2026.09.09

ベトナム人介護人材の採用を検討する高石市の事業者へ

介護施設で外国人スタッフと日本人職員が並んで働く様子

求人を出しても応募が来ない。採用できても数か月で辞めてしまう。

高石市で介護施設を運営する経営者・採用担当の方の中には、そんな状況が続いている方も少なくないはずです。日本人だけを対象にした採用が難しくなる中、ベトナム人をはじめとする外国人介護人材の受入れを検討し始めた施設が増えています。

ただ、在留資格の種類も多く、どこから手を付ければよいか分からず止まっている方もいらっしゃるでしょう。読み終えたときには、自施設がとるべき次の一歩が具体的に見えている状態を目指します。

この記事のポイント

  • 高石市の高齢化率は28.4%で全国平均とほぼ同じですが、2050年には38.9%まで上がる見込みです
  • 早く人手が必要なら特定技能、長期的に育てたいなら在留資格「介護」を選びます
  • 紹介手数料は理論年収の30〜35%が人材紹介業界全体の目安とされ、支援委託費は別途かかります
  • 専任の担当者を置けない施設は、登録支援機関への委託が現実的な選択になります
  • 支援機関を選ぶときは、高石市やその近隣に拠点があるかどうかが実務上の差になります

高石市の介護現場が抱える人材不足の構造とは?

高石市の2020年の高齢化率は28.4%で、全国平均の28.7%とほぼ同じ水準です。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、この高齢化率は2050年までに10.4ポイント上昇し、38.9%に達する見込みです。

およそ10人に4人が高齢者になる計算であり、介護需要はこれからさらに増えていきます。

総人口が減る一方で高齢者は増える

総務省の国勢調査によると、高石市の総人口は2020年時点で55,635人で、5年前と比べ約1.6%減少しました。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2020年から2050年までにさらに約27.6%減少し、約40,300人になる見込みです。

働き手そのものが減る中で、高齢者の割合だけが増えていく構造が続きます。

近隣との人材獲得競争が厳しい理由

高石市単独の有効求人倍率は公表されていません。厚生労働省の公表資料によると、大阪府全体の介護職の有効求人倍率は5.70倍(2019年11月時点)で、全国平均の4.45倍を大きく上回ります。

大阪府全体では人材獲得の競争が厳しい傾向にあり、高石市の施設も同じ大阪府内の人材市場で採用活動を行っていることになります。

大阪府の推計では、府全体で2025年に34,495人の介護人材が不足すると見込まれています。

日本人限定の募集を続けることの限界

公益社団法人介護労働安定センターの調査によると、大阪府の介護職員離職率は17.1%で、全国平均の14.9%より高い水準です。採用しても定着しにくい状況が府全体で続いていることになります。

ハローワークインターネットサービスの検索結果では、高石市の介護職求人が109件確認できており、施設同士が限られた人材を奪い合う状況がうかがえます。日本人だけを対象にした募集を続ける限り、この構造は変わりにくいといえます。

ベトナム人介護人材を受け入れる在留資格の違いとは?

ベトナム人介護人材を受け入れる在留資格の違い

外国人介護人材の受入れには、主に「特定技能」「在留資格『介護』」「技能実習」の3つの選択肢があります。どれを選ぶかによって、就労できる範囲や在留期間、必要な手続きが変わります。

在留資格 就労できる範囲 在留期間の目安 向いている施設
特定技能 介護施設での介護業務全般 通算5年(更新制) 早く人手を確保したい施設
在留資格「介護」 介護福祉士資格を持つ業務全般 更新に上限なし 長期的に育成したい施設
技能実習 技能実習計画に沿った業務 最長5年 実習生受入れの体制がある施設

特定技能は比較的短期間で採用でき、初めて外国人材を受け入れる施設に選ばれやすい制度です。在留資格「介護」は、留学生として日本の介護福祉士養成校を卒業し、国家資格を取得した人材が対象になるため、長く現場を任せられる人材を育てたい施設に向いています。

