかは、実務上大きな差になります。受入れ後のトラブルは、電話やメールだけでは解決しないことがあります。

近隣に担当者がいれば、当日中に施設へ来られる可能性が高まります。外国人材本人の役所手続きや住居、通院の相談も、対面のほうが進みやすいです。

地域の不動産会社や日本語教室とつながりを持つ支援機関であれば、生活面の支援もスムーズになります。逆に、遠方の事業者は訪問頻度が下がりやすく、費用に交通費が加わることもあります。

実績・対応範囲・定着支援を合わせて確認する

介護分野に特化した実績があるか、複数の在留資格に対応できるかも確認すべき点です。旭区内には、森小路に事務所を置く登録支援機関も登録されています(特定技能登録支援機関一覧サイトの情報による)。介護職種への対応状況は機関ごとに異なるため、事前の確認が欠かせません。

受入れ後の定着支援がどこまで含まれるかも重要な確認点です。生活相談への対応頻度、日本語学習のサポート内容、緊急時の連絡体制まで具体的に聞いておくと安心です。

海外人材コネクトナビでは、対応制度や支援内容から支援機関を比較できます。

見積もりで確認すべき項目は?

支援機関を選ぶ際は、見積もりの内容を細かく確認する必要があります。次の項目を必ず見積もりに含めてもらいましょう。

□ 紹介手数料の金額と支払いタイミング

□ 支援委託費に含まれる業務範囲

□ 通訳対応が別料金かどうか

□ 住居手配のサポートが含まれるか

□ 契約解除やキャンセル時の条件

□ 追加費用が発生する条件の明示

これらが不明確なまま契約すると、後から想定外の費用がのしかかることがあります。

悪質な事業者の見分け方は?

良い支援機関の基準が分かると、その裏返しとして悪質な事業者の特徴も見えてきます。費用体系を明示せず、口頭説明だけで契約を急がせる事業者には注意が必要です。

受入れ後の定着支援について、具体的な内容を答えられない事業者も避けるべきです。契約解除の条件を書面に示さない事業者とは、慎重に距離を取ることをおすすめします。

費用の安さだけを強調し、支援内容の説明が薄い事業者にも気をつけましょう。

外国人介護人材の受入れ体制として準備するものは?

外国人介護人材の受入れ体制として準備するもの

支援機関が決まった後は、施設内の受入れ体制を整える段階に入ります。準備すべきものは、住居、シフト、指導役、記録の4点に整理できます。

大阪市旭区での住居とシフトの調整

旭区は谷町線や京阪本線が通り、関目高殿駅や千林大宮駅など複数の駅があります。駅数が多いことから通勤の選択肢は広がりますが、夜勤明けの移動しやすさなどの詳細な公的データはありません。

シフトについては、夜勤帯の指導役を誰が担うかを事前に決めておく必要があります。

日本語能力と業務範囲、既存職員への説明

日本語能力のレベルに応じて、任せる業務範囲を段階的に広げる考え方が現実的です。記録業務や医療的な報告が必要な場面では、当面は既存職員が同行する体制が安心です。

受入れ前に、既存職員へ目的と体制を説明しておくことも欠かせません。説明が不足すると、指導役となる職員が孤立してしまうことがあります。

受入れ後に起きやすいトラブルと対処法は?

受入れ後には、いくつかの典型的なトラブルが起きやすくなります。生活面の孤立から気力が落ち、業務にも影響が出るケースがよく見られます。

この対処には、休日の過ごし方や相談相手の有無を定期的に確認することが効果的です。指導役とのコミュニケーション不足からすれ違いが生じることもあります。

定期的な面談の場を設け、小さな不満を早めに拾う体制をつくることが有効です。

の介護人材確保の定着のために効く取り組みは?

受入れが済んだ後は、定着に向けた継続的な取り組みが必要になります。大阪府は介護人材確保・職場環境改善等事業費補助金を設け、職場環境の改善を支援しています(大阪府の資料による)。こうした制度を活用し、処遇改善や研修体制の整備を進める施設も増えています。

生活面では、買い物や役所手続きへの同行が効果的な支援の一つです。旭区には千林商店街があり、日常の買い物に利用できる商業エリアが区内にありますが、これは地域情報であり定着支援の効果を示すデータではありません。

日本語学習の支援は、施設側か支援機関側で計画的に用意しておく必要があります。

介護人材確保でよくある失敗事例

契約後に通訳対応の追加費用が発生するのは、受入れで最も多い想定外の出費です。見積もり時に通訳料が含まれるかどうかを明確にしておけば防げます。

住居探しの開始が遅れると、入職時期が1か月単位でずれてしまうことがあります。受入れが決まった時点で、すぐに物件探しへ動き出すことが対策になります。

既存職員への説明が不足したまま受入れを進めると、指導役だけが負担を抱え込みがちです。受入れの目的と体制を全職員へ共有しておくことで、孤立を防げます。

費用の安さだけで支援機関を選ぶと、受入れ後の支援がほとんど無いという事態も起こります。契約前に定着支援の具体的な内容を確認しておくことが欠かせません。

受入れ準備チェックリスト

□ 自施設の人員体制と不足数を把握した

□ 受入れ可能な在留資格を確認した

□ 住居の確保の見通しを立てた

□ 指導役とシフトの調整方針を決めた

□ 費用の総額と内訳を確認した

□ 支援機関の対応範囲を確認した

□ 既存職員への説明の場を設けた

このチェックリストは、支援機関が決まった後の実務準備を確認するものです。前述の判断軸(受入れ検討の優先度)とは異なる場面で使います。これを満たしてから受入れを進めると、初動のトラブルを減らせます。

介護人材確保のまとめ

旭区の高齢化率は上昇を続けており、65歳以上人口の割合は28.9%です。日本人だけの募集に限界を感じているなら、外国人介護人材の受入れは検討に値する選択肢です。

在留資格は、早期の人手確保なら特定技能、長期育成なら在留資格「介護」を軸に考えます。費用は紹介手数料が平均約89万円と大きな比重を占めるため、大阪府の補助制度も確認しておきましょう。

専任担当を置けない施設は、登録支援機関への委託が現実的な選択です。支援機関を選ぶ際は、旭区や近隣に拠点があるか、定着支援の内容まで確認してください。

支援機関選びで迷った場合は、海外人材コネクトナビ掲載の支援機関を比較してください。費用や支援範囲、実績を確認し、自施設に合った支援機関を選びましょう。

よくある質問

大阪市旭区で外国人介護人材を受け入れる費用はどれくらいですか?
全国老人福祉施設協議会の調査では、常勤介護職の紹介手数料は平均約89万円です。これに支援委託費が加わりますが、金額は事業者により異なるため見積もりで確認してください。
特定技能と在留資格「介護」のどちらを選べばよいですか?
早く人手を確保したいなら特定技能、長期的に育てたいなら在留資格「介護」が向いています。
受け入れる人数が多い場合はどうすればよいですか?
受入れ人数が増えるほど支援業務も増えるため、専任担当を置けない施設は登録支援機関への委託を検討してください。
旭区で住居は確保しやすいですか?
旭区は単身向け物件が多く、駅から近い賃貸も充実しています。スーモの相場ではワンルームが6.3万円からとなっています。
支援機関はどこにあるところを選ぶべきですか?
旭区や近隣に拠点がある支援機関であれば、トラブル発生時の対応が早くなる可能性があります。