技能実習は監理団体を通じた受入れが前提となり、支援体制の作り方が特定技能とは異なります。

制度の詳しい要件や施行時期は改正が続いているため、最新の情報は出入国在留管理庁など所管省庁の公表資料で確認することをおすすめします。

自施設に外国人介護人材の受入れが向いているか見極める観点

制度を比較する前に、まず自施設の状況を整理しておく必要があります。

受入れが向いているかどうかは、次の3つの観点から判断できます。

人員体制と不足数の把握

何名の人員が不足しているのか、いつまでに埋める必要があるのかを数字で出しておきます。

特別養護老人ホームのように定員規模が大きい施設ほど、人員基準を満たせなくなるリスクが高くなります。

高石市内の特別養護老人ホームには入居定員70名規模の施設もあり、規模が大きい施設ほど早めの対策が求められます。

受入れ体制を作る余力があるか

外国人材の受入れには、生活支援や日本語学習のサポートなど、日本人採用にはない業務が発生します。

この体制を自社で作れるか、それとも登録支援機関に任せるかを、この段階では判断せず、把握するだけにとどめます。

施設種別による向き・不向き

グループホームやサービス付き高齢者向け住宅のような小規模施設は、少人数の受入れから始めやすい傾向があります。

高石市内のグループホームには定員18名の小規模ユニット型の施設もあり、こうした規模では1〜2名の受入れから始める例が見られます。

特別養護老人ホームや老健のような大規模施設は、複数名をまとめて受け入れることで、教育や生活支援の効率を上げやすくなります。

受入れまでの流れと期間の目安

受入れを決めてから実際に就労が始まるまでには、一定の準備期間がかかります。

おおまかな流れは次の順番で進みます。

  1. 登録支援機関または人材紹介会社を選ぶ
  2. 候補者の選考・面接を行う
  3. 在留資格の申請書類をそろえて出入国在留管理庁へ提出する
  4. 住居・指導役・シフト体制を整える
  5. 来日後の生活オリエンテーションを経て就労を開始する

申請から在留資格が下りるまでの期間は、書類の不備や審査の混み具合によって変わります。

審査期間の具体的な日数は所管省庁の公表情報で変動するため、余裕を持ったスケジュールを組んで臨むことが前提になります。

受入れにかかる費用の相場と内訳とは?

受入れにかかる費用の相場と内訳

費用の中心となるのは、人材紹介の手数料と登録支援機関への支援委託費です。

人材紹介業界全体の目安として、紹介手数料は理論年収の30〜35%が一般的な相場とされています。これは介護業界に限らない、人材紹介業界全般の水準です。

理論年収とは、月給や賞与から算出した年間の推定年収のことで、通勤手当や退職金は含みません。

介護業界全体の水準として、エッセンシャルワーカー採用研究所の2023年度調査では、介護福祉士資格を持つ常勤介護職員1人あたりの紹介手数料平均が約89万円という調査結果もあります。地域を限定した数値ではなく、参考値として捉えてください。

また、職業安定法に基づく届出制の人材紹介では、理論年収の50%が法定上限として定められています。これは介護業界に限らない全国共通の制度です。

費用項目 内容 発生のタイミング
人材紹介手数料 採用決定時に発生する成功報酬 採用決定時
登録支援機関への支援委託費 生活支援・日本語学習支援などの委託料 月額・継続
住居関連費用 敷金・礼金・家具家電など 入居前
渡航・手続き関連費用 航空券・在留資格申請費用など 受入れ前

紹介手数料は「完全成果報酬型」が主流で、採用に至らなかった場合は費用が発生しない仕組みが一般的です。

大阪府の制度として、外国人介護人材受入施設等環境整備事業という補助金があります。

大阪府の公表資料によると、この補助金の補助率は3分の2(基準額30万円)、補助額は1施設あたり上限20万円で、日本語学習支援や通訳料、翻訳機の購入費用などが対象になります。

まずは大阪府の制度を活用できるかどうかを確認したうえで、費用全体の総額を見積もっておくと安心です。海外人材コネクトナビでは、対応制度や支援内容から支援機関を比較できますので、費用の内訳を確認する際の参考にしてください。

支援を自社で行うか登録支援機関へ委託するかの比較

特定技能人材を受け入れる場合、生活支援や日本語学習支援などを行う「1号特定技能外国人支援計画」の実施が義務付けられます。自社で担うか委託するかを、費用と体制の両面から比較してみましょう。

比較項目 自社で行う場合 登録支援機関へ委託する場合
専任担当者 必要(多言語対応も含む) 不要(委託先が対応)
費用 人件費として発生 支援委託費として発生
ノウハウ 自社で蓄積する必要がある 委託先の実績を活用できる
緊急時の対応 自社の体制次第 委託先の対応範囲による

専任の担当者を置ける施設は、自社で支援を行うことで委託費を抑えられます。

一方、多言語対応や生活相談まで自社で担うのは、日々の業務と並行して行うには負担が大きいという声もあります。

専任担当を置けない施設にとっては、登録支援機関への委託が現実的な選択になります。

登録支援機関を選ぶときの判断基準とは?

委託すると決めた後に迷うのが、どの登録支援機関を選ぶかという点です。

判断基準は次の通りです。

高石市やその近隣に拠点・担当者がいるか

受入れ後のトラブルは、電話やメールだけでは解決しないことがあります。

近隣に担当者がいる支援機関であれば、緊急時に当日中に施設へ来られる可能性が高くなります。

外国人材本人の役所手続きや住居探し、通院の同行も、対面で進めたほうがスムーズです。

逆に、遠方の事業者では訪問頻度が下がりやすく、交通費が追加費用として発生することもあります。拠点の有無を最初に確認しておきましょう。

介護分野での実績と対応できる制度の幅

介護分野特有の申請書類や業務内容を理解している支援機関かどうかを確認します。

特定技能だけでなく、在留資格「介護」や技能実習にも対応できる機関であれば、施設の方針が変わっても柔軟に対応できます。

定着支援の内容と日本語教育の体制

受入れ後の定着支援がどこまで含まれているかを確認します。

日本語学習の支援を、講師派遣で行うのか教材提供にとどまるのかによって、支援の厚みが大きく変わります。

費用体系の明確さと追加費用の有無

月額の支援委託費に何が含まれているのか、通訳対応や緊急時訪問が別料金なのかを事前に確認します。

見積もりで確認すべき項目とは?

複数の登録支援機関から見積もりを取り、内訳の項目をそろえて比較することが欠かせません。

確認すべき項目は次の通りです。

  1. 紹介手数料の料率と支払いタイミング
  2. 支援委託費に含まれる業務の範囲
  3. 通訳対応・緊急時訪問など追加費用が発生する条件
  4. 契約解除・キャンセル時の条件
  5. 対応できる国籍と現地との連携体制

料金表を口頭説明だけで済ませる機関は避け、必ず書面で確認しましょう。

支援機関選びで迷った場合は、海外人材コネクトナビ掲載の支援機関を比較してください。

悪質な事業者の見分け方とは?

良い支援機関の基準が分かったところで、その裏返しとなる注意点も押さえておきます。

次のような特徴がある事業者には注意が必要です。

  • 費用体系を書面で示さず、口頭説明のみで契約を急がせる
  • 受入れ後の定着支援について具体的な説明ができない
  • 担当者が介護分野の業務内容を理解していない
  • 契約解除やキャンセルの条件があいまいなまま進めようとする
  • 対応できる国籍や現地との連携について曖昧な返答をする

費用の安さだけで選び、契約後に支援がほとんど機能しなかったという相談も見られます。

複数の機関を比較し、説明の丁寧さそのものも判断材料にすることをおすすめします。

受入れ体制として準備するものとは?

受入れ体制として準備するもの

支援機関が決まった後は、施設側で受入れ体制を整える段階に入ります。

住居の確保

不動産情報サイトのスーモが公表する家賃相場では、高石市のワンルームは新築・駅徒歩1〜5分の条件で5.8万円という調査結果があります。

綾園エリアでは5万〜6万円台、東羽衣エリアでは6万〜7万円台といった物件が中心とされ、エリアによって水準に差があります。

高石市には東羽衣駅・富木駅・羽衣駅・高石駅・伽羅橋駅・高師浜駅という6つの駅があり、通勤圏を広く取りやすい立地です。

物件探しは支援機関に任せきりにせず、施設側でも候補エリアの家賃水準を把握しておくと交渉がスムーズです。

指導役とシフトの調整

日本語での指示が伝わりにくい場面を想定し、指導役を1名決めておくことが望まれます。

夜勤明けの移動手段は、採用前に本人と相談しておく必要があります。

記録の書き方と支援計画の整備

特定技能人材を受け入れる場合、支援計画の実施記録を残す義務があります。

記録が不十分だと、後の確認や監査対応に追われることになるため、フォーマットを事前に決めておきましょう。

受入れ後に起きやすいトラブルと対処

受入れが始まった後には、想定していなかった課題が出てくることがあります。

よくあるのが、日本語能力と任せる業務範囲のずれです。日常会話はできても、専門用語や介護記録の記入に時間がかかるケースは珍しくありません。

業務範囲を段階的に広げ、最初は生活援助を中心に任せる進め方が有効です。

もう一つ多いのが、既存職員とのコミュニケーション不足です。受入れの目的や役割分担を事前に共有していないと、現場の負担感が偏ります。

受入れ前に、既存職員向けの説明会を開いておくことが対処になります。

契約後に通訳対応の追加費用が発生するのも、受入れで多い想定外の出費です。契約前に、どの業務が追加費用の対象になるのかを書面で確認しておけば防げます。

住居探しの開始が遅れると、入職時期が1か月単位でずれることもあります。支援機関を決めた段階で、住居探しを並行して始めておくことが対処になります。

定着のために効く取り組みとは?

受入れが済んだ後、次に重要になるのが定着です。

離職は、業務そのものよりも生活面の孤立から起きることが多いといわれています。

買い物や役所手続き、通院への同行は、特に来日直後の時期に効果が大きい取り組みです。

大阪府国際交流財団が実施する外国人情報コーナーのような、生活相談の窓口を紹介することも支えになります。

日本語学習の支援は、大阪府の外国人介護人材受入施設等環境整備事業の補助対象にもなっているため、活用を検討する価値があります。

同じ国籍の職員が複数名いる職場では、生活面の相談をしやすい環境が自然と生まれやすくなります。

受入れの失敗事例

費用の安さだけで支援機関を選ぶと、契約後の支援がほとんど機能しないことがあります。複数の機関を比較し、支援内容まで確認してから決めることが防止につながります。

日本語能力に見合わない業務をいきなり任せると、早期離職につながりやすい傾向があります。最初は簡単な業務から始め、段階的に範囲を広げる進め方が有効です。

既存職員への説明が不足したまま受入れを始めると、指導役だけが負担を抱え込みやすくなります。受入れ前の説明会を開き、役割分担を明確にしておくことが防止策になります。

支援計画の実施記録が不十分なまま運用を続けると、後になって対応に追われることがあります。記録のフォーマットを受入れ前に決めておくことが防止策になります。

受入れ準備チェックリスト

受入れを進める前に、次の項目を確認しておきましょう。

□ 自施設の人員体制と不足数を把握した
□ 受入れ可能な在留資格を確認した
□ 住居の確保の見通しを立てた
□ 指導役とシフトの調整方針を決めた
□ 費用の総額と内訳を確認した
□ 支援機関の対応範囲を確認した
□ 既存職員への説明会を予定した
□ 複数の支援機関から見積もりを取った

高石市のベトナム人介護人材採用のまとめ

高石市の高齢化率は28.4%で、2050年には38.9%まで上がる見込みです。

大阪府全体の有効求人倍率は5.70倍と高く、府全体で人材の獲得競争が続いていることがうかがえます。

在留資格は、早く人手が必要なら特定技能、長期的に育てたいなら在留資格「介護」を選びます。

費用は紹介手数料が理論年収の30〜35%、支援委託費が別途かかる点を踏まえ、複数の機関から見積もりを取って比較することが欠かせません。

専任担当者を置けない施設は、登録支援機関への委託が現実的な選択肢になります。

支援機関を選ぶ際は、高石市やその近隣に拠点があるかどうかが、緊急時の対応スピードを左右します。

費用や支援範囲、実績を確認し、自施設に合った支援機関を選びましょう。海外人材コネクトナビでは、対応制度や支援内容から支援機関を比較できます。

よくある質問

高石市でベトナム人介護人材を採用する場合、まず何から始めればよいですか
まずは自施設の不足人数と、対応できる在留資格を整理することから始めます。そのうえで支援機関に相談すると、具体的な提案を受けやすくなります。
特定技能とベトナム人技能実習生は、どちらが受け入れやすいですか
特定技能は比較的短期間で受入れが進みやすく、初めての施設に選ばれやすい制度です。技能実習は監理団体との連携が前提となり、体制作りに違いがあります。
受入れの費用が想定より膨らんでしまうのはなぜですか
紹介手数料や支援委託費に加え、通訳対応や住居関連の費用が想定に入っていないことが主な原因です。契約前に内訳を書面で確認することで防げます。
受け入れる人数が少ない場合でも、支援機関に委託したほうがよいですか
専任の担当者を置けない施設であれば、人数が少なくても委託を検討する価値があります。生活支援や日本語学習支援を自社だけで担うのは負担が大きいためです。
受入れ後に人材が定着しないときは、どこに相談すればよいですか
まずは委託している支援機関に相談し、生活面の課題があれば大阪府国際交流財団などの相談窓口も併用するとよいでしょう。海外人材コネクトナビでも支援機関の比較ができます。